スライディングボードOEMがコア安定性を高める低摩擦ハニカムシート＋耐久バンパー

はじめに：スライディングボードOEM市場の現状と課題

スライディングボードは、今や製造業の現場だけでなく、医療や介護・物流分野などさまざまな業界で幅広く利用されています。

一見すると単純な製品に見えるスライディングボードですが、OEM（相手先ブランドでの供給）要求が高まるなか、多様なニーズに細やかに応える必要性が増しています。

現場では「もっと滑りやすくしてほしい」「とにかく長持ちしてコスト削減したい」「安全性が最重要だ」といった声が絶えません。
一方で、昭和のアナログなものづくりの延長線上では、もう通用しなくなりつつあります。

この記事では、長年にわたり製造業の現場に携わってきた立場から、OEM供給で求められるコア安定性を高めるための「低摩擦ハニカムシート＋耐久バンパー」というアプローチについて、現場目線かつ実践的に掘り下げます。
バイヤーを目指す方や、サプライヤーの立場で「バイヤーの本音」を知りたい方にも必読の内容です。

なぜコア安定性が重要なのか？スライディングボードの基本と現場ニーズ

スライディングボードとは何か？基本構造の復習

スライディングボードは、荷物や人、部品などを滑らせて移動させるためのフラットな板状の製品です。

病院ではベッドからストレッチャーへのベッド移乗、工場では重量物のロジスティクス、ライン搬送、また自動車や精密機器の組み立て工程でも重宝されています。

基本的な構造は「表面が滑らかで剛性を持ち、重さに耐え、且つ長寿命である」こと。
”滑りの良さ”と”安全性”、”耐久性”のバランスが重要です。

OEMバイヤーが求める本当の「安定性」とは

メーカーやバイヤーがOEMに厳しく求めるのは「品質のムラがない安定した性能」と「現場での使いやすさ」です。

スライディングボードの場合、”安定性”とは
– 曲がりやたわみが少なく何度使っても性能が変わらないこと
– 滑りの質（摩擦係数）がロットや経年でバラつかないこと
– 端面や角が摩耗せず、怪我を招かないこと
これらが求められます。

従来のアナログ設計や管理では、これらの全てを安定して満たすことは困難でした。

低摩擦ハニカムシートで変わる「滑り」と「軽さ」の新基準

ハニカムシートとは何か？

ハニカム（Honeycomb）は、蜂の巣状の六角形構造を持つ素材のことです。

アルミや樹脂で成型されたこの構造は、
– 軽さと高剛性
– 衝撃吸収力
を両立できる素材として、航空・宇宙分野や近年では建築資材にも使われています。

このハニカムを、スライディングボードの「芯材」に応用する動きが拡がっています。

低摩擦ハニカムシートがもたらすメリット

最大の特長は、表面に低摩擦シート（例：特殊ポリエチレンやPTFEコーティング）を組み合わせることで、以下2つのメリットが得られる点です。
– 軽量ながらボードの反りやたわみが極端に少ない＝コア安定性が劇的に向上
– ローコストで一貫した低摩擦特性を持たせられる＝滑りやすいがコントロールしやすい

これにより、従来品にあった「初期は滑るがすぐ摩耗する」「重くて取り回ししづらい」という問題を、根本から解決します。

ハニカムコアが業界にもたらす変化とは？

従来のボードでは木や樹脂の単一材料が主流でしたが、「軽い・強い・安い」を両立させるハニカム構造は、今後OEM供給製品の新しいスタンダードとなる可能性が高いです。

特に日本の大手製造業や病院・介護向けサプライヤーなどは、”地味だけどインパクトが大きい技術革新”には即座に飛びつきます。

この部分でも、業界が「昭和のモノづくり」から「分子レベルの構造設計」へと舵を切り始めていることが分かります。

耐久バンパー搭載で安全性と寿命を両立

現場で多発している「端部損傷」の現実

スライディングボードのOEM供給で、「クレーム頻度No.1」は実は端部やコーナーの割れ・欠け・ささくれです。
荷重や落下ショックが累積する端面は、設計検証段階で見落とされがちです。

小さな欠けや割れでも、作業者の手や荷物を傷つけるだけでなく、
「せっかくの滑りが悪化する」
「細かい粉やゴミが機器に入り込む」
といった二次被害で、サプライチェーン全体の信頼性低下につながります。

耐久バンパーで「壊れにくさ」と「安全性UP」

最近、OEM向けの最新スライディングボードでは、端部に「耐久バンパー」と呼ばれるクッション性や高耐摩耗性を持つ樹脂パーツを組み込んでいます。

以下のような工夫がトレンドです。
– ダブルインジェクションで本体と一体成型
– ポリウレタンやTPV（熱可塑性エラストマー）を用いた厚み1㎜以上の保護層
– 角が”面取り”されて滑らかな曲面に加工

これにより
– どんな方向からの落下衝撃にも割れない
– 作業者が安心して扱える
– 端部からの摩耗がほとんど発生しない
という信頼性の高さが得られます。

部材値上げや物流の混乱で「もう、割れて使えなくなるのはカンベン！」という現場サイドの強い要求にも応える大きな武器となります。

バイヤー視点：OEM調達で今重視される「総合的な安定」とは

価格だけでは選ばれない時代へ

従来、日本のサプライヤーは「最低価格」「一定品質」「納期遵守」が選定基準でした。

ところが
– グローバル調達の拡大
– ES（従業員満足度）や安全基準重視
– 現場リーダーの世代交代
によって、OEMバイヤーが重視するポイントが変化しています。

今は「現場が本当に使いやすいもの」「ライフサイクルコストが低いもの」を明確に求められる傾向が強まっています。

バイヤーが現場から拾い上げている新たなチェック項目例

– ”滑り”が一貫して良く、環境条件や湿度に左右されないか
– 端部や角のダメージまで含めて保証する設計になっているか
– 軽くて作業者負担が少ないか
– 1年後・2年後でも性能が劣化しにくい形状や素材か
– 清掃性・衛生性（特に医療分野）が良いかどうか
– 既存の物流システムや棚にピッタリ合う設計か

OEM提案では、こうした「運用の現場を見つめた提案力」がますます求められています。