調達購買アウトソーシング バナー

投稿日:2026年2月16日

人手不足対策が短期離職を防げないケース

はじめに ~人手不足解消=定着率向上ではない現実~

日本の製造業現場では深刻な人手不足が続いています。
人口減少や高齢化、若者離れなど様々な要因が絡まり合って、従来型の採用活動だけでは戦力補充が追いつかなくなっています。

多くの企業が人手不足を何とかしようと、人材募集・採用条件の見直し・派遣や外国人材の活用など、様々な対策を講じています。
ですが、それにも関わらず「せっかく採用したのに、すぐに辞めてしまう」「短期離職の連続で慢性的な人手不足が続く」と頭を抱える現場は少なくありません。

「人手不足対策」と「短期離職防止策」は似て非なるものです。
本記事では、製造業の現場でよく見られる“人手不足対策がなぜ短期離職に歯止めをかけられないのか”という現象について、実体験や業界動向を交えて深掘りします。
またその根本原因と、昭和時代から続くアナログ業界ならではの課題、そして新時代に向けた実践的なヒントも提案します。

人手不足と短期離職の関係性~「人がいない」≠「人が続く」~

人手不足対策の王道:数合わせ志向の採用活動

多くの製造業がまず真っ先に取り組むのは「人を増やす」ことです。
求人媒体を広げ、面接の間口を広げ、採用基準や条件を下げ、採用数の増加を目指します。
「入れなければ回らない」という切実な現場事情を知っていますので、やむを得ない面が多いでしょう。

ですが、ただ“入れる”ことだけに力点を置くと「短期離職」に直結するという事実を、私たちは痛感することになります。

短期離職が絶えない4つの典型パターン

1. 入社後のギャップ(仕事内容・職場環境)
2. 教育・フォロー体制の不全
3. 人間関係・組織風土の古さ
4. 評価・処遇への不満

これらはいずれも「人を入れれば解決する」タイプの問題ではありません。
要するに、入り口での数合わせだけでは、根本解決に至らず、ウォーターフォール型の入れ替わりが続いてしまうのです。

短期離職を引き起こす“昭和的構造”の残存

多くの現場では、昭和時代からの“根性論”“我慢強さ”“見て覚えろ”方式が色濃く残っています。
そのため、仕事内容や教育体制、人間関係構築の仕組みがアップデートされていません。

求職者と企業側との差が広がり、ミスマッチが多発する時代に、こうした“昭和的アナログ構造”が短期離職を助長しているのです。

現場ならではのリアルな短期離職要因

1. 段取り・指示系統が不明瞭

現場作業で新人が戸惑う最大の理由は、「何を」「どこで」「どうやって」やればよいか分からない状態です。
熟練者は阿吽の呼吸で働いていますが、新人には“常識外”の工程やルールが多く、次第に精神的負担が増します。

指示系統が曖昧だと「自分は必要とされていない」と感じ、離職の引き金になります。

2. 誰にも聞けない・教えられない… 固定化された組織体質

「手は出さず、目で見て体で覚えろ」「わからなければ自分で考えろ」という暗黙のルールが残る職場では、新人が孤立しがちです。
ミスをした時の叱責の強さや相談できる雰囲気のなさが、短期離職を一気に加速させる重大要因です。

3. 休みや待遇面への誤認

「土日休み」「夜勤ナシ」だと聞いて入社したが、繁忙期には休日出勤や早出残業が当たり前。
製造業特有の“波”を伝えきれず、現場でのギャップに絶望して辞めてしまう、という例が後を絶ちません。

これは求人票や面接時の説明と現実の乖離が大きければ大きいほど、深刻な問題となります。

4. 小さな達成感・承認を与えるスキームがない

慣れない単純作業が続き、誰からも褒められず「自分はここに価値を感じられない」と思った時点で、退職へのカウントダウンが始まります。
製造現場は成果・成長の「見える化」、「小さな承認」の仕組みが不可欠です。

現場改革と短期離職防止のための“ラテラルシンキング”

上記のような “人手不足対策への没入” とは一線を画す、抜本的な発想転換が必要です。
以下に、私が現場で実践し、一定の成果をあげた事例を交えて紹介します。

1. 採用基準を落とさず、“マッチ度”を高める「職場見学・短期体験」

採用活動を充実させるには「いかに多く集めるか」ではなく「いかにマッチングさせるか」が重要です。
私の現場では、面接前に職場を実際に案内し、「現実」を知ってもらう制度を徹底しました。
加えて、短期体験(有給のインターンシップやお試し就業)も活用。
この手順を挟むことで、職場の空気や作業環境、ルーティンワークのリアルさを肌で感じてもらい、入社後のギャップを最小化しました。

結果、“応募者数”はやや減りましたが、入社後の継続率は大きく向上しました。

2. 「昭和の職人」から「現代の伴走者」へ:教育係の役割転換

現場中心の教育体制を「上の言うことを黙って聞け」方式から「必ず伴走する」「一日一件フィードバックをもらう」方式に刷新しました。
実際、新人の離職が最も多かったのは、初日~1週間以内だというデータも。
このタイミングで、“必ず誰かに相談できる場”を設けることが、短期離職の抑止力となります。

教育係に指導研修を実施し、「叱ること」と「伴走すること」を分けて考える文化を植えつけることも大切です。

3. “現場の古参”が語る魅力・やりがいを可視化する

単なる仕事のハウツーだけでなく、「この作業がどんな社会貢献につながるのか」「どこに面白みがあるのか」といった話を“古参”に語ってもらうワークを企画しました。
新旧ベテランの「製造業は何が面白いのか」を伝承し、働く意義へとつなげます。
これによって、「何のために働くのか」という根本の納得感を与え、短期離職抑止に寄与しました。

4. デジタルツール活用で現場ノウハウの継承を加速

「どうやったら仕事が楽に回せるか」「何が分かれば安心できるか」を徹底的に調査し、工程マニュアルや段取り表、動画マニュアルをスマートフォンでいつでも閲覧できる環境を整備しました。
これはDX推進の一環ではありますが、最も喜ばれるのは実は“新人”たちです。
作業の流れや注意点、現場独特の“クセ”も含めてデータ化しておくと、「自分だけ分からないままで浮いてしまう」ストレスが減少し、短期離職率の抑制に直結します。

経営層・バイヤー・サプライヤーへのアドバイス

現場力=持続的なバリュー提供のカギ

製造現場の真の価値は「熟練者の手の動き」による品質保証だけでなく、「変化する人材環境に柔軟に適応する組織体制」にこそ存在します。
短期離職を防げない構造を放置すれば、生産リードタイムの長期化、コストアップ、最悪の場合は顧客信頼の喪失に直結します。

バイヤーの視点

サプライヤー選定や監査の際、現場の人材育成や定着率、チームワークの度合いまで目を配るバイヤーが増えています。
製品やコストだけでは評価できない、現場力・組織風土もしっかり見抜く姿勢を新時代のバイヤーは持つべきです。
逆にサプライヤー側は、「短期離職を許さない現場風土」をアピール材料にできます。

まとめ~「昭和」の延長線には未来がない

人手不足対策=人を入れることで全てが解決する時代は、もう終わりました。
これからは「誰を、どうやって現場に馴染ませ、価値を発揮してもらうか」に本質的な経営資源の集中が求められます。

そのためには、現場目線の“実践的な仕組みづくり”、数よりも質を重視した採用と育成、昭和的アナログ思考からの意識変革が欠かせません。

バイヤー、サプライヤー、現場管理者、それぞれの立場で“人材の流動性”と“現場定着力”にもっと注目し、未来のMonozukuriを切り拓いていきましょう。

短期離職防止のカギは、「人手不足対策」とは別の視点にある。
この事実こそ、多くの現場経験者が伝えたい“次世代への知恵”です。

調達購買アウトソーシング

調達購買アウトソーシング

調達が回らない、手が足りない。
その悩みを、外部リソースで“今すぐ解消“しませんか。
サプライヤー調査から見積・納期・品質管理まで一括支援します。

対応範囲を確認する

OEM/ODM 生産委託

アイデアはある。作れる工場が見つからない。
試作1個から量産まで、加工条件に合わせて最適提案します。
短納期・高精度案件もご相談ください。

加工可否を相談する

NEWJI DX

現場のExcel・紙・属人化を、止めずに改善。業務効率化・自動化・AI化まで一気通貫で設計します。
まずは課題整理からお任せください。

DXプランを見る

受発注AIエージェント

受発注が増えるほど、入力・確認・催促が重くなる。
受発注管理を“仕組み化“して、ミスと工数を削減しませんか。
見積・発注・納期まで一元管理できます。

機能を確認する

You cannot copy content of this page