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靴のアウトソールの耐摩耗性を高める素材配合と試験方法

目次
靴のアウトソールの耐摩耗性を高める素材配合と試験方法
靴のアウトソールは、日々の歩行や作業による摩耗や損傷が避けられない重要な部品です。
快適な履き心地や安全性を維持するためには、アウトソールの「耐摩耗性」が非常に大きな役割を担います。
近年、作業現場やスポーツ分野においても耐摩耗性の高い靴の需要が急速に高まっており、素材開発や製造技術の進化が求められています。
しかし、伝統的な製造現場では古くから伝わる素材配合や試験法のまま、抜本的な改善が遅れている場合が多いのも事実です。
本記事では、経験豊富な現場目線で「靴のアウトソールの耐摩耗性を高めるための最新の素材配合」と「実際に現場で使われている試験方法」について詳しく解説します。
現代の製造業における戦略や、アナログな業界動向の中で生き抜くためのヒントにも触れます。
アウトソールの耐摩耗性の基本
耐摩耗性とは何か
耐摩耗性とは、材料が摩擦によって削れたり減ったりすることに対する抵抗力のことを指します。
靴の場合、アウトソールは地面に直接触れるため、耐摩耗性が低いと使用期間が大きく短縮されてしまいます。
また、すり減りが早いことで滑りやすくなったり、形状が崩れて快適性・安全性にも影響が出てしまいます。
現場の課題と消費者ニーズ
現場では、コストや大量生産性とのバランスをとりながらアウトソールの品質向上が常に求められます。
近年はEC普及の影響もあり、小売からの「長持ち」「コスパに優れる」というリクエストが増えています。
一方で、日本の靴業界の多くは下請け体質や伝統的な加工手法が色濃く残っており、なかなか最新技術の導入が進みにくいのが現状です。
耐摩耗性を高める素材配合技術
代表的なアウトソール素材の種類
アウトソールに使われる素材は主にラバー(ゴム)、EVA(エチレン酢酸ビニル)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)などが挙げられます。
それぞれ特徴が異なり、最適な配合設計が求められます。
- ラバー:天然ゴム/合成ゴム。耐摩耗性、耐油性に優れる。やや重い。
- EVA:軽量でクッション性が高い。摩耗しやすい点が弱点。
- TPU:高い耐摩耗性と柔軟性を両立。ややコスト高。
耐摩耗性を向上させる素材配合の工夫
現場では、主原料とともに加硫剤や補強フィラー、可塑剤などの微調整を繰り返して、最適なバランスを探ります。
具体的なポイントは以下の通りです。
- カーボンブラックの添加:ゴム配合において耐摩耗性を劇的に向上させます。ただし、過多だと屈曲性や柔らかさが損なわれる点に注意が必要です。
- シリカフィラーの活用:近年はシリカをはじめとした微粒子フィラーが脚光を浴びています。耐摩耗性だけでなく、グリップ力向上にも寄与します。
- 架橋密度の最適設計:加硫条件や架橋剤の種類を調整し、ゴムの分子レベルで強靱さと柔軟性を両立させる設計が求められます。
- 多層構造:スポーツシューズなどでは、接地面に最も強い素材、それ以外に軽さやクッション性重視の素材を組み合わせたサンドイッチ構造も増えてきています。
現場での最新事例と動向
工場の現場では、欧米ブランド向けOEM/ODM製造が増える中、高度な素材要求に応えるため中国・東南アジアの協力工場を活用する動きも盛んです。
一方、昭和から続く国内メーカーでは、コストと品質のバランスを崩さない範囲で地道な配合改良が続けられています。
TPUなど新素材への切り替えは一気に進むものではなく、実現可能な範囲で「カーボンブラック」や「補強剤」の追加、「配合レシピ」の微調整が日常業務として根付いています。
アウトソール耐摩耗性の代表的な試験方法
JIS・ASTM規格に基づく試験
製品出荷前には、必ず耐摩耗試験を行うことが業界標準となっています。
特に下記のような規格が広く使われています。
- JIS K6264:ゴムの摩耗損耗度測定(ランボーン式摩耗試験)
- ASTM D5963:Standard Test Method for Rubber Property—Abrasion Resistance
試験機に試料(アウトソール部分)をセットし、規定荷重・速度で回転させたり、定められた砂・研磨紙の上で擦り、重量損失や厚み減少量を測定します。
現場で実際に行われている摩耗試験の流れ
1. 試験片の作成(一定サイズで打ち抜き)
2. 試験条件のセット(荷重・速度・時間等)
3. 摩耗試験開始
4. 試験後、重量・厚み・表面状態などを測定
5. 光学顕微鏡や画像解析による損傷パターンの評価
大手工場では自動試験装置を導入していますが、中小現場では昭和からの「摩耗試験機」による手動操作も根強く残っています。
しばしば「試験片を人の手でセット→測定→重量計で確認→台帳に記録」といったアナログ作業が重視されています。
実用現場でのフィールドテスト(現場耐久試験)
一方、実際の使用状況に近いフィールドテストも重要です。
現場作業員や営業担当が一定期間着用し、摩耗状態を直接評価する手法もまだ多用されています。
定量データだけでなく「どこが先に、どのように摩耗するか」「滑りやすさや硬さの変化」など現場感覚を反映できるメリットがあります。
素材選定・品質保証における課題と業界動向
なぜ現場力が重要になるのか
設計部門と現場(工場)はしばしば分断されやすく、最適な素材を求めて試行錯誤が続きます。
とくに日本の製造業現場では、調達バイヤーとサプライヤー、現場の作業員が垣根を超えて「実際の使われ方」を議論する文化が根付いていません。
このため、素材開発者やバイヤーも「耐摩耗性は数値試験でOKなら合格」と判断しがちです。
しかし、現場で分かる「ちょっとの差」が靴の寿命・安全性を大きく左右します。
昭和的アナログ手法からデジタル化への潮流
海外では非破壊検査やAI画像判定、IoTデバイスによる摩耗進行のリアルタイム検知が進んでいます。
一方、日本の多くの工場・メーカーでは、根強く帳簿手書き管理やアナログ的な試験・評価が続いています。
この「昭和的な業務プロセス」には曖昧さや判断の個人差が残る一方、現場の微妙な変化や「ノウハウの蓄積」が評価され、独特の品質安定力に繋がっているとも言えます。
未来を拓くBtoBバイヤー・サプライヤーの視点
調達購買・バイヤーを目指す方は、単なるカタログスペックや購買単価比較だけでなく、現場の生の声やフィールドテストの重要性を理解することが不可欠です。
サプライヤーとしては、顧客(バイヤー)の本音・困りごとを的確につかみ、単なる「耐摩耗性OK」では終わらせない提案力が求められます。
双方で「耐摩耗試験の数値+実地着用の質的評価」という二本柱が連携すれば、業界の品質基準そのものが大きく進化する素地が生まれます。
まとめ:現場発想で靴のアウトソール開発力を高めるために
靴のアウトソールの耐摩耗性を最大化するには、素材選定の合理性と現場の実用的な知見の両立が必要不可欠です。
現場目線で「何のために・誰のために」摩耗対策を講じるのかを常に見失わず、永年の蓄積技術と最新素材の良い所どりを目指しましょう。
また、調達・バイヤーサイドも「現場感覚」と「科学的データ」のバランスを意識した選定・改善を推進すれば、業界全体の競争力強化にもつながります。
成熟しきった業界だからこそ、現場・設計・バイヤー・サプライヤーが一体となって地道な進化を重ねていきたいものです。
靴のアウトソールに限らず、製造業全般における現場発フィードバックと素材開発力の融合が、これからの日本のものづくりの明日を拓きます。
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