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スキーゴーグルOEMで視界クリアを保つ曇り止めコーティング最適化

目次
はじめに:スキーゴーグルOEMの品質が問われる時代
スキーやスノーボードがますます人気を集める中、冬季スポーツ用ゴーグルの需要も増加しています。
その中で、ゴーグル市場に参入したいブランドや企業が、OEM(他社ブランドによる製造委託)を活用するケースが非常に多くなっています。
OEMによるスキーゴーグル製造の現場では、単なる「作る」だけでなく、「どこまで現場の課題を解決する性能を突き詰められるか」が競争力を左右しています。
特に、ゴーグルの曇りは顧客満足度を大きく左右する最重要ポイントの一つです。
本記事では、長年の工場経験者である私の視点から、OEM現場で求められる曇り止めコーティングの最適化について実践的に解説します。
OEMバイヤーを目指している方、今後ゴーグル事業に関わる方、そしてサプライヤー各社にも、現場で蓄積してきた知見をもとに「一歩先」を行く情報をお届けします。
ゴーグルの曇り止め、「なぜ難しい」のか?
スキーゴーグルに発生する曇りのメカニズム
スキーゴーグルの曇りの発生源は、レンズの温度差と湿度にあります。
装着者が呼吸をすることで外気よりも温かく湿った空気がゴーグル内部に進入します。
レンズ表面の温度が低いままこの湿気が触れると、水分が細かい粒となって付着し「曇り」となります。
生産現場の感覚で言えば、「求められる製品スペック」と「現場の工程・コスト・素材特性」のせめぎ合いの中で、最大限の曇り止めを追求するのは簡単ではありません。
特に冬場は外気と体温の差が激しく、かつ激しく体を動かすスポーツでは発汗量も多くなります。
昭和的“曇り対策”の限界
昭和から抜け切れないアナログ現場にも根強く残る解決策、「こまめにゴーグルを外して拭く」「息が触れないように下方向へ吐く」といった根性論や注意書き頼みでは、根本解決にはつながりません。
消費者の評価軸は「実際に現場で困らないか」であることをOEMバイヤーは強く認識すべきです。
曇り止めコーティング技術の進化とトレンド
現代の主流技術とその特色
現在のスキーゴーグルの曇り止めコーティングには、大きく分けて「吸湿性(親水性)コーティング」と「撥水性コーティング」の2種類があります。
前者は、レンズ表面に水分が分散しやすくなり曇りが目立たなくなるタイプ。
後者は、水分をはじいてレンズ表面に付着させにくいタイプです。
さらにハイブリッドコートや、マイクロファイバーの超親水膜など、新素材も次々と登場しています。
バイヤーやエンジニアは表面的な「防曇」「くもり止め」表示だけでなく、技術の本質、特徴やデメリット、自社製品への適合性を深く理解する必要があります。
コーティングの耐久性という現場課題
OEM製品の場合、販売後の返品・クレームはブランド価値を大きく損傷します。
多くのコーティング剤には「拭き取りやすり減り」に対する脆弱性があります。
量産工場では、レンズの成型・印刷・コーティングの工程でわずかな異物混入や温度ムラ、乾燥不良でも性能が左右されます。
製品設計段階で「初期性能」だけでなく、「実使用耐久性」—現場では汗や皮脂がレンズに触れたり、持ち運びや落下時の摩擦が想定以上に発生します。
これらリアルなユーザー環境を織り込んだ評価・品質保証が極めて重要です。
OEMバイヤー・サプライヤーが考えるべき“最適解”プロセス
課題設定:何を持って「視界クリア」とするか?
日本の大手メーカー同士の場合、多くはスペックありきの発注となりがちですが、「何度拭いても大丈夫」「一定の湿度条件下で○分間曇らない」など、曇り止めコーティングの実証試験を明確化することが重要です。
昭和的「なんとなくスペック想定で仕入れる」という受動的バイヤー行動では、アクシデント発生時に事業リスクとなります。
ここで求められるのは、簡単に“表面だけ”で判断しない「ラテラルシンキング(水平思考)」です。
たとえば、スキー場と屋内テスト室で異なる結果が出ることも多いのが曇り止めです。
現場のリアリティを組み込んだ検証をOEM委託先サプライヤーへ必ず求めるべきです。
生産現場を知るバイヤーがとるべき打ち手
・上流(設計段階)からコーティング性能試験を指示する
・最終量産後の抜き取り検査では「現地現物主義」を徹底する
・テスト規格は第三者検証、または複数サンプルによる比較評価を取り入れる
・曇り止め剤の供給ルート、多品種への切り替え、ロット管理をセットで交渉する
これらはすべて、工場長として現場・購買・設計横断で実践してきた経験から生まれた、「現場を守る」ための思考と行動です。
最新OEM現場事例から学ぶ—曇り止め技術最適化までの道のり
事例1:コスト重視から生産性重視へのシフト
以前は「安価な汎用品コーティング剤で数を捌く」ことが日本OEM調達部門の常套手段でした。
しかし、繰り返し使用による性能低下、口コミサイトでの低評価、そして保証リスク拡大を受けて、直近では「多少コスト増でも、長持ち&耐久性」を重視する風潮が強まっています。
たとえば、あるスキーゴーグルOEM案件では、北欧市場での返品率が増加したことから、現地ユーザーテストとワークショップ討議を実施した結果、従来の「一年保証」から「二冬保証」へ設計変更を決断しました。
その際、コーティング剤の再選定と、表面処理工程をすべて見直し、サプライヤーに現地出張指導も行いました。
結果的に、ブランドイメージ向上とリピート注文拡大に直結しました。
事例2:デジタル時代に逆行する“昭和の手作業”の排除
日本の一部老舗ゴーグルメーカーでは、いまだ「熟練職人による手塗り・目視検査」を標榜する例も少なくありません。
しかし拡大する市場、多様化するユーザー層に応えるには、いかにアナログな人海戦術から抜け出すかも重要になります。
最近の推奨アプローチは、塗布精度や硬化ムラが極小化できる自動化プラント導入、AIによる表面検査画像解析など、製造工程自体を「見える化」することです。
これにより再現性が向上し、“優良ロット”と“問題ロット”のばらつきを徹底的に抑えられます。
これからOEMで勝つための、現場発視点による曇り止め最適化戦略
1. 設計・購買・現場の“三位一体”実現
企画(設計)、購買、製造現場、品質保証が一枚岩になること。
これができなければOEM製品の競争力は一過性のものになりがちです。
現場主義、現物志向を重視しつつも、データ活用やリスク分析も統合してください。
2. サプライヤー選定基準の再構築
従来は「価格」や「納期」だけがサプライヤー評価指標でした。
しかし、曇り止めコーティングの場合には、「自社でどれだけ技術的裏付けと耐久実績があるか」を見極め、ぜひ現地工場監査やコンサルティング(共同試験・開発)も積極的に導入するべきです。
3. バイヤーの現場リテラシー向上
紙上やウェブ上の仕様情報だけでは、本当に現場で困らない「視界クリア」が得られません。
最低でも、冬季現場で数回自社ゴーグルを装着し、不満点や改良点を肌で感じてみてください。
現場経験を持つ購買担当こそ、劇的な品質改善の起点となります。
まとめ:世界水準のゴーグル品質へ、“一歩先”の提案を
曇り止めコーティングは、スキーゴーグルOEMの品質の要です。
最終消費者に「曇らず、クリアな視界」でウィンタースポーツの感動を届けるためには、バイヤー、設計者、サプライヤーが、現場目線と科学的アプローチを融合する必要があります。
昭和的な「慣習」や「価格至上主義」から一段階抜け出す時期です。
バイヤーの奥深いリテラシーと、サプライヤーの現場力が結びついた時、「世界標準」を超える製品開発が実現できます。
曇り止め技術の最適化はゴーグル産業の発展だけでなく、その先のユーザー満足が生み出す新たな価値と信頼をもたらします。
ぜひ、本記事で得た知識・視点を自社現場に“落とし込み”、真に価値ある製造業をともに築いていきましょう。
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