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織布中の毛羽飛びを抑える静電気防止と湿度管理法

目次
はじめに:織布現場における毛羽飛びの深刻な課題
製造業に従事する現場担当者や品質管理者の多くは、織布工程における「毛羽飛び」に頭を悩ませているのではないでしょうか。
織布中の毛羽飛びは、製品の品質低下につながるだけでなく、設備障害や作業環境の悪化、ひいてはクレームやロス発生源ともなり得る現象です。
特にアナログ作業が根強く残る昭和スタイルの現場では、職人技や経験則に頼りがちで再現性や標準化が難しいのが実情です。
しかし、近年では生産性向上や品質安定化が課題となり、現場の知恵だけでなく、科学的・論理的アプローチによる「静電気防止」と「湿度管理」が極めて重要視されています。
本記事では、製造現場で培った実体験と、最新の業界動向を織り交ぜながら、毛羽飛びを抑えるための静電気対策と湿度管理の実践的手法を詳しくご紹介します。
毛羽飛びのメカニズムと現場での影響
繊維業界特有の「毛羽」とは何か
まず、「毛羽」とは糸や織布の表面から飛び出した細かな繊維のことで、織布時の摩擦や静電気によって発生しやすくなります。
その発生要因には、原材料の品質、前工程の紡績条件、織機の設定、作業環境(温度・湿度)、そして静電気が複雑に絡み合っています。
毛羽飛びがもたらす現場の困りごと
毛羽飛びが多発すると以下のような不具合を招きます。
– 製品の見た目(外観不良)や肌触りの悪化
– 織機や設備への付着によるメンテナンス頻度増加
– 空調や排気設備のフィルター詰まり、火災リスク増加
– 職場の粉塵環境悪化による健康リスク上昇
こうした損失を防ぐため、根本的な対策として「静電気防止」と「湿度管理」が求められています。
静電気が毛羽飛びを増長させる理由
現場で頻発する静電気発生の仕組み
織布現場では、糸同士や糸と金属部品が高頻度で擦れ合います。
このとき、異なる素材間で電子の移動が起き、片方がプラス、もう片方がマイナスに帯電します。
この帯電状態が進行すると、糸にまとわりついた毛羽が電気的に引き寄せあったり、押し出されたりして空中に舞うのです。
乾燥した冬場や空調設備中心のクリーンルーム環境では、特に静電気の発生が顕著です。
静電気の発生が製品・設備にもたらす悪影響
静電気による毛羽飛びが増えると、糸の絡み、織布のムラ、織組織の乱れなど様々な品質トラブルのリスクを高めます。
また、機械のセンサー部分や給糸系に毛羽が付着することで設備トラブルの原因が増え、メンテ工数や人員コストも増大します。
したがって、静電気のコントロールはコストダウン・クレーム減少の重要なポイントと言えるのです。
静電気防止のための現場で有効な対策法
1. 難しい現場でも取り入れやすい静電気除去器・イオナイザーの活用
従来、静電気対策といえば価格や設置面でハードルが高いと言われていました。
しかし近年は、小型化・低価格化が進み、ブロア型イオナイザーやバー型イオンバーなどが市販されています。
織布機周辺や給糸部に設置することで、帯電した毛羽を空中で中和・除去できます。
現場導入時は以下のポイントを重視しましょう。
– 毛羽発生源ごとに設置場所・角度・吹き出し量を調整する
– 定期的に清掃し、イオン発生効率を維持する
– 現場ニーズに応じた連結・分割設計を検討する
2. 導電性ローラーや静電防止フィルムの活用
給糸ローラーや織布の搬送部などに、導電性のある部材や静電防止コーティング処理を施すことで、面で静電気を除去する方法も有効です。
現場の摩耗しやすい箇所には、交換しやすいシートタイプの導電材を用いるのがおすすめです。
3. 作業者の静電気アース対策
設備だけではなく、現場作業者自身も静電気対策が必要です。
帯電防止靴やリストバンドの他、制服に帯電防止加工を施す対策も効果的です。
アナログな現場でも、ちょっとした意識の変化で毛羽飛びが抑制できる場合があります。
湿度管理がなぜ毛羽飛び抑制に効くのか
湿度と静電気の密接な関係
静電気の発生しやすさは空気中の水分量、つまり「湿度」と深い関係があります。
例えば、冬場の湿度30%以下の状態では、静電気は数千ボルト〜数万ボルトにも達しやすく一層毛羽が舞いやすくなります。
対して、湿度50〜60%に保つことで、空気中の水分が絶縁を弱めて静電気を自然放電させやすくなり、毛羽の飛散減少につながります。
製造現場での湿度管理の手法
湿度管理の基本は、「加湿器」と「サーキュレーター(空気循環器)」の併用です。
加湿器で安定した湿度を供給しつつ、サーキュレーターで室内の湿度ムラを解消することがポイントです。
また、最近ではIoTを活用した温湿度センサーのネットワーク化により、各工程や機械ごとの最適湿度管理が可能になっています。
難しい現場条件下では、区画単位・現場担当者単位でマニュアル化し、チェックリストによる徹底が求められます。
実践!昭和アナログ現場でも取り入れやすい毛羽飛び抑制施策
すぐにできる見える化+現場改善
設備の近くに市販の湿度計・温度計を設置し、毎日同じタイミングで数字を記録しましょう。
アナログ管理でも「チェックする・記録する・振り返る」を徹底することで、湿度不足による静電気発生タイミングが“見える化”できます。
発生傾向がわかれば、「この時間・この気象条件では加湿器を動かす」「この場所は静電気除去器を増設する」など、ピンポイントな改善が可能です。
現場作業員のちょっとした行動変容
毛羽が多い日は作業者の衣服や手に帯電していないか、自ら確認する。
機械清掃のタイミングで、絶縁部やベアリング付近も確認して毛羽やホコリを徹底的に除去する。
こうした“人”による管理も昭和型現場では特に有効です。
サプライヤーや資材メーカーとの情報連携
毛羽の原因には糸材や前工程品質も影響します。
単純な現場改善だけでなく、原糸サプライヤーと定期的に情報共有し「帯電防止糸」や「減毛羽加工糸」などの最新技術をいち早くテスト導入するといった協業も競争力向上に役立ちます。
生産管理・調達バイヤー視点の“本音”と今後の動向
品質・コスト・環境対策の三位一体へ
バイヤーや生産管理担当者は、求められる品質基準(特に海外輸出先の厳格な毛羽管理)とコスト削減、さらにはSDGsへの対応まで同時に追求する必要があります。
静電気・湿度対策はクリーンな工場環境を築くうえで不可欠であり、今後はIoTやAIによる「自動監視・自動制御」型のスマートファクトリーへの進化が不可避となるでしょう。
サプライヤーが知っておくべきバイヤーの着眼点
– 毛羽管理の数値化・トレーサビリティ化できているか?
– 静電気防止や湿度管理が工程全体に標準化されているか?
– 品質+コスト+環境配慮を両立できる資材や工法の提案力
こうした視点を持つことで、単なる現場対応から「バリューチェーンの最適化」へと進化し、強いサプライヤーポジションを構築できます。
まとめ:織布現場の地道なカイゼンこそが未来を開く
現場で20年以上カイゼン活動に携わってきた私の経験から強調したいのは、「毛羽飛び抑制には仕組みと人の両面からの地道な取組みが不可欠である」ということです。
静電気防止・湿度管理は効果が見えにくい地味な領域ですが、コツコツ積み上げることで、品質向上・設備寿命延長・作業環境改善という三方良しの成果につながります。
読者の皆さんも、ぜひご自分の現場で今回お伝えした実践的なポイントを一つずつでも取り入れてみてください。
「人」「設備」「仕組み」「サプライヤー協業」、それぞれが変化することで、昭和から令和へ──製造業は着実に生まれ変わることができます。
織布現場の小さな一歩が、業界全体の大きな進化へとつながることを願ってやみません。
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