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営業数字を追いながら原価管理まで求められる苦しさ

営業数字を追いながら原価管理まで求められる苦しさ
製造業における「営業」と「原価管理」の二重負担
多くの製造業にとって、営業活動と原価管理は切り離せない二つの軸です。
従来、営業担当者は新規受注や既存取引拡大など「売上数字」を追うことが主な役割でした。
しかし近年では、「売上さえ確保すればよい」時代は終わり、いかに利益を出すか、つまり「原価管理」を徹底することが求められるようになっています。
この背景には、原材料価格の高騰や為替変動、グローバル競争激化による価格競争など、外部環境の厳しさが大きく影響しています。
会社の収益構造が年々不安定になる中で、営業は単純な数字獲得だけでなく、コストを意識した「付加価値営業」が求められ、さらなる負担となっているのです。
現場感覚から見た「二兎を追う」苦しさ
私も現場の営業管理職や工場長を経験してきましたが、「売上を最大化せよ、なおかつ利益も確保せよ」という二重のプレッシャーは、現場のリアルな悩みです。
過去の昭和的な価値観では「大口契約をとれば昇格」という分かりやすい指標がありました。
しかし現代では「案件ごと、製品ごとにコストの切り分けと原価低減策も検討せよ」「赤字案件をなくせ」と、細分化された厳しい評価指標に変化しています。
営業が売上密度や販売数量を増やしたとしても、サプライチェーンの遅延や原価高騰、外注費増加などで営業利益が減ると、問われるのは「なぜコストコントロールできなかったのか」という厳しい声です。
重圧感から、数字を達成できなければ自責を感じやすく、心身ともに消耗する社員も少なくありません。
「アナログ商習慣」と「変革圧力」の狭間
製造業の現場には、いまだ根強い昭和的なアナログ商習慣があります。
例えば「長年同じサプライヤーと続く口約束的取引」「上司・得意先の暗黙の了解に従う見積もり慣行」「帳面と電卓で原価積算」など。
このような文化の中で、営業はスピーディなデジタル原価管理や見積もり自動化を求められ、現場と経営の両方から変革圧力に晒されます。
実際、「コスト構造しっかり見ろ」「利益率維持しろ」という経営陣の声に対し、現場では「その算出基準や原価見える化のツールが不十分」「バイヤーへの説明材料が乏しい」「アナログな請求プロセスが障壁」といった実務的なギャップが山積しています。
現場変革には、トップの覚悟と現場への手厚いサポートが欠かせないのが現実です。
なぜ「原価管理」まで営業パーソンに求められるのか
売上数値だけでなく、原価管理まで営業が担う理由は、多様な業界変化にあります。
– 業界横断的な激しい価格競争と差別化困難
– 原価高騰(資源・物流費・人件費アップ)への即対応
– ライフサイクル短縮=赤字案件のリスク増加
– 顧客からのコストダウン要求の激化と交渉対応
– 個別案件ごとの利益可視化によるKPI経営へのシフト
特に調達購買との連携性も強まり、営業は「どこまで原価を下げられるのか」「サプライヤーにどこまで無理を依頼するのか」など、ハードな調整業務が絶えません。
また、システム上のコストシミュレーションや、見積もり根拠の開示責任も強まってきています。
バイヤー視点:「営業の内面」を知ることの意義
サプライヤーからバイヤーの頭の中を探る際、「なぜこんなにコスト削減を迫るのか?」と疑問に思うこともあるでしょう。
そこには、バイヤー自身も上流の営業や経営層から激しく「利益貢献」を求められている事情があります。
営業もバイヤーも、「これだけ利益を確保せよ」という“根拠”や“説明責任”が強く問われる時代。
バイヤーは「この価格の根拠は何か」「どこまで原価が下がるロジックがあるのか」を、内部説明資料として非常に重視しています。
「少くらいなら値引きしてもいいか」といった従来の付き合い方は、稟議ルールの厳格化、説明資料の精緻化によって大きく変化しています。
営業もサプライヤーも「利益を守るパートナー」として、価格交渉やコストダウン提案を誠実に積み重ねることが強く求められているのです。
現場での実践知:拙速な「原価ダウン」は逆効果
よくありがちな誤解が、「どんどん原価を下げれば会社に喜ばれる」という短絡的な姿勢です。
拙速な原価ダウンは、自社の品質劣化や人員疲弊、サプライヤーとの信頼毀損を招く恐れがあります。
数字で見えるコスト以外に、見えないリスク(コミュニケーションロスや将来的なトラブル)の増加は、二次的な多大なコストになる場合が多いです。
私は工場運営と営業双方の現場を経験して、「仲間を疲弊させ、無理やり仕事を回すことで出す利益にはサステナビリティがない」と痛感してきました。
実際には「効果的な業務標準化」「高いQCD(品質・コスト・納期)意識の共有」「現場・調達・管理部門の横断チーム化」など、地に足のついた中長期的な原価低減策こそが重要だと考えます。
お互いの苦しさを理解し、本質的な利益創出のパートナーシップを築くことが、現場起点の強い企業風土へと変革をもたらす第一歩です。
バイヤー、営業、サプライヤーが共生する時代へ
これからの製造業は、営業・原価管理・購買調達・現場管理の境界線がますます曖昧になります。
「利益重視」の経営環境では、お互いのプレッシャーや苦労、内部事情を理解した“チーム型提案・折衝力”が一層重要になるでしょう。
営業は「原価管理も含めた提案型営業」「経営視点での価格提示力」を、バイヤーは「供給側の実情を踏まえた価格協議力」「パートナーシップ構築力」を身につける必要があります。
そしてサプライヤーも「納入だけでなく付加価値提案」「問題解決型サポート」を強化していくことが、三方良しの共生関係へと進化するためのカギとなります。
まとめ:変化に前向きな本質追求を
営業数字を追いながら原価管理まで求められる苦しさは、一人ひとりにのしかかるプレッシャーだけでなく、業界全体の歴史的な転換期であることの証しでもあります。
昭和の成功体験にとらわれず、お互いの立場や現場事情に寄り添った変革こそが、製造業を新たな時代へ押し上げる原動力です。
デジタル化やDX、業務標準化による業務負荷の軽減、本質的なパートナーシップ創出による持続的競争優位を、現場発信で追求すること。
そして、営業もバイヤーもサプライヤーも同じゴールを目指す共創型の進化が、製造業の未来につながるのです。
今、苦しさの中でも“チャンス”の芽は必ずあると信じて、これからも皆さんと知恵を共有し、より良い現場づくりと価値創造に挑んでいきたいと思います。
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