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紙袋の持ち手が取れない糊付け圧と貼合位置精度

目次
はじめに:紙袋の現場課題と求められる品質
紙袋は、私たちの日常生活やビジネスシーンで頻繁に使われる包装資材のひとつです。
近年は環境配慮の高まりから、ビニール袋に代わる持ち帰り袋として需要が急増しています。
しかし、紙袋製造現場では「持ち手が取れてしまう」というクレームが絶えず、バイヤーや生産現場のスタッフ、サプライヤーにも大きな課題となっています。
この記事では、現場目線で「紙袋の持ち手が取れない」ために必要な糊付け圧や貼合位置精度について掘り下げ、昭和から続くアナログ加工現場ならではの現状と改善ノウハウを共有します。
紙袋の「持ち手部分」—なぜトラブルが起きやすいのか
多様化する紙袋需要と現実の品質ギャップ
ファッション、食品、ギフトなど、用途やデザインバリエーションは年々増加しています。
高級感やエコ認証を求める発注側の要求も厳しくなる一方で、「持ち手が途中で外れる」「重い商品を入れたら裂ける」といった品質トラブルは依然として発生しています。
その理由としては下記が挙げられます。
- 短納期・多品種小ロット化による工程の複雑化
- 現場作業の属人化と職人技頼み
- アナログな製造機械と手作業の多さ
- マニュアル・管理帳票の形骸化
本質的な問題の大半は、持ち手固定の「糊付け」と「位置精度」に集約されます。
「糊付け圧」「貼合位置精度」とは
紙袋の持ち手は、糊で紙袋本体に貼り付けて固定します。
この際、最適な「圧力(糊付け圧)」が加わり、正しい「貼合位置」に貼ることで初めて十分な強度が発現します。
・糊付け圧……糊付け後、“どれだけしっかり押し付けて密着・浸透させるか”
・貼合位置精度……持ち手部材を“どこに、何ミリの誤差許容で貼るか”
どちらが欠けても、あとから“持ち手が剥離する”リスクが高まります。
糊付け圧(貼り付け圧力)—現場でどう管理するか
糊の種類と塗布量の基本知識
現場では主に以下の粘着剤が使われます。
- ホットメルト型(熱で溶かす接着剤)
- 水溶性(PVAなど)
- 溶剤型
各社で“黄金比率”とよばれる塗布量は蓄積されていますが、ポイントは
- 材料(紙、持ち手部材)の吸水性・凹凸に適合しているか
- 経時変化(乾燥・剥離)に耐えられるか
どれほど高性能の糊でも、“塗りすぎ”や“塗りムラ”があれば失敗します。
また、持ち手と本体を「圧着」する際、圧力が弱い、偏る、十分な時間を設けないと、糊の浸透バランスが崩れます。
最適な貼り付け圧力を保つ方法
昭和期から続く紙袋工場では、「ローラー+手作業押しつけ」や「簡易プレス機」で圧着するケースが多いです。
規定値(例:3㎏/cm2、10秒間など)の基準を掲げても、現場では….
- “今日は調子が良い” “いつもと違う紙質”といった属人的な判断
- 忙しいと“圧を抜いてしまう” “時間短縮で早めに次工程”という省略
こうした「なんとなく」運用の積み重ねが、強度バラツキや不良発生の温床になりやすいです。
対策は
- 圧着ローラーの荷重・スピード・設定時間を標準化・見える化する
- 圧力センサやタイマー連動の自動ライン導入を検討する
- “抜き取り”ではなく“全量チェック”(たとえばIoT装備で印刷写真記録)できる環境に移行
アナログ現場でもこれらの本質的アクションが重要です。
貼合位置精度の決め手—“誤差±1mm”ができる現場とは
位置ズレの原因と現場の盲点
貼合位置が図面指示と異なり「ズレ」ている場合、力のかかり方が均一でなくなり、剝がれやすさが増します。
よくある原因は
- 治具の寸法・セット不良
- 持ち手や本体紙のカット寸法バラツキ
- 目視作業者の習熟度バラつき
たった1〜2mmのズレでも、強度テストで数十~数百gもの力の低下が起こることがあります。
また、寸法を測定する定規やカメラシステムの精度管理も重要です。
昭和的現場vsデジタル現場—生き残るのはどちらか?
多くの紙袋工場は、昭和時代から続く「手慣れた作業者が治具に頼って貼る」「最後に職長の目利きチェック」という流れを守っています。
もちろん技能継承と職人気質は現場の宝ですが、“人に頼る”部分を極力減らすことが、「貼合位置精度アップ」に直結します。
テクノロジー導入の例としては—
- カメラによる貼合位置自動検出&警告システム(誤差をリアルタイム表示)
- 貼り付け治具の数値制御化(PLC/サーボによる自動調整)
- 作業トレースシステム(誰が何分・どの位置に・どんな品質で作業したか履歴化)
これらのデジタル化は現場負担を減らすだけでなく、“バイヤー視点”でも「安定品質保証・異常即対応」という付加価値となります。
バイヤーが重視するポイントとサプライヤーの思考法
歩留り向上と安定供給リスクマネジメント
バイヤーがサプライヤーを評価する際、最も重要視するのは「安定した品質と納期」そして「不良クレーム時の迅速な再発防止対応力」です。
特に、持ち手剥離などのトラブルは「現場の工程管理からの改善実績」が問われます。
サプライヤーとしては—
- 定期的な工程監査と点検
- 工程FMEA(潜在的な不良要因洗い出し)実施
- 糊・貼合治具メーカーとの協業によるベンチマーク提案
といった自主改善を積極的に見せていくことで、「信頼できる取引先」としての地位を固めやすくなります。
バイヤーを目指す人の視点—なぜ“現場に足を運べ”と言われるのか
紙袋業界に限らず、調達・バイヤーの仕事は「生産現場の皮膚感覚」をどこまで理解できるかが大きな分かれ道です。
なぜなら、図面や規格書の条件だけではカバーしきれない、「ちょっとした現場の工夫」「アナログ独自の習慣」が、実は歩留り・品質の安定に大きく関わっているからです。
現場担当者と信頼関係を築き、
「明日から糊付けローラーの設定値をこう変えよう」
「次回は治具に目印シールを貼って微調整しよう」
こんな“一歩踏み込んだ対話”ができれば、外部の購買担当であっても現場からのサポートを得やすくなります。
製造業の未来へ—紙袋品質の本質と進化を考える
昭和アナログからの脱却×ノウハウ伝承の両立
工程のデジタル化や自動化は不可避の流れですが、決して「現場の知恵」を否定するものではありません。
大切なのは—
- ノウハウの形式知化(技能者の勘・コツを標準化)
- “なぜこの貼合位置なのか?” “なぜこの圧力で10秒置く必要があるのか?”…根拠と目的を現場内で共有
- “異常時の即時現物確認+数字/写真による可視化”それを次の工程改善に必ずつなげる
この繰り返しが、単なる“糊付け”や“貼合”を超えて、次世代に受け継がれる信頼品質を創ります。
進化を恐れず、現場目線を大切にしよう
紙袋製造における「持ち手が取れない糊付け圧と貼合位置精度」は、一見単純な作業ですが、実は現場の知恵と新技術の両輪が求められます。
調達・購買・生産・品質・現場チームそれぞれが“小さな違和感”まで共有し、蓄積し、新たな進化を開拓していくことが、これからの日本のモノづくり力を高めます。
昭和的な良さとデジタル技術を融合し、バイヤー・サプライヤー・現場作業者、全員で持ち手の「安心」を届けていきましょう。
まとめ
紙袋の持ち手が取れない品質を実現するためには、「糊付け圧」の標準化・見える化、そして「貼合位置精度」の追求が不可欠です。
これらは、昭和から続くアナログ現場だからこそ見落としやすい部分でもありますが、デジタル技術や工程管理の工夫によって確実な品質を実現できます。
調達・購買、工場現場、サプライヤーなど、立場は違えど「現場に寄りそい、変化を恐れず進化していく」ことが、製造業全体の発展に直結すると信じています。
皆様の日々の努力が、明日の“切れない、取れない、信頼の紙袋”を生み出す原動力となります。
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