投稿日:2025年9月5日

OEM商品を活用した店舗専用ペット用品開発の成功事例

はじめに ― OEM商品が店舗専用ペット用品開発にもたらす革新

ペット関連市場はここ10年で急激に成長しています。
その中でも「愛犬・愛猫を家族と同じように大切にしたい」というニーズの高まりを受けて、店舗独自のオリジナル商品、いわゆるOEM商品への注目が集まっています。

OEM(Original Equipment Manufacturer)とは、他社が設計・製造した製品に自社ブランドを付けて販売する手法です。
大量流通の既製品との差別化や自社のブランディング戦略上、OEMは非常に有効な選択肢となっています。

今回は、店舗専用ペット用品の開発を成功に導くOEM活用の事例とともに、現場でのリアルな業務目線でポイントや課題、成功の秘訣を解説します。
バイヤー志望者やサプライヤー志望者にも役立つ現場知識が詰まっています。

OEM商品開発の流れ ― 発案から販売までの重要ステップ

1. ニーズの把握と企画立案 ― 市場調査を徹底する

OEM商品開発において最初の一歩は、「顧客が何を求めているか」を正確に把握することです。
例えば大型犬専用の丈夫なおもちゃ、小型犬用の低アレルゲンおやつ、多頭飼い向けの多機能ケージなど、店舗独自の顧客層を想定して企画案を複数立案しましょう。
既存のデータだけを鵜呑みにせず、店舗スタッフへのヒアリングやSNSアンケート、店頭での聞き取り調査など、アナログ的な調査も現場ならではの価値につながります。

2. 信頼できるOEMパートナー選び ― サプライヤーとの関係づくり

OEM商品の成否を分けるのは、優良なサプライヤーと出会えるかどうかにかかっています。
価格や納期、ロット数だけで選ぶと失敗しやすいのがアナログ業界特有の落とし穴です。
現場経験からいうと、サンプル生産時の対応スピード、コミュニケーションの誠実さ、品質トラブル時のリカバリー力を重視すると安全です。
また、海外サプライヤーの場合は文化や品質規格の違いによるリスクも把握しておいた方がよいでしょう。

3. 商品設計と試作 ― “使いやすさ”を徹底追求

ペット用品は直接ペットや飼い主に触れるものが多く、安全性・耐久性・使い勝手が重要です。
店舗独自のアイデアを活かし、現場スタッフからの「こうだったら良いのに」を徹底的に吸い上げて設計に反映させます。
試作品の段階で店舗スタッフや実際の顧客にモニタリングを行うことは欠かせません。
昭和的な試作品のぶっつけ本番ではなく、小回りの効くサイクルでブラッシュアップしましょう。
現場の声を拾うことでリピート購入やクレーム削減にもつながります。

4. 生産と品質管理 ― “工場の目”が成功を左右する

OEM商品の量産化に入る段階で気を付けるべきポイントは、仕様書の徹底とサプライヤーとの連携強化です。
現場経験上、仕様変更や部材変更が生産現場で独断的に行われてしまうことは珍しくありません。
生産立ち合いや抜き取り検査など、多少アナログに見えるくらい現場に通う方が品質トラブルの予防になります。

また、品質管理部門と連携し、不良品発生時の対応・情報共有の経路も明確にしておくべきです。
この積み重ねがサプライヤーとの信頼関係構築とコストコントロールにつながります。

5. 店頭展開・販売 ― 独自価値の伝え方がカギ

OEM商品は「どこでも買える品」ではありません。
だからこそ、いかにして自社店舗の“ここでしか買えない価値”を伝えるかが販売成功のポイントになります。
現場ではPOPやスタッフの説明トーク、SNSでの先行体験レポートなど、アナログとデジタルを組み合わせて立体的な展開が有効です。
競合との差別化、利益率の確保、自社ファンの獲得に直結します。

実践的な成功事例 ― バイヤー・サプライヤー双方のリアル

店舗専用ペットおやつ ― 顧客の声が生んだリピーター商品

某大手ペット用品チェーンが実現した成功例を紹介します。
この店舗では、既存品の賞味期限や保存料、アレルギー対策に店舗スタッフからクレームが多数寄せられていました。
そこでOEMサプライヤーと組み、国産無添加の原料で少量生産できるオリジナルおやつを開発。
製造現場に担当バイヤーが何度も足を運び、原料検品や衛生管理、パッケージ表示など徹底した品質管理を実施しました。
結果として飼い主の信頼を得て、3ヶ月で既存市販品の販売数を大きく上回るヒット商品となりました。

独自設計ペットベッド ― “陳列映え”とSNS拡散力でブーム到来

また、ある独立系ペットショップがOEMで開発した「店舗専用ペットベッド」は、可愛らしいデザインと機能性を両立したことでSNSでも話題に。
このプロジェクトでは、販売スタッフが“こういうタイプのベッドがよく売れる”“洗濯しやすい商品が喜ばれる”などリアルな現場データを綿密にフィードバックしながら、サプライヤーと試作品の改良を重ねました。
「ちょっとした縫い目」「底面の滑り止め加工」など細部まで作り込んだことで、ユーザーから高評価を獲得。
店頭の目立つ場所に小型犬・猫用別に陳列し、季節ごとの限定柄を導入することでファンのリピート率も高まりました。
オムニチャネルでの展開も功を奏し、自社ECでも即完売が続きました。

OEMペット用品開発の課題と現場目線からの工夫ポイント

1. ロット・原価問題 ― スモールスタートの知恵

OEMはどうしても製造ロットや原価がハードルになります。
現場目線では、まず売れ筋の“定番商品”からスモールスタートを狙うことをおすすめします。
製造業ならではの「標準モデル」をまず作り、販路拡大やリピート後に“限定カラー”や“機能追加”を段階的に展開するとリスク分散ができます。

2. 在庫・陳列 ― 現場のアイデア勝負

OEM品は在庫リスクも大きな課題ですが、売場の陳列改善やレジ前のミニコーナー活用など、現場独自の工夫で初動を稼ぐ方法があります。
例えば体験イベントやサンプル配布を並行して、売場データをリアルタイムに追うことが重要です。

3. コミュニケーション ― “昭和的アナログ力”の再評価

デジタル化が進む中でも、実はこちらの業界は昭和的な「顔の見える商談」や現場立ち会いが圧倒的に効果的です。
サプライヤーとの定期的な現地ミーティング、現場のパートさんとの雑談など、アナログなネットワークを大切にすると、些細な仕様変更や納期前倒しなど困ったときに現場が力を発揮してくれます。

OEM商品を活用した店舗向けペット用品開発 ― 時代を切り拓くために必要なこと

OEMを活用した独自のペット用品づくりは、今や単なる「外部任せの発注」から「現場意見を統合した高付加価値商品づくり」へと進化しています。
先進的な開発力だけでなく、現場力・調査力・昭和的な根回しといったヒューマンスキルも成功には不可欠です。

これからバイヤーを目指す方にとっては、単にカタログを読むのではなく「現場の売り場で接客し、顧客の言葉を直接聞く」ことが大事です。
一方、サプライヤーとしては「発注者の困りごとや本音」を聞き出し、一歩踏み込んだ改善提案が差別化につながります。

OEMという枠組みを最大限に活かし、自社・自店舗のブランド力を高めることが店舗・メーカー双方の成長につながります。
そして何より、安心・安全で愛情のこもった商品を飼い主とペットのもとへ届けることが、製造業の現場で培った誇りなのです。

OEMペット用品開発は、日本のものづくりと販売の“いいとこ取り”です。
デジタルの先端とアナログの現場感を融合し、次代の成長エンジンを共につくっていきましょう。

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