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投稿日:2026年1月29日

製造業で採用と定着を分けて考える危険

製造業における「採用」と「定着」を分けて考えることの危険性

製造業の現場は、日々の生産活動を安定して継続するために「人」の力を不可欠な資源としています。
少子高齢化やデジタル化の波のなか、人材の確保と維持は多くの企業の共通課題です。
昨今は「採用難」だけでなく、「採用できてもすぐに辞めてしまう」すなわち定着率の問題も深刻化しています。
この二つ、「採用」と「定着」を分けて個別に考える危険性について、現場目線に立って深掘りしてみます。

採用と定着を“別物”と考えがちな現場の実態

採用活動がゴールのようになっていないか

現場では「とにかく人が欲しい」「採用枠を埋めろ」というプレッシャーが強く、人事部門や現場担当者が採用そのものに躍起になりがちです。
求人広告を打ち、一次面接、二次面接とプロセスを進め、採用が決まると“一仕事終えた”というムードが漂います。
しかし、この「採用できればとりあえずOK」という感覚こそが、重大な落とし穴です。

定着は現場任せ、という昭和的分業意識

採用担当は「良い人を送り込んだ、現場の育成・定着はそちらで」というスタンスを取りがちです。
昭和・平成バブル期には、「職人気質」の年長者が新入りに厳しくも手厚く面倒を見てくれたため、なんとか“現場が回っていた”時代背景がありました。
一方、現在ではOJTを行う余裕が現場にありません。
そもそも現場担当者自身にも育成のノウハウ蓄積がなく、目の前の生産量を死守することで精一杯です。

「採用」と「定着」は表裏一体である

「採用したら終わり」になった瞬間にリスクが生まれる

製造現場の生産ラインが複雑化し、デジタル機器やコミュニケーション能力が問われる時代です。
入社後3か月以内に新人が「これは違った」と離職してしまうケースが増加しています。
求人票をきっかけに応募された方が感じる“イメージと現実のギャップ”こそ、大きな離職要因です。
“想定内でもうまく対応できる”を実現するためには、採用段階から定着を意識した取り組みが必須です。

バイヤーの立場から見た「人材安定供給」の真実

調達購買やバイヤーの観点でも、人材の流動性は見過ごせません。
発注先サプライヤーの生産現場で人手不足が起これば、納期遅延や品質低下のリスクが跳ね上がります。
調達バイヤーとしては、「持続的に安定した品質・納期」を維持できる会社かどうかを選別する際、職場の人材定着率に注視しています。
もし「採用はうまくいっているが、定着率が低い」サプライヤーの場合、その背景には組織運営や現場文化に根本的な課題が潜んでいると見なします。

採用から定着まで一気通貫で設計する新時代の人材戦略

選考段階で何を伝えるべきか

求職者はスマートフォン一つで他社の情報やクチコミ評価にもアクセスできます。
表面的なキャッチフレーズや「アットホームな雰囲気」といった曖昧なワードでは、現代の若い世代には響きません。
むしろ「どんな働き方改革を実践しているのか」「現場設備、休憩所、コミュニケーションの導線」など、リアルな現場の情報発信が重要です。
実際の作業環境やキャリアパス、成長機会を示すことで、ミスマッチを減らし、定着に繋がる人材を集めることができます。

入社後フォロー体制を「しくみ」として持つ

OJT(On the Job Training)頼みではなく、ウェルカムガイダンスやメンター制度の導入、習熟度チェックの仕組み化など、入社後フォローも極めて大切です。
人によって成長スピードは大きく異なります。
3か月、6か月、1年の節目で「なにが困っているか」「今後どんなスキルを得たいか」を聞き取る面談・アンケートの定期化、現場と人事が“対話する場”の設定も、現代的な工場運営には必須といってよいでしょう。

「心理的安全性」の醸成が定着率を大きく変える

現場では、業務指示や注意喚起の場面で「叱らないと伝わらない」「厳しくしないとだめだ」という昭和的マインドが、根強く残っています。
しかし現代の定着率を上げるには、「どんな小さな困りごとも相談しやすい」「わからないことを素直に聞ける」雰囲気作りこそが重要です。
足元の改善から始めるなら、「1日1分“良い点”振り返り」や「ちょっとした声掛けの習慣化」など、できることは意外と多いものです。

アナログな製造現場こそ、取り組むべき“変化”とは

IT・デジタル活用は“人材育成“の補助輪として捉える

IT化=現場の仕事がなくなる、という誤解がいまだに残っている企業もあります。
しかし、検品・工程管理の自動化やペーパーレス化といったITツールは、従業員が本来の「考える」「工夫する」「改善する」余地を生み出す“補助輪”です。
熟練者も若手も「ツールを使う理由」「どこが効率的か」を実体験し対話することで、自然と現場の変革マインドが育ちやすくなります。
こうしたムードそのものが、「辞めにくい」「居心地のよい」現場をつくる第一歩となります。

「外部目線」「現場目線」のどちらか一方だけでは見落とす危険

人材採用も定着も、社内の現場事情だけで判断していてはいけません。
時には、外部コンサルや他社事例の視察、異業種交流会への参加など、外からの風を入れることも重要です。
一方で、そのままの手法を自社の“皮膚感覚”でローカライズする作業も不可欠です。
自社・現場の「らしさ」「ここにしかない強み」をいかに言語化・仕組み化できるか――この両輪無しに、採用と定着の本質的な成功はあり得ません。

まとめ:採用難時代は「現場本位の定着戦略」から始まる

単に「数」重視で人を採るだけでは、現場は回りません。
採用と定着、そのどちらかだけを強化しても根本課題は解消しません。
仕事終わりの雑談や朝礼前のちょっとした声掛けのようなアナログな“空気”の積み重ねが、実はデジタル化の時代にも定着率向上の本丸です。

工場の生産安定や品質維持には、すぐれた技術や設備以上に、「人」が必要です。
みなさんの現場でも、採用と定着を表裏一体で考えることから、未来のものづくりの可能性が広がるはずです。

製造業でバイヤーを目指す方、そしてサプライヤーとしてバイヤーの視点を知りたい方も、人材の「採用」だけでなく、「定着」にどう取り組んでいるかを常に意識されることを強くおすすめします。
人ありきの現場が、日本の製造力を次の時代へ運んでいく――そんな一助となれば幸いです。

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