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投稿日:2025年12月14日

品質保証が最も恐れるのは“不良ゼロ期間”という逆説的真実

はじめに:品質保証が本当に恐れるものとは

製造業の現場で「不良ゼロ期間が長く続いています」と聞いたとき、多くの方は「素晴らしいことだ!」と感じるでしょう。

確かに、異常がないことは一見、品質向上や現場管理の賜物です。

ですが、20年にわたり品質保証や工場運営を経験した現場目線から言わせていただくと、「実はここに最大の危険がひそむ」と強く感じます。

なぜなら、「不良が出ない=問題がない」わけではないからです。

むしろ、不良ゼロ期間が長く続くことで潜在的リスクを見逃しやすくなり、現場感覚や改善意識が希薄になっていく ― これが現代製造業、特に昭和時代のアナログな業界体質を引きずる現場で、危険な“安心領域”となるからです。

この記事では、現場で感じるリアルな不安や体験をベースに、「なぜ不良ゼロ期間こそ注意が必要なのか」を掘り下げていきます。

購買バイヤーやサプライヤーにも役立つ“本音”かつ“実践的”なヒントを徹底解説します。

不良ゼロ=「現場の理想」ではない理由

1. 不良は現場の健康バロメーターである

不良が発生したとき、当然ながら現場は慌てます。

しかし、その“不良”には大きな価値が潜んでいます。

一つひとつの不良は、「どこに、どのような弱点があるか」を示す現場からのシグナルです。

不良ゼロが続くことは、「弱点の気づき」を現場から奪っていくことと同義と言えます。

その結果、現場は“油断”しがちになり、やがては致命的な問題に繋がりかねません。

2. “保身型品質管理”が根付く逆説

昭和からのアナログ業界体質では、「不良が出てはいけない」「なるべく報告したくない」といった、保身型品質文化が深く根付いています。

現場が“不良ゼロ”報告を良しとしがちですが、隠れた不良やヒヤリ・ハットが見逃されやすいことがしばしばあります。

ときに、不良報告が出しにくい空気――これこそが、長期的に品質保証を蝕む最大リスクです。

3. 「不良ゼロ」は改善文化の停滞を生む

不良が出ないなら「何も変えなくて良い」と現場は感じ、やがては“形骸化”が始まります。

“変化しない現場は衰退する現場”――これは、私が現場に立ち続けて強く実感した言葉です。

日々、何かしらの課題を小さくても突き止め、改善のサイクルを回し続けることが、品質を守る最良の方法なのです。

なぜ不良ゼロ期間に潜むリスクを直視しなければならないのか?

1. 現場の見える化が鈍る

日々の生産活動のなかで、小さな異常や変化を発見する力は、いわば“現場の嗅覚”のようなものです。

不良ゼロ期間が長引くと、異常感知スキルが摩耗します。

それは「見えないリスクを抱え込む」ことであり、いざ重大な問題が発生したときには手遅れになるケースが少なくありません。

2. サプライヤーも「異常検知力」を失う

バイヤーの立場、またはサプライヤーとしても「トラブルがない」「納品しておしまい」が続くと、品質改善への意欲や緊張感が下がります。

結果として、「こんなはずじゃなかった…」という重大クレームに直面して初めて気付くことになるのです。

この時、バイヤー・サプライヤー双方に齟齬と大きな損失が発生します。

3. 統計管理やIoT化の落とし穴

近年、品質管理は工程別のFMEA(故障モード影響分析)やIoT・AIによるデジタル監視が進みつつあります。

しかし、日本の製造業現場では、日々の不良情報がきちんと統計化されず、形だけの「デジタル化」が散見されます。

“不良ゼロ”データばかりが蓄積し、本質的な変化点検出・パラメータ解析をしないまま「すべて順調」と誤認してしまうことも多いのです。

なぜバイヤーやサプライヤーこそ「不良ゼロ期間の罠」に注意すべきか

バイヤーのリスクマネジメント視点

調達購買のバイヤーは、サプライヤーから「不良ゼロ運用」を報告されたら安心しがちです。

しかし、不良報告が一切上がってこない取引先こそ、「隠された火種」が潜みやすいことを忘れてはいけません。

「最新1年間は不良ゼロです!」という言葉だけに頼らず、現場監査や工程監査の際は「日々の小さな異常検知・改善履歴」「ヒヤリ・ハット報告数」など、現場のリアルデータをしっかり確認しましょう。

サプライヤーの「見せる力」

サプライヤー側から積極的に、不良品や小さなトラブル、ヒヤリ・ハット報告も開示し、「現場でどう改善し続けているか」を示すことで、バイヤーとの信頼関係が強化されます。

「不良ゼロだから安心」の意識を超え、「日々の気付きと改良の姿勢」が高く評価されます。

不良ゼロ期間の現場で守るべき4つの実践ポイント

1. 毎日の変化点管理を徹底する

生産現場では、工程・材料変更や設備メンテナンスなど、「小さな変化点」がつねに発生しています。

不良が出ていなくても、「今日と昨日で何が違ったか」「どこが“安定しているだけ”なのか」を日々記録し、変化点に対する“アンテナ”を張る習慣こそが重要です。

2. ヒヤリ・ハットの報告文化を推進する

「ヒヤリとした」「あわや不良だったが未然に防いだ」――こうしたギリギリの“気付き”報告こそ、日々の品質保証の原点です。

現場が「不良でないから良し」ではなく、「隠れた危険をどう顕在化させ改善できるか」に注力しましょう。

ヒヤリ・ハット報告数を現場活性・予防保全のKPI(重要業績指標)に設定すると効果的です。

3. 検査不要論とアナログ文化のバランス

最近は「自動化・IoTで検査レスに」との声も増えています。

たしかにコストダウンには寄与しますが、昭和時代からの現場文化では、「最後の目視チェック」「五感での最終確認」など、人の介在も依然として重要です。

自動化とアナログ感を併用し、しつこいほど現場・工程・仕掛けを見直すことを忘れてはいけません。

4. 改善提案活動を施策化する

「不良が出ていないので何もしない」現場にしないため、毎週・毎月の“改善テーマ”を小さくとも設定し、“小さな不安”や“ちょっとした効率化”を全員参加で掘り起こす風土づくりをしましょう。

これが「不良ゼロ」に満足することなく、“強く・しなやかな現場”への礎となります。

まとめ:不良ゼロ期間を「誇る」のではなく「疑え」

製造業において不良ゼロ期間は目指すべき理想のようでありながら、実は大きな油断への入り口でもあります。

バイヤーにとっても、サプライヤーにとっても、「なぜ不良が出ていないのか?」を深く自問し、現場の小さな変化や異常の兆しに常に目を光らせる意識が欠かせません。

また昭和的アナログ文化が残る職場ほど、実際の現場とデータ上の理想とのギャップは大きくなりがちです。

「数字に現れない不安」「人の感覚が発する違和感」「ヒヤリ・ハット報告」など、リアルな体感値を積極的に拾い上げ、“見える化”していく努力が不可欠です。

私自身が20年以上、現場で感じた「安心こそ最大の罠」という教訓――。

これを共有し、「不良ゼロ期間」にこそ厳しい目を持ち、強く・柔軟な品質保証体質を共に築いていきましょう。

読者のみなさまの現場での気付きや新たな挑戦に、本記事が少しでも役立てば幸いです。

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