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投稿日:2026年2月17日

運動支援を福利厚生扱いにしてしまう危険

運動支援が福利厚生になる深層背景

製造業の現場で健康経営や働き方改革が叫ばれるなか、企業が従業員向けにフィットネスジム利用、ウォーキングキャンペーン、運動器具の設置など「運動支援」を福利厚生メニューに組み込む動きが活発化しています。
一見、社員目線に立った良い取り組みと思われがちですが、その裏側には現場の問題点や業界特有の危険性も潜んでいます。

この記事では、組織の一員として、またマネジメントや現場管理の経験から見えてきた「運動支援の福利厚生化」が抱えるリスクと、その本質的な課題、そして未来の製造業が進むべき健全な方向性について深く掘り下げていきます。

昭和的アナログ慣習の残滓

「健康は自己責任」からの転換点

昭和から続く日本の製造業の現場気質には、「身体が資本」「体力で勝負」「根性論」の価値観が根強く残っています。
災害時や繁忙ピーク時の仕事さばき、突発対応などでは、リーダーの健康管理や体力が仕事の成否を分ける場面が多いからです。

この背景にあるのが「健康は自己責任」という意識であり、企業が個人の健康問題に深く介入する風土は長らく育ってきませんでした。
運動支援を福利厚生に組み込みはじめたのも、そういった時代の価値観からの転換点として捉えられています。

「福利厚生」扱いの落とし穴

ところが、現場発想で導入された運動支援が「福利厚生」扱いにされた瞬間、組織の論理で制度運用されるようになります。
すると、
・健康増進が個人の“自発性”に完全依存
・会社としての本気度や継続投資意志が希薄
・“やってる感”だけの施策になりやすい
という抜け道が広がります。

昭和世代の管理職層には「やるかやらないかは本人次第」「会社はお膳立てした」という自己責任論がいまだに根付いています。
これでは、運動支援が形骸化し、社員の健康問題や生産性向上には結びつきません。

なぜ“危険”なのか―現場目線で考える

本質的な解決からの乖離

運動支援を福利厚生の一部に留めてしまうと、「健康問題=本人持ち」という従来の責任分担が温存されます。
しかし、現場の実態は違います。

・腰痛、肩こり、生活習慣病など、日々の作業負担やシフト体制が影響
・工程改善や自動化が進まず、過剰な人的負担が残る現場
・残業や夜勤で、運動や睡眠時間の確保自体が困難

このように、現場が「身体的な消耗」を強いられながら、そのケアを個人の努力に丸投げする構造が温存されます。
本質的には、「そもそもなぜ健康問題が起きているのか」を職場環境や業務設計から根本的に問い直す必要があります。

表面上の“充実感”が危うい

運動手当、提携ジム割引、社内ウォーキングイベント…こうした見かけ上の充実感が逆効果になることも。

例えば
・業務量やシフトは変わらず、忙しさだけが続く
・運動しやすい環境が「あるのにやらない」と自己責任意識が余計に強調される
・健康問題の相談や本音を言いづらい空気が強まる

結果、運動支援が逆に社員を“追い詰める”“孤立させる”要素になってしまう危険性があります。
これは、実際に管理者として従業員から何度も聞いた現場の「声」でもあります。

アナログな製造現場だからこそ直面するリアル

自動化・省力化未着手の現場

最新のIoTやロボット導入が進む大手の一部を除き、数多くの工場ではいまだに手作業中心のアナログ変化が残っています。
・重量物搬送
・立ち仕事や同じ姿勢の長時間作業
・細かい対応やトラブル処理

こうした「体を酷使する仕事」がふつうにある現場ほど、健康問題が深刻化しやすい環境となります。
まず第一に求められるのは、作業自動化や工程設計の見直しによる「現場負担そのものの低減」です。

健康経営の本質とのギャップ

企業が「健康経営」を標榜しても、実態は「会社として出来ることはした」に留まりがちです。
とくに中小・中堅メーカーや現場主体の企業の場合、「形だけの福利厚生」で終わる事例が多々あります。
・徹底した作業負担分析や本質的なリスクアセスメントを省略
・過去の慣例を見直さず、形式だけ新しい制度を追加
こうした“昭和的な業界慣習”が根深く残るからです。

バイヤー・サプライヤーにも必要な見識

バイヤーの姿勢:健康問題まで目配りできるか

購買部門やバイヤーは、ともすればコスト・品質・納期のみが取引基準になりがちです。
ですが、サプライヤー企業の現場実態まで深く知れば、
・過度な納期短縮要求が健康被害や工程負荷を生んでいないか
・現場改善投資(自動化・設備投資)を評価指標にする文化があるかどうか
こういった点まで“踏み込む目線”が強く求められる時代です。

発注先の「健康経営」が本物か、形骸化していないかを見ることは、サプライチェーン全体の持続可能性を左右します。

サプライヤーの責任:現場を変える発信者になる

一方、サプライヤー企業も「うちは運動支援を導入しています」という表面的な提案のみにとどまってはいけません。
・製造工程そのものの効率化・自動化
・作業負担を見える化し、アナログ現場を変えていく姿勢
こうした「現場起点の変革提案」を、ものづくりの真剣な現場経験者こそ積極的に発信する必要があります。
本当の意味での健康経営や現場の持続可能性は、バイヤー・サプライヤー両方が敏感にならなければ実現しません。

運動支援の“正しい位置づけ”へ

個人責任と組織責任の本質的なバランス

運動支援は、確かに従業員のモチベーションやコミュニティ形成、エンゲージメント向上に役立ちます。
ですが、「個人努力」と「組織の環境改善」は両輪です。
現場業務の負担低減・工程自動化・休憩やリカバリーの設計を重ねたうえで、はじめて個々の運動・健康促進の効果が最大化されます。

現場変革と仕組み化の視点

本当に求められるのは、「健康経営」という経営目標を単なる福利厚生で終わらせず
・作業負担の“見える化”
・PDCAでの継続的な工程改善
・現場起点のボトムアップによる改善提案
・リーダー自身の日常ケアや心理的ケアも含む“包括的な仕組み化”

こうした「組織ぐるみ」の現場変革です。
特に管理職やバイヤー、さらには現場リーダーには、単なる運動支援制度の導入ではなく、人と現場を本気で守る“攻めと守り”の仕組みづくりが求められています。

まとめ:未来の製造業と健康経営

運動支援を福利厚生で終わらせるだけでは、昭和的“自己責任論”から一歩も抜け出せません。
本質的な「現場負担そのものの軽減」「作業設計の見直し」「健康経営の本質」を強く意識し、個人の取り組みと組織的な変革を両立させる…この姿勢が製造業の未来を創ります。

バイヤー、サプライヤーとしても、「現場の負担」や「ものづくり現場のリアル」に真摯に向き合い、表面的な運動支援だけではなく、業界全体の“変革”をリードする目線が必要です。

製造業の現場経験者として、私はこれからも現場から湧き出る本音や課題を拾い上げ、持続可能な健康経営の実現へ一歩一歩貢献していきます。

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