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newjiの仮発注運用でリードタイムが長い部材を先行手配する成功事例

目次
はじめに:現場で進化する「仮発注」運用の重要性
製造業の調達・購買業務を取り巻く環境は、平成・令和と時代が進んでも、どこか昭和のアナログさが色濃く残っています。
特にリードタイム(調達リードタイム)が長い部材の先行手配については、現場レベルの苦労や“あるある話”に事欠きません。
注文確定前の部材をどう押さえ、納期遅延や生産ラインの混乱を未然に防ぐか。
この大きな課題に現場からアプローチした「仮発注(仮押さえ)」運用。
今回は、多くの現場が悩み、各社で手探り改善が続くこのテーマを、“newji”の事例から掘り下げます。
リードタイムの壁、伝統的なアナログ運用、そして買い手と売り手のリアルな駆け引き――
20年以上の現場経験で得た知見と新時代のバイヤー視点で、今こそ価値ある仮発注運用を徹底解説します。
リードタイム長期化の背景と現場を悩ます「2つのリスク」
なぜ今、リードタイムが問題になるのか?
グローバル化・需給変動・人手不足・サプライチェーンの多様化など、部材調達は複雑性を増しています。
コロナ禍以降、特に半導体や精密部品・特殊鋼材など“リードタイム半年以上”といった声も珍しくありません。
サプライヤーとしては“生産計画を立てづらい”、需要家であるバイヤーは“供給不安でライン停止リスクが増す”。
この二重苦により、従来型の「完全確定注文→発注」では時代に対応しきれなくなっています。
アナログな慣習が抱える「二重発注」と「余剰在庫」
昭和・平成時代から続く“念のため早め発注”は、リードタイム問題のひずみを生みます。
– 予想以上の多め注文でサプライヤーが混乱
– 受注確定できない在庫が溢れ、倉庫・経理対応が非効率化
– バイヤー側も余剰在庫やキャンセル・返品対応に追われる
こうした双方に「損失」と「非効率」が積もっていくのが現実です。
この課題を解決する新しい運用が、“newji”が実践した『仮発注運用』です。
仮発注運用の実践ポイント:従来との違いと新しい潮流
仮発注(仮押さえ)の定義と運用
「仮発注」とは、確定注文(本発注)前に、一定数量・納期・仕様で部材や原料を“押さえる”契約・協定です。
発注担当者は、使用計画が確定しない段階で部材の優先生産・手配を「予約」します。
一方、サプライヤー側からは「需要確度の高い見通し」が得られるため、最小限のリスクで早期手配・調達が実行できます。
ハンコ文化、FAX注文からの脱却が遅れがちな日本の現場でも、工夫すれば大きな価値を持ちます。
従来との具体的な違い
従来型の運用では、
– 必要数が決まるまで発注を控える(結果:納期遅延リスク発生)
– 不足を避けるため先行発注、過剰在庫や返品増加
新しい仮発注運用では、
– 発注確定前に数量・時期の“幅”を持たせた押さえを行う
– サプライヤーとの合意に基づき「本注文」に転換、または一部撤回も織り込む
この柔軟さと迅速さが、製造現場の“止めない力”を生み出します。
newjiの成功事例:仮発注運用の全プロセス解説
案件概要:特殊鋼材の先行手配
newjiが直面したケースでは、リードタイムが約4ヶ月かかる特殊鋼材が生産計画上の障壁となっていました。
需要変動が激しく、最終的な生産数量は直前まで確定しない状況。
従来のやり方では欠品or余剰在庫のリスクが常につきまとっていました。
仮発注による運用フロー
1. サプライヤーと「仮発注枠」の事前合意
- 年間最大使用量+消費計画の変動幅を共有して、仮発注できる数量の上限・下限を明確に
2. 適切なタイミングで「仮押さえ」発行
- 生産計画が70%程度まで固まった段階で仮注文書(PDF/メール)を発行
- 数量に“±○%”の幅を設定し、調達側もサプライヤー側も柔軟に運用
3. 「本発注」への転換条件と期日設定
- 仮発注締結時に、最終確定日・本注文数量を決め、双方の運用リスク・在庫責任をルール化
4. 余剰在庫・残部材の取扱協議
- 予想消費未達の場合の“部材引き取り”や、“別案件への転用優先”も事前に協議
- お互いに“損をしない・無駄を出さない”協力体制を築く
結果として、ライン停止や欠品トラブルゼロ、余剰在庫も大幅削減、コストダウンと安定生産を実現できました。
バイヤーとサプライヤー双方のホンネ
バイヤーとしては
– 「社内の数字が固まらない、でも止められない」という切実な声
– 「先行で動けないと現場からのプレッシャーが大きい」と焦る気持ち
サプライヤーとしては
– 「確定しない注文には製造リソースを割きにくい」
– 「せっかく準備したのに残部材になっては困る」という現実的な悩み
この両者の悩みを緩和するため、
– 見通し情報と仮発注の“本気度”を担当者同士でしっかり伝え合う
– 「最小ロット」や「引き取り期日」「余剰部材引取の一部補償」など具体的ルールを握り合う
こうしたコミュニケーションが、仮発注運用の“成功のカギ”になります。
アナログ業界でも定着可能な仮発注の進め方
アナログ壁の突破方法:紙→デジタル運用のシナジー
完全デジタルが難しい現場でも、次の工夫で仮発注を運用できます。
– まずは「見積依頼書」の文言を“仮発注”にして、ライン計画が確定したら「正式発注書」で切り替える2段階運用
– FAX・紙文化でも、「仮発注品番リスト」を事前共有して優先的に押さえてもらう
– 部材や製品ごとに「仮発注可否リスト」を作り、サプライヤー毎に協議して合意する
小さな一歩で始められ、工場・現場の古い癖や社内規則に無理なくフィットします。
現場教育と意識改革が成否を分ける
仮発注運用は、単なるルール化ではなく「現場の意識変革」を必要とします。
– PE(生産技術)→SCM(調達管理)→購買マネージャーまで、一貫した“仮発注”の価値を説明
– サプライヤー担当者とも信頼関係を築き、仮発注数量の精度を高めていく
昭和からの延長線上ではなく、現場の“止めない力”と「WIN-WINの関係構築」が要諦です。
仮発注運用のメリットと注意点
バイヤー/購買の視点でのメリット
– 欠品リスク・ライン停止リスクの抑制(生産の安定化)
– 社内計画の未確定時でも調達業務が並行的に進む
– サプライヤーとの関係強化による納期優先の確保
– コストと納期の最適化(特に変動が大きい時代に機動的)
サプライヤー視点でのメリット
– 受注見込みの“高さ”をもとに製造手配が可能
– 生産計画・原材料調達の精度向上による効率化
– 得意先との関係強化、優先順位をつけやすい
注意すべきポイント
– 数量見込みがずれた場合、余剰在庫や引取責任が課題
– 仮発注を乱用し、サプライヤーに負担を過剰にかけないよう社内ルール化が必須
– 契約書面化を徹底し、“やったつもり案件”を減らす
現場の信頼で“曖昧運用”に近くなるほどトラブルリスクは大きくなります。
サプライヤーの立場で読み解く:バイヤーのホンネと提案のコツ
仮発注運用をバイヤーが持ちかけてきた場合、サプライヤー視点で注意すること・メリットを説明します。
– 「取引拡大や年間契約化のチャンス」と捉える
– 「一定のキャンセル可能幅」を枠内で交渉し、無理な在庫リスクは断る勇気
– 製造リソースや原材料市場の変動を素直に伝え、バイヤーと“納得性ある運用”を共同で設計する
積極的に「仮発注による差別化」「得意先の優先順位確保」のメリットを伝えることが重要です。
まとめ:昭和型アナログ業界こそ脱皮の好機
日本の製造現場は、今なおアナログな“昭和流”に悩まされる場面が少なくありません。
しかし、リードタイムという現代的な難課題に対し、「仮発注運用」の考え方は新しい地平線を切り拓く武器となります。
– 購買・バイヤーは“柔軟に止めない調達”を目指して
– サプライヤーは“仮発注を活かして計画と信頼の両立”へ
– 双方が歩み寄り、過去のアナログ慣習から一歩踏み出す
newjiの成功事例から学ぶ仮発注運用は、まさに“作る人を止めない”“売る人を困らせない”WIN-WIN構築の理想形です。
業界全体の底上げのため、今こそ現場発の挑戦を始めましょう。
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