投稿日:2025年12月28日

ショットブラスト装置で使う排気口部材の板金加工と摩耗粉堆積問題

はじめに:ショットブラストと排気口部材の現場課題

製造業の現場において、ショットブラスト装置は、鋳物や鍛造品、鋼材の表面処理に欠かせない装置です。
表面のスケールやバリを除去し、その後の品質や強度加工の基礎を担うため、長年にわたり高い需要があります。

しかし、このショットブラスト装置で多くの現場が頭を悩ませているのが「排気口部材の板金加工」と「摩耗粉(スラッジ)の堆積問題」です。
一見地味に見える課題ですが、放置すると生産性の低下や品質不良、さらにはライン停止に至る重大な原因となり得ます。

本記事では、昭和から続くアナログな現場にも根付く、この課題の実態と、20年以上の工場現場・管理職経験で培った改善ノウハウを現場目線で解説します。
また、調達・購買、バイヤー目線やサプライヤーが考慮すべきポイントも掘り下げ、業界の発展に必要な新たな視点も紹介します。

ショットブラスト装置における排気口部材の役割と板金技術

排気システムの概略と必要性

ショットブラスト装置では、金属ショットを高速で噴射しワーク(処理物)表面の異物を落とします。
この過程で発生する「粉塵」「摩耗粉」「微粒子」などを安全かつ効率よく処理するため、排気口部材が大きな役割を果たします。

もし排気が適切に行われなければ、装置内部に粉塵が堆積し、ノズルの詰まり、集塵機の効率低下、場合によっては爆発リスクさえ生じてしまいます。

板金加工のポイントと現場最適化

排気口部材はステンレスや軟鋼板などで板金加工されることが多いです。
形状としては、ダクト形状、フレーム付き接続部、パンチングメタル付きのガードカバーなどが挙げられます。

現場でよく起きる問題が「板厚選定のバラツキ」や「耐摩耗対策の遅れ」「取り付け後の微調整不可」などです。
特に、粉塵やショット粒子が激しく衝突する部位は、わずか1年足らずで穴が開いてしまうことも少なくありません。

そのため、
– 初期設計時に摩耗予想を考慮した材料選定(高張力鋼板、耐摩耗鋼など)
– 部材交換を容易にする分割構造やフランジ取り付け
– 取付部分の擦り合わせや現場アジャストの余地確保

このような「現場での保守性」を最優先した設計が不可欠です。

摩耗粉堆積問題の現状と深刻な影響

なぜ堆積が起きるのか ― 現場のリアル

ショットブラスト装置内の摩耗粉、いわゆる「スラッジ」は、ショットや被加工物が削られて発生します。
これが排気経路やダクトに徐々に堆積すると、排気抵抗が増大。
集塵効率が低下するばかりか、最悪の場合は定格風量を確保できず、ラインストップに直結します。

また堆積物がダクトに固着すれば、剥落時に二次トラブルを招く要因ともなります。
現場ではこの清掃作業は重労働であり、定期的な点検・メンテナンス計画と現場力が不可欠です。

堆積の“見逃せないリスク”

– 内部腐食や穴あきの進行(外部への粉塵漏れ、重大クレームの火種)
– 重量増加によるダクト破損や支持部金具の脱落リスク
– 放置が重なると一度にライン停止、装置全体の損傷
– 作業員の健康(二次吸入)のリスク

特に“人手不足”が深刻になっている現在、手間のかかる清掃作業は“やれる人がいない”という慢性的課題ともなっています。

板金加工×摩耗粉堆積対策の実践的アプローチ

1.摩耗対策型板金設計の深化

せっかく新調したダクトも数ヶ月で穴が開く…という声は現場あるあるです。
ポイントは「摩耗を遅らせる構造」と「保守しやすさの確保」。
この両立が生産効率と安全品質を支えます。

– 曲げ半径や“複雑な導流形状”は避ける
– ダクト内面に簡単に交換できる耐摩耗プレート貼付を標準化
– ショットの直接衝突部はハードフェーシング材による補強
– 板金加工の段階でTIG溶接やボルト併用による分割構造化

これらは初期投資がやや上がるものの、ランニングコストやダウンタイムを最小化できるため、中・長期的な経営視点では明確なプラスとなります。

2.摩耗粉堆積“しにくい”形状工夫

– 勾配を強めることで重力を活用し粉じんが自然落下するダクト設計
– 角や段差、袋状死角を減らし、スムーズな流れを確保
– 点検ハッチや清掃窓を要所に設け、作業工数を短縮

また、現場では「マニュアルにない清掃ツール」や「即席スクレーパー」を自作して定期メンテナンスを乗り切っています。
設計段階で“現場担当者の声”をしっかり拾い上げることで、使える装置へと昇華させることができます。

3.IoT・センサー活用という新たな選択肢

2024年現在、成熟製品市場でもIoTやAI活用はますます本格化しています。
“昭和的”な5S・目視文化を“デジタル補強”することで、未来型の現場管理へと進化できます。

例えば、
– 排気抵抗値センサーで堆積を可視化し、清掃タイミングを予測管理
– ガスセンサーやカメラによる粉塵漏れの自動検知
– 点検データをクラウド記録、現場の異常変化を即座にアラート通知

アナログな業界こそ、こうした省人化・遠隔監視技術の導入効果は大きく、 “現場の知見 × デジタル” の相乗効果で新たな競争力を築くことができます。

調達購買・バイヤーの視点 ― 板金加工部材の調達戦略

見積と実コスト:価格だけで選ぶ危うさ

板金加工部材の調達では、部材のみならず保守メンテ性・交換頻度・サイクルコストの総合評価が必要です。
“安かろう悪かろう”で短命な部材を繰り返し発注していませんか?

– 摩耗強度・耐腐食性の数値データを根拠として評価
– 部材寸法や仕様変更履歴のトレーサビリティを調査
– 実際の現場で“素手で持てる重さか”“半年交換で済むか”を必ず実地確認

この“現場起点”の調達・評価が、真の改善、そして現場からの信頼確立へとつながります。

サプライヤーの役割変革

サプライヤーは単なる板金屋ではなく、現場への提案力と課題解決力が求められる時代です。
顧客(バイヤー)が本当に困っているのは「穴あきリスク」や「メンテナンス性の悪さ」です。

– 顧客工場での現場観察や聞き取り調査を自ら実施する
– 摩耗試験データや“現地でのワークショップ”を提案
– 板金加工だけでなく、設置工事・点検・IoT導入もワンストップで引き受けられる体制

こうした付加価値を持つパートナーシップ型サプライヤーは、バイヤーからの信頼が大きく上がり、価格競争から脱し長期的な協業関係を築けます。

今後の展望:業界変革と現場力の融合

排気口部材の板金加工や摩耗粉堆積対策は、表面上は“地味な現場課題”ですが、実は「見過ごされがちな業界の永遠課題」です。
少しの工夫、少しの現場理解の差が、生産効率・安全性・事業継続性を大きく左右します。

これからは
– IoT等最新技術を柔軟に現場へ取り入れる「昭和と令和の融合」
– 調達購買・サプライヤー・現場担当者の三位一体による改善サイクル
– “現場のリアル”を可視化し、全員で支える風土づくり

これらがますます重視されてゆきます。
日本のものづくりを次世代へとつなげるためにも、アナログとデジタル双方の知恵を総動員し、新しい地平線を切り拓いていきましょう。

まとめ

ショットブラスト装置の排気口部材の板金加工、そして摩耗粉堆積問題は、古くて新しい現場課題です。
“問題の本質を捉え”“現場の声と技術を融合させる”ことで、地味な改善が現場力を底上げし、業績・安全・持続的成長へと直結します。

現場のプロ、バイヤーを志す方、そして優れたサプライヤーをめざす方々に、ぜひ実践的な視点として活用いただき、日本の製造業をともにアップデートしていきましょう。

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