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投稿日:2026年2月21日

イベントノベルティのコストダウンを進めたいが品質を落とす判断ができない現場の葛藤

はじめに:イベントノベルティのコストダウンに潜む現場の葛藤

企業が展示会や販促イベントで配布するノベルティは、顧客へのアプローチやブランド認知度向上の有力な手段です。
しかし、近年は原材料価格の高騰や人件費の上昇、物流費の増加を受け、イベントノベルティのコストダウンが業界全体の関心事になっています。
一方で、コスト削減と並行して「品質を落とさない」という現場目線でのジレンマも根強く存在します。
この課題は、製造現場に20年以上携わった私の経験上、単なる経費削減の話では終わりません。
会社のブランド価値、サステナビリティ、現場作業者や取引先の信頼関係に大きな影響を与える問題です。
今回はアナログ文化が色濃く残る製造業だからこそ直面する、イベントノベルティのコストダウンと品質維持の現場葛藤について、現場目線とバイヤー・サプライヤー双方の視点を解説します。

なぜノベルティのコストダウン要求が絶えないのか

経営サイドの視点:費用対効果への強いプレッシャー

企業にとってノベルティは一つの固定費です。
数量が多くなるため、わずかな単価ダウンでも総予算には大きな波及効果があります。
経営サイドはコスト比較を習慣化し、調達・購買担当には「去年より安く」「同業他社の水準まで下げてほしい」と厳しい要請をすることが多いのです。
この背景には、「広告宣伝予算全体を横串で管理し、無駄を減らしたい」という経営方針や、「他社も安くやっているはずだ」という思い込みもあります。

調達購買部の立場:メーカー・サプライヤーとのはざまで

調達やバイヤーの立場では、イベントノベルティも「取引の一部」「費目の一つ」として管理され、多品種少量・特殊仕様に頭を悩ませます。
厳しいコスト要求と、仕入れ先(サプライヤー)との長年の関係や現場品質の板挟みです。
さらに「コストを下げた結果、品質クレームが出れば購買担当の責任」となるため、慎重な判断が求められます。
そのため、本音では「品質を落とすくらいなら現状維持にしたい」と考えつつも、無理なコストカット要求を現場に投げてしまう葛藤が生まれます。

現場が感じているコストダウン施策と品質劣化のリスク

ノベルティ製造の実情:「安かろう悪かろう」はブランド失墜の始まり

製造現場では、コストダウンの要請を受けると「素材を一段下げる」「仕上げ工程を省く」「外観検査基準を緩和する」等の施策が候補にあがります。
一時的には価格メリットが出るものの、直接お客様の手に渡るアイテムですから、ちょっとした不良やデザインの貧弱さはすぐ顕在化します。
以前、コストを下げるために中国メーカーを変更したところ、印刷のにじみやパッケージ破損が増加し、ブランドイメージダウンにつながった経験があります。

コストカットと信頼の天秤:サプライヤーの視点

サプライヤーにとっても、コストダウン要求は大きな負担です。
「単価を下げなければ取引を失うかもしれないが、無理をすれば品質事故のリスクが上がる」
この緊張感は現場を常に包んでいます。
更に一度基準を下げた商品クレームは、信頼失墜・取引停止・追加コストの発生を招きます。
目先の価格と中長期の信頼のバランスを悩みつつ、対応せざるを得ない現場の心情は複雑です。

アナログ業界に根強い“品質信仰”が隠れた障壁に

“昭和型”現場のリアル:「品質こそ信用」の文化が色濃く残る

昭和から続く多くの製造企業では、「現場が品質の要」「少しの手抜きも許さない」という職人気質が根付いています。
この価値観は、コストダウン圧力の中でも「最後の防衛線」として機能する一方で、新しいコスト最適化・工程改善の導入をブレーキする場合もあります。
現場作業者・工場長クラスが「コストカットすれば事故が起きる!」と強く反発し、社内で激しい対立を生む場面も少なくありません。
“昭和型”の現場感覚は、日本メーカーの信頼性・品質神話の源泉でありつつも、グローバル競争や改革への障壁にもなり得るのです。

消費者意識の変化と現場のずれ

昨今は「ノベルティにそこまで高品質は求めない」「SDGs意識で簡易包装や再生材料も歓迎」という消費者も増えています。
しかし、現場では「いつもと同じ品質水準」「一度下げたら二度と戻らない」といった固定観念が根強く、外部環境と現場マインドのずれが大きくなっています。
このギャップをどう埋めるかも、今後の大きな課題です。

ラテラルシンキングで打開策を探る:品質を落とさずコストダウンする方法

“安いだけではない”バリューチェーン思考の重要性

単純な値引き交渉や材料スペックダウンではなく、バリューチェーン全体で「どこに無駄があるか」「付加価値が維持されているか」を見直すことが重要です。
たとえば、「ノベルティの種類や点数そのものを見直す」「用途や配布方法を工夫する」ことで、無理な安売り・品質劣化に頼らず全体最適が可能になります。

デジタル活用で現場負担を軽減する

例えば、工程ごとの歩留りや不良発生点の可視化、受発注・在庫管理のクラウド化でダブルチェックや在庫ロスを減らす。
また3Dプリンタやデジタル印刷の活用で「少量多品種・短納期」の新しい制作手法を取り入れる等、現場の新しい武器を活用できます。
こうしたデジタル変革はアナログ体質の現場でも十分に実践でき、品質の維持とコスト縮減の両立に貢献します。

共同開発・オープンイノベーションの推進

バイヤーやサプライヤーが「単なる発注・受注」の関係にとどまらず、「一緒に社会課題を解決し、新しいノベルティ像を作る」といった共創型の取り組みも増えています。
例えば、リサイクル素材やサステナブルな製造工程による新しいノベルティ開発。
これによりコストだけでなく、社会貢献・付加価値向上でブランド価値を高め、値下げ圧力から脱却する道も開けます。

バイヤー・サプライヤーの本音と連携への期待

価格交渉だけが調達バイヤーの仕事じゃない

優れたバイヤーは短期的な単価だけではなく、品質、供給リスク、サプライヤーの工場キャパ・技術力、現場の声までトータルでバランスさせています。
現場が無理のない範囲でコスト改善できる裏側には、バイヤーの現場理解・対話力が大きく寄与しています。
テーブルの向こう側に立ち、サプライヤーの苦労を体感してこそ、最善の道が見えやすくなります。

サプライヤーは自社技術・現場改善をアピールし共創型取引を目指す

単なるコストダウン提案ではなく、「同じ予算内で新工法・省人化」「不良低減」等の現場改善アイデアを積極的に発信。
またバイヤーに対し、現場改善の現実や持続可能な価格水準を説明し理解を促すことが、長期的な信頼関係構築の鍵になります。
単なる”言われた通りにやる”ではなく、プロとして誇りを持つことが双方にとってメリットになります。

まとめ:コストダウンと品質維持の「現場主義」が製造業の未来を拓く

イベントノベルティのコストダウンと品質維持の課題は、単なる価格交渉や材料選定の話を超え、「誰がどこまで現場を理解し、共に価値を作るか」という対話型の現場主義へ進化しています。
コストダウン不要論ではなく、現場目線で「品質を保ちつつ新しい最適を攻める」こと。
アナログマインドや品質信仰とデジタル技術を融合し、業界横断の連携により製造業の底力を社会にアピールできるのが理想です。
この現場の葛藤と挑戦を乗り越えたとき、日本の製造業は新たな地平線を拓くことができるでしょう。

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