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ワークフロー多段階承認で高額発注の統制を厳格化するnewji活用例

目次
はじめに:製造業の発注現場で求められる統制強化の背景
製造業の現場は、依然としてアナログな業務プロセスが多く残り、昭和時代から引き継がれた慣習的な管理が根強く存在しています。
しかし、市場のグローバル化やサプライチェーンの複雑化が進み、発注業務の透明性や内部統制の強化が急務となっています。
特に高額な発注や予算外の購買については、不正リスクやコスト超過の潜在的な問題が付きまといます。
ワークフローによる「多段階承認」の導入は、単なる形式的なチェックを超えて、組織全体のコンプライアンスと効率化を実現するキーデバイスになってきました。
近年注目されるnewjiなどの業務支援ツールを活用することで、従来の属人的・アナログ的な運用からの脱却も十分に可能です。
本記事では、私が20年以上大手製造業メーカーの現場で経験してきた視点から、多段階承認の意義と、newjiを活用した具体的な統制強化の実践事例を解説します。
バイヤー志望の方やサプライヤーの皆様にも、「なぜ多段階承認が求められるのか」「現場の本音」「アナログ文化の壁」「時代に合ったワークフロー設計」「newji導入の成功ポイント」まで、深く掘り下げて理解いただける内容にしています。
多段階承認ワークフロー導入の必然性
従来型・単一承認の問題点
これまで多くの製造業組織では、現場担当者から購買部門・部課長といった流れで、比較的単純な承認プロセスを踏んでいました。
しかし、この「1〜2名の承認者でOK」という体制には、次のような問題点が内在しています。
・現場担当と承認者の距離が近く、「忖度」や「阿吽の呼吸」でGOとなりやすい
・本来であれば経営層や関係も持つべき金額レベルの支出が、現場レベルで完結してしまう
・不適切な仕入れや不正発注でも、厳格なチェックが機能しにくい
昭和型経営の良い点は「責任者の顔が見える・臨機応変な判断ができる」ことですが、不正や間違いを未然に防ぐガバナンスの面では、時代の要請に応えきれていない実態があります。
多段階承認によるガバナンス強化
多段階承認ワークフローでは、発注金額、品目、取引先ごとに「複数の承認段階」を設定します。
例えば、
・50万円未満:現場長承認
・50万円以上:現場長+部長+購買部長承認
・1000万円以上:上記+役員承認
といった形で、金額が大きくなるほど経営層までが関与するルール設計が行われます。
この運用のメリットは、
・発注内容が複数の視点から多角的に審査される
・組織内の「ダブルチェック」「トリプルチェック」が自動化される
・内部統制として監査対応しやすくなる
・厳格な判断基準に基づき承認履歴が可視化される
ことです。
特に、数百万円〜数千万円クラスの高額発注では、社長・役員レベルがしっかり目を通すことで、「現場の暴走」や「リスクの見落とし」を大幅に抑止できます。
製造現場の実態とアナログ文化の壁
なぜ製造業はアナログな承認が根強いのか
筆者は現場長、購買部門責任者として、数々の承認プロセスを見てきました。
紙の伝票や判子文化、上長の「顔パス」、電話や口頭での「非公式な合議」で物事が決まるなど、現場独自の「慣習」が今も色濃く残っています。
その背景には、
・急なトラブル対応や短納期要求など「現場の機動力」を最優先してきた歴史
・ベテラン担当者の経験則と人脈で進む「職人的」な判断
・ITリテラシーの壁、「システム化すると結局手間」「変わることへの抵抗感」
が根付いています。
しかし、このやり方は属人化リスク、不正発覚時の追跡困難、監査指摘の温床となりがちです。
特にコンプライアンスが問われる現代、統制強化は避けて通れません。
デジタル化×多段階承認で何が変わるか
業務プロセスを徹底デジタル化し、ワークフローに多段階承認を組み込むことで、次のような変化が起こります。
・紙からデジタルへ:承認書類の紛失や改ざんリスク減、いつでもどこでも確認
・承認ルートの自動設定:属人化排除、正しいルートで必ず審査される
・承認履歴の可視化:トレーサビリティ担保、監査対応も迅速
・通知やリマインダー:承認遅延の解消、決裁スピードUP
現場ベースで「忙しい、面倒、複雑」と感じられがちな変革ですが、一度設計・運用を軌道に乗せられれば、統制も機動力も両立した理想的な組織運営が実現します。
newjiを活用した多段階承認ワークフローの導入・運用例
newjiとは何か?製造業特化型のメリット
newjiは製造業の業務プロセスに特化したワークフロー(業務管理)サービスです。
特徴は、
・購買申請→承認→発注→検収→支払の標準業務フローが用意されている
・自社の承認ルール(金額別・担当者別など)を柔軟に設定可能
・SaaS型で即導入でき、現場に合わせてカスタマイズも容易
・外部会計・ERP等との連携実績が豊富
となっています。
筆者の経験でも、複雑な製造現場の事情に合うツールはなかなか見つからず、新システムが現場に定着しない…という悩みを多く聞いてきました。
その点、newjiは現場・管理部門・経営層の三者それぞれの目線を織り込んだ仕組みを持っているのが最大のメリットです。
具体的な活用フローと現場の工夫点
newji導入の一例を紹介します。
1. 購買申請
現場担当者が画面上で必要事項(金額、品目、取引先、見積内容)を入力し購買申請。
従来の「手書き申請・Excel添付・メール送信」から、ワンクリックで申請できる仕組みへ移行。
2. 承認ルートの自動決定
申請内容に応じて、承認ルートが自動生成(金額、部門、緊急度など)。
例:通常発注は部長承認、100万円超は本部長・財務部役員承認など。
3. 承認者への自動通知&進捗管理
承認者にはメールや社内チャットで自動通知。
承認が滞っている場合は催促が自動送信され、申請者も進捗状況をリアルタイム確認可能。
4. 承認履歴の保存・監査対応
すべての決裁者とその判断(承認/否認)が時系列で記録化。
過去の申請内容も、数クリックで一括検索・ダウンロード可能。
5. データ分析による継続的改善
どの部門で承認が遅れやすいか、どんな申請が否認されるのかなど、ログ集計で“現場の課題”が見える化。
内部統制の観点でも、定期的なレビュー・フロー見直しが容易です。
多段階承認の仕組みは、単に「上長をたくさん通す」ことが目的ではありません。
現場のオペレーション負荷や、緊急時の特例運用も考慮したカスタマイズが重要です。
たとえば「◯営業日以内に未承認の場合、自動で次工程に進む」「特例申請は理由とログ必須」など、現場目線でのルール設計が成功につながります。
多段階承認ワークフローの導入効果
不正リスク・コンプライアンス強化
多段階承認とnewjiの組み合わせによる最も大きな効果は、不正発注やガバナンスリスクの大幅な減少です。
・関係者複数名の目を通すことで、個人的な判断ミスや不正の抑止
・「この金額なら上司に相談しなければ」という緊張感が現場に生まれる
・承認責任の所在が明確で、後追い調査も即時対応
製造業にありがちな“なあなあ”の承認体制に、一石を投じることができます。
コスト統制・無駄発注の抑制
newjiのワークフローに乗せることで、承認フロー自体が「コストチェック・協議の場」として機能します。
・市場価格や過去実績との乖離も、決裁者がシステム内コメントで確認可能
・「なぜ必要なのか」「この選定理由は妥当か」といった問いかけが自然と生まれる
・重複発注や類似品の無駄発注をシステム的にブロック
これによって、年間数千万円規模のコスト改善につながった事例も少なくありません。
現場負担軽減&業務効率化
紙やExcelでの管理に比べ、newjiを活用すると現場の「申請→承認→記録」業務が圧倒的に短縮されます。
・わずか数クリックで申請完了
・承認依頼・進捗把握のための電話、メール、催促作業が消滅
・履歴管理・検索も瞬時
結果として、本来取り組むべき「現場の本質的な業務」にリソースを集中できる環境が整います。
導入時のよくある課題と現場目線での解決策
現場からの「やらされ感」対策
新しいワークフローに対し、「これまでのやり方が楽だった」「システム化で余計に手間が増えるのでは」といった現場の本音も根強いです。
対策には、
・導入初期のマニュアル整備、短時間での操作研修
・現場リーダーを巻き込んだ実証実験、現場の要望を制度設計に反映
・「手間が減った」「ラクになった」と感じる成功体験の可視化
など、“現場の声を起点にした運用推進”が必須になります。
例外対応や緊急発注対策
製造業の現場は想定外のトラブルがつきものです。
「このままでは納期遅延になる」という緊急シーンでは、柔軟な特例申請ルールが重要です。
・理由と内容をシステムに必ず記録する
・ワークフローを一時的に短縮しつつ、事後レビューを厳格化する
といった設計で、現場の機動力も最大化できます。
サプライヤーとのコミュニケーション強化
システム化が進むほど「人間関係が希薄化する」と感じるサプライヤーもいます。
バイヤーは、サプライヤーへの透明な情報共有や、選定理由の説明責任を意識し、丁寧なコミュニケーションを維持することが信頼関係構築のカギになります。
まとめ:これからの製造業に必要な視点とは
多段階承認ワークフローとnewji活用は、単なるデジタル化を超え、「現場×ガバナンス×経営」の三位一体の価値を最大化するための手段です。
導入時は現場の職人気質やアナログ文化という大きな壁もありますが、そこを突破する発想こそが“製造業らしい現場力”の進化につながります。
現場作業員、バイヤー志望の若手、サプライヤー各位――それぞれの立場で「なぜ多段階承認なのか?」「どのようなメリット・デメリットがあるのか?」の理解を深め、これからの新しい製造業の働き方、ガバナンス強化に向けた変革の一歩を踏み出していきましょう。
最後に、「現場の本音」と「経営視点」の両者をつなぐコミュニケーションこそが、DX・統制強化プロジェクトを成功に導く最大の要素です。
時代の変化に対応できる柔軟性を持ち、未来志向の製造業をともにつくっていきましょう。
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