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価格交渉だけでノベルティのコストダウンを済ませようとする危うさ

目次
はじめに
製造業の調達・購買部門や、営業部門でノベルティ制作を担当されている方々にとって「コストダウン」は絶対的な使命です。
しかし、多くの企業が陥りがちな落とし穴のひとつが「価格交渉一辺倒でノベルティのコストダウンを図ろうとする危うさ」です。
この背景には、昭和時代からの慣習や、日本独自の商習慣も深く根付いています。
ですが、市場のグローバル化、資源価格の高騰、サプライチェーンの多様化など、時代は大きく変わっています。
いま求められているのは、単なる「値下げ交渉」だけではなく、根本的なコスト構造の見直しや、サプライヤーと共に知恵を絞る仕組みづくりです。
この記事では、「値引き交渉だけ」に頼るアプローチの危険性と、それを打破するための実践的なヒントを、現場目線で深掘りしていきます。
価格交渉一本槍のデメリット
1. サプライヤーとの信頼関係の悪化
受注側であるサプライヤーからすれば、繰り返し値下げを要求されると「またか…」という心理的なストレスや不信感が生まれます。
度重なる値引きは「価格以外の価値」を見落としてしまい、お互いの協力体制を築きにくくなります。
結果、長期的な関係構築が困難になります。
これは将来的に、安定的な供給や品質確保に支障をきたすリスクともなります。
2. 品質や納期面でのデメリット
単純な価格ダウンの要求は、サプライヤー側で「どこかを削らなければ利益がでない」という状況を招きます。
その矛先が「材料の質や加工レベル、検査工程」に向かってしまうケースもあります。
また、納期面でも原価を抑えるためにギリギリのラインで進められ、トラブルや遅延につながることも珍しくありません。
最悪の場合、ユーザーや顧客へ渡すノベルティ品質の低下へ直結します。
3. サプライヤーのサステナビリティを損なう
持続可能なものづくり社会が叫ばれる今、サプライヤーストレスの積み重なりは「廃業」や「撤退」へとつながります。
長い目で見たときに、国内や身近なサプライヤーが減ることで、結局自分たちに大きく跳ね返ってきます。
価格のみを抑圧する調達姿勢は、土台となる供給網を自ら壊しているのと同じなのです。
「価格」だけでなく「価値」に着目する意識改革
スペックの見直しでコスト構造にメスを入れる
ノベルティのコストダウンといえば、仕様をそのままに「あと10%下げて」と言いがちです。
しかし、そもそもその仕様やスペックは本当に必要でしょうか?
例えば、印刷色を3色から1色に減らす、OPP袋をやめて一括包装へ、パーツを一体型に見直すなど。
本当に重要な部分と、そうでない部分を分けて見直すことで、大幅なコスト最適化の余地が生まれます。
「本来の目的」を再確認することが、無駄なオーバースペックからの脱却へとつながります。
設計や材料調達段階からのサプライヤー巻き込み
従来は「設計・決定済み→見積もり→発注→納入」という流れが主流でした。
しかし最初からサプライヤーの意見も取り入れることで、より優れたコスト構造や、現場で培われた知見を活かせます。
例えば「このパッケージならコストを30%下げられる」などの提案も、早期に巻き込むからこそ生まれます。
調達側・バイヤー側は「価格だけでなく、価値の最大化をサプライヤーとともに作っていく」意識が大切です。
「見えないコスト」まで可視化する
物流や保管、管理の手間、品質クレーム対応など。
目には見えにくいコストまで含めて検証すると、単純な価格比較では見出せなかった改善ポイントも見えてきます。
たとえばロット管理のしやすさ、在庫のしやすさ、出荷工程の簡素化など、裏方側のコストも考慮した設計・調達を意識しましょう。
令和時代のコストダウンは「知恵とパートナーシップ」
サプライヤーを競争させる時代の終焉
かつては「より安いところから仕入れる」が調達の正義とされてきました。
しかし、原材料の高騰、輸送費の変動、円安といった外部環境の影響が強まる現代。
「価格一本槍」だけで調達を成功させるのは困難です。
むしろ、サプライヤーを「いかにパートナーとして共創できるか」で中長期的な強さが決まります。
サプライヤーの創意工夫を引き出す“共創志向”
「ノベルティの目的」を伝え、何のために誰にどんな効果を望んでいるのか、設計段階から共有する。
その上で「もっと安く、より優れた提案」がないかをサプライヤーから引き出していく。
部材メーカー、加工会社、物流拠点それぞれのアイディアや小技が現場レベルでは無数に眠っています。
従来の調達スタンスでは聞けなかった真の知恵を、対話と共創姿勢で引き出しましょう。
コストダウンは単なる「マイナス」ではなく「新たな価値創造」
コストダウンは「コスト”カット”」のみに目がいきがちですが、「コストのかけ方を変える」発想も有効です。
例えば、同じ予算内で配布数を2倍にする、ユニークな使い道を加えてSNSでシェアされやすくする、エコ配慮で企業価値を上げるなど。
“単純な安価追求”から一歩進んで、「企業イメージ」や「ブランド価値」も高めることがノベルティには求められています。
この発想こそが競争優位への道です。
バイヤー・サプライヤー双方へ向けたアドバイス
バイヤーを目指す方へ
「単価交渉はできて一人前」は古い常識です。
仕様の本質を見極め、サプライヤーの現場を理解し共に改善できるバイヤーこそ、今後必要とされます。
数字だけでなく、現物や工程を必ず自分の目で見て、職人の対話からヒントや気づきを得る癖をつけましょう。
サプライヤーの立ち位置の方へ
価格要求が厳しくなったとき、単なる値下げで応じると自社の存続が危険です。
「こう変えればもっと安く、そして安全に、魅力的に」など、自社メリットも伴う形で提案をセットで行いましょう。
また、案件ごとのPDCAを記録・社内共有することで、次の値下げ要求やトラブルに構造化した切り返しも可能となります。
まとめ
ノベルティ製作におけるコストダウンは、価格交渉だけの一本槍では抜本的な改善につながりません。
むしろ、品質やサプライヤーとの関係性にひびを入れ、中長期的なリスクをはらみます。
構造を可視化し、本質的な目的を共有し、サプライヤーと“共創”する姿勢が令和時代の鉄則です。
「値下げ」だけでなく「価値創出」と「パートナーシップ構築」を両輪で考え、進化する製造業の現場に適応しましょう。
価格だけに頼るアプローチを脱却し、知恵と工夫、対話とパートナーシップで、より強くしなやかな“現場発”のモノづくりへと進化しましょう。