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消耗品OEMを成功させるためのテストマーケティング手法

目次
はじめに 〜消耗品OEMの今と課題〜
消耗品OEM(Original Equipment Manufacturer)は、製造業界における重要なビジネス形態の一つです。
例えば、工場のラインで使われるカッターやブレード、塗装工程のフィルター、ロボット用のグリッパーゴムなど、日々消耗し補充される部材やパーツは数え切れません。
こうした消耗品は、オリジナルメーカーと顧客企業(バイヤー)の双方にとって、コスト圧縮・品質向上・業務効率化の観点から非常に重要な意味を持ちます。
しかし、消耗品分野で新たなOEM商品を企画・投入しても、なかなか定着しにくい現実もあります。
それは「今あるもので間に合っている」「替えたことで現場が混乱するかも」「価格競争で利益が出ない」といった、現場と経営双方の心配や業界特有の保守的な雰囲気のためです。
消耗品OEMがヒット商品となり、安定的な案件となるためには、いかに市場ニーズと現場要件に適合させ、導入効果を“納得”してもらうかがカギです。
そのために欠かせないのが「テストマーケティング(試用・検証)」の精度と工夫です。
本稿では、筆者が20年以上の工場現場・購買・開発・品質管理の経験から得た知見と、昭和的アナログ現場にも浸透しやすい工夫を含めて、消耗品OEMで成功するためのテストマーケティング手法を解説します。
なぜ消耗品OEMのテストマーケティングが難しいのか
現場の抵抗感と「変化を嫌う文化」
多くの製造現場では、「現状維持=安全」だという価値観が根強くあります。
消耗品を替える…それだけで、
・段取り変化による誤使用リスク
・性能劣化や作業トラブルの懸念
・社内手続きや帳票の見直し など
地味ながら手間やリスクをとても気にします。
特に品質トラブルや不具合につながると、「余計なことをした」と指摘されやすいのも現場サイドの本音です。
このためOEM提案側は、「なぜ変えるのか?導入でどんな良いこと・悪いことがあるのか?」を現場言葉で“どストレート”に伝え、実地で納得体験させる必要があります。
バイヤーの真意とKPI(評価指標)
購買担当者やバイヤーは、単なる“価格の安さ”や“供給の安定性”だけで消耗品OEM化を決めているわけではありません。
現場の導入ハードル、安定品質、切り替え時のリスク、既存サプライヤーとの協関係など、複数ファクターを慎重に天秤にかけています。
テストマーケティングの成否は、「OEM品の切り替えに関わる全てのKPI(コスト、納期、品質安定性、作業工数、トレーサビリティなど)が可視化されるかどうか」にかかっています。
「現物で、実際の現場運用データで、どんなメリット・副作用が起きるのか?」を短期間で測れる仕組みづくりが、OEM提案サイドには特に問われます。
消耗品OEMのテストマーケティング 成功の7ステップ
消耗品OEMのテストマーケティングを“本物の導入検証”にするための7つのステップを、現場現実・実践目線で解説します。
1. “現場の困りごと”を言語化する
新しいOEM消耗品を提案する際、まず大切なのは「現場がどんな“不満”や“使いにくさ”を感じているか」を正確に抽出することです。
例えば、現場スタッフと立ち話をして、
・「カッターの消耗が激しくて、不意に切れなくなる」
・「忙しいと在庫切らして、別の工程からかき集めてくる」
・「粉塵や異物混入が起きやすいので、こまめに交換するが面倒」
といったリアルな声を書き留めましょう。
OEM化によって解決したい課題を現場と一緒に言葉にすることで、のちのテストでも“納得軸”が明確になります。
2. 「現場代表」を巻き込む~アンバサダー方式
昭和的アナログ現場では、口うるさいベテランや、若手作業リーダーなど「現場発言力のある人」をまず巻き込むことが成功の秘訣です。
彼/彼女らを“テストアンバサダー”に任命し、評価項目の選定や不具合発生時の報告・対策フローを一緒につくると主体性と納得感が上がります。
ここで大切なのは「現場での普段の作業や課題」がきちんと反映されていること。
標準帳票にまとめきれない不便や手間も、アンバサダーが率直に拾い上げることで、本当に現場に根差したテスト計画となります。
3. 比較テスト「Before→After」の数値化
テストマーケティングで絶対に外せないのが「既存品」と「OEM新規品」の比較検証です。
・同じ条件(同じ工程・同じ作業員・同じロット内)で
・期間を区切って(例:1週間ごと、1シフトごと)
・使い勝手、消耗速度、不良発生頻度、作業効率、在庫管理のしやすさ等
を必ず“定量データ”で記録します。
アンケート形式の「満足度」コメントや、現場作業員の“現場ノート”も合わせて回収し、定性的な意見も残します。
このデータ蓄積が、採算や切り替え稟議の説得材料になります。
4. “アクシデントシナリオ”を用意しておく
現場で消耗品を切り替えた場合、思わぬトラブルや不具合が生じることが多々あります。
例えば、
・OEM品が思いがけずサイズ違いだった、色が微妙に異なる
・既存在庫と混在したまま間違って使った
・ライン停止時に手配と補給が間に合わなかった
などです。
こうした「よくあるアクシデント」の具体的なシナリオを事前に用意し、もし起きた際の原因追及・対処フローも訓練しておくことが、導入リスク低減につながります。
現場代表やバイヤーと共に、「最悪のケース」を想定し、リカバリープランを練ることも大事なテストマーケティングの一部です。
5. サプライヤー側も現場支援スタンスで臨む
上手くいくOEMは「売って終わり」という姿勢では成立しません。
むしろ過渡期でこそ、サプライヤー自ら現場に入り、「何か違和感は?」「小さな困りごとないですか?」と細やかにフォローアップすることが信頼構築の肝になります。
たとえ一時的に追加作業や持ち込みツールが発生しても、いち早く現場の声に耳を傾けて即応する…この“運用者視点”の一体感が、テストマーケティングの持続に直結します。
バイヤーも「メーカーの本気さ」を見て、導入稟議を後押ししやすくなるものです。
6. ピボット・カスタマイズ検証にも柔軟に
現場テストの過程では「当初想定どおりの成果が出ない」「細かな仕様調整が必要」といった事象も少なくありません。
この時、OEM側が
「それは仕様です」と突っぱねず、
「この用途にはこう変えてみましょう」「組み合わせパターンを再検証しましょう」
と柔軟に提案・トライアルを繰り返すことで現場との関係性は飛躍的に高まります。
消耗品OEMでは“一品モノ”のカスタマイズ感覚が現場への信頼を上げるポイントです。
ピボット(方向転換)の覚悟を持ちましょう。
7. 成果・費用対効果を社内外にストーリーで伝える
テストマーケティングの最後に肝心なのが、「導入の評価・レポート」を関係者にしっかり伝えることです。
数字や工数削減だけでなく、
・現場スタッフがどんな声を寄せてくれたか
・バイヤーがどこを評価し、どんな条件なら全社展開を決断したか
こうした生のエピソードやストーリーを交え、社内だけでなく外部の営業資料としても活用可能な形式でまとめます。
納入事例としてNDA(秘密保持契約)の範囲で部分公開できれば、次のバイヤー開拓に向けた大きな武器にもなります。
昭和的アナログ現場が動く!テストマーケティングの2つのコツ
1. 現場“体感イベント”でファン化を狙う
単なるテスト導入だけでなく、
“小型の現場実演会”“アンバサダーの体験報告会”
のようなイベント型のコミュニケーションを実施し、小さな成功体験を現場や設備担当同士が共有する場を作ると導入スピードが格段に上がります。
消耗品だからこそ「自分たちで現場をもっと良くできた」という体感がリピート利用と口コミに直結します。
2. 既存サプライヤーとの共創も視野に
OEMというと「既存サプライヤー vs 新規サプライヤー」の構図を想像しがちですが、むしろ“既存サプライヤー”と新規OEMの技術・ノウハウを共有しながら、一緒にカスタマイズ提案を進める方式も有効です。
現場調達担当との「三者協業」スタイルで、より現場に即した消耗品改良・省人化や安全性向上にもつなげやすくなります。
まとめ 〜テストマーケティングの真価は現場とバイヤーの成功体験の連鎖〜
消耗品OEM市場で生きのこる提案力とは、一方通行の「安さ」や「納期短縮」だけではありません。
現場現実を見据え、日々悩み・手間に寄り添い、「ここを変えて本当に良かった」と思ってもらえる“体験価値”を共有することが、採算化・長期案件化・紹介獲得の源泉となります。
テストマーケティングという地味な工程こそ、OEMの真価が試される場です。
あなたも、ぜひこれらのノウハウを試し、消耗品OEMで他社と一線を画す現場提案にチャレンジしてください。
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