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曲げ加工機で使う金型取付部材が重くて危険だと感じる従業員の本音

目次
はじめに:製造現場に潜む「重い金型取付部材」のリアルな課題
製造現場の最前線では、想像以上に昔ながらの作業が多く残っています。
その代表格が、曲げ加工機で使う金型取付部材の取り扱いです。
金型部材は高精度が要求される一方で、鉄や鋼など重量級の素材が主流です。
その結果、多くの現場で「とにかく重くて危険」「腰を痛めそうで不安」といった従業員の本音が浮かび上がります。
私も現場に身を置いて20年以上。
時代が昭和から令和に移り変わっても、現場の「人の力に頼らざるを得ない工程」は、まだまだ多いと痛感しています。
この記事では、そんな重い金型部材取り付け作業がなぜいまだに手作業で続けられるのか、何が危険でどんな工夫がされているのか、さらにはサプライヤーやバイヤーが知っておくべき現場目線の実情と、これからの展望について解説します。
曲げ加工機の金型取付部材が“重い”理由
高剛性・高寿命への要求
曲げ加工機の金型は、極めて高い荷重に耐えることが求められます。
たとえば数百トンもの圧力が一点に加わることも珍しくありません。
そのため、耐久性・剛性重視で肉厚鋼材や特殊鋼を使用。
結果として数十キロ、時には100kg超の巨大な部材も登場します。
現場の自動化・省人化の遅れ
最新鋭の大手工場なら自動交換装置やジブクレーンが普及していますが、中小規模の工場では、投資コストやスペース、または「昔からこれでやってきた」という慣習も根強く、いまだに「人が持ち上げて手締めで固定」という場面が日常的です。
この画一的なアナログ運用が、重くて危険な作業を温存する要因となっています。
短納期・多品種対応の“落とし穴”
製造業の現場では、多品種少量生産や短納期対応がトレンドです。
そのたびに金型の脱着・交換が頻繁に発生し、作業負荷は重くなります。
「急げば急ぐほど、安全確認を省いてヒヤリとする」という現場も珍しくありません。
現場従業員の本音:「危険」から「腰痛」「生産性低下」まで
経験者のリアルな声
「新品金型の初取り付けで、手を滑らせて足の甲を挟み、骨折した」
「腰を痛めたが、休むとシフトに迷惑がかかるので我慢している」
「新しい子がなかなか定着しない。重労働が一番の理由です」
これは、実際の現場でよく聞く本音です。
リスクの二重構造
身体的な危険だけではありません。
重い部材は「一人では持てない」→「二人作業になる」→「人手が取られる」→「他作業が遅れる」
というドミノ式の生産性低下をも招きます。
結果的に「本来の加工」より「段取り替え」「準備に時間がかかる」現象が発生します。
心理的負担・モチベーション低下
「危ない作業を担当している」というペナルティ意識や、古い体質が抜けないことに対するフラストレーションは、現場力の維持にもマイナスです。
「現場はイノベーションから置いてきぼり」だと感じて離職する若手も散見されます。
なぜ“昔ながらのやり方”が続くのか?
設備投資のコスト・意識の壁
自動化や軽量化アイテム(エアバランサー、電動トロリー等)の導入には、初期投資がかかります。
「今ある人手でなんとかできる」「故障時の対応が不安」「毎回同じ部材が来るわけじゃない」など、現場管理者や経営陣もコスト感覚、そして“現場の多様性”を理由に慎重になる傾向が根強いです。
「手作業は究極の柔軟性」という誤解
製造業、とりわけ多品種少量の現場では、「自動化は融通が利かない」「何かあったとき結局は人が対応する」という認識がいまだ強いです。
機械の停止や段取り替えの際、「結局作業員が手で外す・取り付ける」という運用が定着しがちです。
現場文化と“無意識の我慢”
「腰痛は現場の宿命」「多少のけがは自己責任」
こうした価値観が根付くことも、時代に合わないアナログ作業を継続させる一因となっています。
労災件数が減ってきた中でも、軽傷・未報告の事故が「当たり前」のように見逃されていることも問題です。
現場目線で考える“安全化・効率化”の具体的施策
1. 金型部材の標準化・軽量化
サプライヤー側で部材設計時から「現場の人が持てる重さ」を意識することが有効です。
20kg以上の重量物は、一人持ち禁止や運搬補助具の導入義務付けが推奨されています。
図面段階から「軽量設計」「小分割化」をサプライヤーへリクエストする工場も増えています。
2. 作業補助具・自動化ツールの導入
エアバランサー(空気圧でモノを持ち上げる)、可搬式クレーン、磁気リフターなど、設備コストが低いものから順に導入を検討しましょう。
何も「全部ロボット化」ではありません。
作業台の高さ調整、滑り止め床材、ハンドリング用の治具設計など小規模な工夫が、作業者の心理的負担を大きく下げます。
3. 作業標準・安全教育の徹底
マニュアルや安全教育で「無理しない」「二人作業ルールの徹底」を明文化することが必要です。
「急いでいるから」という理由でルールが破られる現場ほど事故リスクが高まります。
定期的な教育・訓練、リーダーによる声かけも有効です。
4. サプライヤー・バイヤー間での現場ヒアリング強化
実際に使う現場担当者の意見をサプライヤーやバイヤーがヒアリングして仕様・納品形態を見直すことが大切です。
「作れるか」「安いか」だけではなく「使いやすいか」まで話し合うことで、より安全で効率的な現場が実現します。
これからの金型部材はどう変わる?製造業界の“脱昭和”トレンド
IoT・DXによる工場の変化
金型の取り付け・管理にも、デジタル管理システムや自動認識(RFIDタグ等)が入ってきています。
「どの金型が今どこにあって、誰がいつ取り付けたか」を一元管理することで、作業の可視化や“人依存”から脱却する動きが生まれています。
軽量・高強度新素材の登場
近年、炭素繊維複合材や高張力鋼板、3Dプリンティング技術を活用した金型設計が実用段階に入っています。
これによって従来より30%以上の軽量化に成功した事例も出てきました。
世代交代がもたらす意識改革
今の20〜30代世代は「安全・快適な労働環境」を求める傾向が強く、痛みや苦労を美徳とする考え方は通用しづらくなっています。
人材確保・育成の観点からも、「古くさい現場風景」からの脱却が企業競争力の鍵となります。
サプライヤー・バイヤー・現場が知っておくべきこと
サプライヤーの立場で意識したいこと
伝統的な現場への納入経験があるサプライヤーほど、「現場の本音は届きづらい」と感じるはずです。
ですが、これからは「現場の声」を積極的に吸い上げ、設計・納品・アフターフォローまでトータルにサポートできる提案型の取引が評価されます。
バイヤーに求められるスキル
バイヤーにはコスト管理や納期調整だけでなく、「現場とサプライヤーを繋ぐ通訳者」となる役割が求められます。
現場目線でのヒアリングや実地見学、現場の実情を反映した発注仕様書の作成は、今やバイヤーの重要スキルです。
現場従業員・管理職ができること
ただ「重くて危ない!」と声を上げるだけでなく、具体的な数字やヒヤリハット事例を積み上げ、組織全体で改善を提案する体制づくりも重要です。
また、現場独自の改善提案(カイゼン)をサプライヤーやバイヤーにフィードバックすることも、より高次元の仕事改善につながります。
まとめ:アナログ脱却、現場の本音と未来志向の融合を
金型取付部材の「重くて危険」な現状は、まだまだ多くの製造業現場で根強く残っています。
従業員の安全と作業効率、そして製造現場全体の競争力を向上させるためには、技術面・管理面・マインド面、それぞれからのアプローチが不可欠です。
サプライヤー・バイヤー・現場が一丸となり、「使う人」「買う人」「作る人」すべてが納得する未来志向のものづくりを進めていきましょう。
あなたの“現場の本音”が、より良い製造業の新時代を切り拓く原動力となります。