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製造業の会社に就職する学生たちに事前に知っておいてほしい業界の本音として語られにくい残業の実態

目次
はじめに:製造業の現場で語られない「残業」のリアル
現在、多くの学生が安定した職を求めて「製造業の会社」への就職を目指しています。
ものづくり大国・日本の一翼を担う誇り高い業界ですが、実際に現場で勤務経験のある私の立場から見ると、世間で言われているイメージと現場の実態には大きな乖離があります。
その代表例が、「残業」の実態です。
学生や求職者向けの説明会や、リクルートサイトには「ワークライフバランスを重視」「働き方改革推進中」といったキャッチコピーが並んでいます。
しかし、実際の製造現場に入ると、それだけでは語られない「現場目線のリアルな苦労」が存在します。
この記事では、これから製造業界を目指す学生や若い社会人のみなさん、さらには業界内外からこの業界を客観的に眺めている方々に向けて、「残業」にまつわる真実と、そこに潜む歴史的背景、そして今後を見据えたアドバイスをお伝えします。
歴史的背景と今も続く「昭和型」製造業の働き方
「終わりなき残業」はなぜ生まれたのか
日本の製造業が世界と肩を並べて成長した高度経済成長期、その功績の裏には、圧倒的な現場主義と徹底した厳しさがありました。
目の前の「納期」を最優先し、現場責任者や作業者は、定時を超えても仕事を終わらせることが美徳とされていました。
特に「段取り八分」と言われるように、工程管理やラインの切り替え、生産準備などの見えにくい作業は「業務時間外」に積み残されがちです。
リーダーやベテランが淡々と終電まで残るのを、新人や若手が「これが仕事なのか」と無言で受け継いでいく。
この「昭和型の労働観」こそが、令和の今もなお現場に根強く残っている最大の原因です。
「アナログ」だから残業が生まれる? デジタル化の盲点
「うちは紙とハンコの文化で……」、「まだ手作業が多くて……」。
こうした声は、大手から中堅中小まで決して少なくありません。
近年はIoTや自動化が進みつつありますが、その本質は「一部の工程」や「一部の帳票」に限定されている場合が多いです。
例えば、購買部門でどれだけシステムを整備しても、現場の機械トラブルや、図面ミス、サプライヤーへの追加仕様変更など、最後は人手が頼みの綱になるケースが目立ちます。
また、過去の「カイゼン」や「見える化」も、現場のしがらみや組織構造の硬直化で、ボトムアップ型の改革が進みにくい風土が見られます。
このようなアナログな部分が積み重なり、「本来は不要なはずの残業」が今もなお、現場で発生し続けているのです。
実際の「残業」のパターンと、現場あるある
突発案件と残業:生産現場に避けがたい現実
製造業の現場には、「予測できないトラブル」がつきものです。
たとえば、追加発注やイレギュラーな品質クレーム、大型設備の突発的な故障。
こうした問題は、就業時間内にスムーズに片付け切れないことも多く、納期死守のプレッシャーから「残業ありき」で予定を立てる文化が根強いです。
また、生産管理者や購買担当者は「お客様(バイヤー)」や「サプライヤー」両方から板挟みにされることがあります。
急な追加仕様の連絡や、材料の納品遅延、その場の「調整力」が問われるため、他部門との会議後にやっと本来業務に取りかかる、といった“分刻みの残業”が発生します。
「サービス残業」の現実:見えにくい時間の消耗
定時後の作業について、「みなし残業」や「裁量労働制」を盾に、事実上のサービス残業が存在するケースは今も見受けられます。
資料づくりや会議準備、品質会議での分析資料の作成など、「評価につながるクリエイティブワーク」ほど、“時間外”に積み残される傾向が強いのが製造業の実態です。
また、工場現場では「次世代を育てるOJT」も、時間外に伝承されることが多い。
新人がミスした際のフォローや、現場リーダー同士の情報交換など、帳票に現れない隠れた残業が無数にあります。
バイヤー目線・サプライヤー目線で見る「残業」
バイヤー側であれば、当日中に図面や仕様書を社内で承認しなければならないケースが多々あり、夕方から急に「明日中にこの部品の見積もりが必要」と無茶なリクエストが飛んできます。
一方、サプライヤー側は「今から生産工程を再調整しなければ」と、営業担当と現場担当が一緒になって夜まで電話とメールの嵐が続くのです。
このような「バイヤーとサプライヤーの双方がギリギリで動かざるを得ない」構造が、残業に直結しています。
なぜ現場では残業が日常化しているのか?
「納期厳守」こそが現場の美学
製造業における最大の評価軸は、顧客からの「納期対応力」です。
1日たりとも遅らせてはならない。
たとえ、その日の材料が朝一に揃っていなくても、どんなトラブルが起きようとも、最後はどこかで調整し「出荷ベースで間に合わせる」ことが至上命題となっています。
だからこそ、現場では「終わるまで帰れない」「チーム全体でやりとげる」という一種の連帯感も生まれます。
この美学が時に働き方改革とぶつかり、若手社員を悩ませる原因にもなっています。
目には見えない「責任のグラデーション」
製造業では、営業部門・生産管理部門・品質管理部門など、多岐にわたる業務が日々並行して回っています。
それぞれが「自分の持ち場」を守るために、残業してでも成果を出す――という意識が強いのが特徴です。
新人ほど直接現場に張り付くため、「とにかく目の前の作業を終わらせる」ことに全力になります。
一方、中堅やリーダーは社内外への報告や調整、マネジメント業務が増えるため、自宅に持ち帰って資料作成や部下の教育に時間を費やす傾向があります。
つまり、残業の質や内容もキャリアに応じて変化していくため、「見えない責任」のグラデーションが消耗の根本原因となっています。
現場の残業を減らすために必要なことは何か
「人」の問題か、「仕組み」の問題か
表面的には「人手が足りない」「教育が不十分」といった声が聞かれますが、真の原因は業務プロセスや組織構造にあります。
例えば、「属人化した手順書」「データ化されていない情報共有」「現場主導の思いつき生産」。
こうしたアナログ作業の積み重ねが、残業の温床となっています。
本当の意味での業務改善には、工程全体を見直し、業務の自動化やシステム化を推し進める必要があるのです。
ただし、現場のリアルな声を吸い上げないままだと「形だけの仕組み」づくりで終わってしまうリスクも高いです。
「昭和」を乗り越えるためのラテラルシンキング
ここで大切なのは、「先輩のやり方」や「過去からの慣習」を疑ってみることです。
たとえば、「なぜこの工程は人手頼みなのか」「なぜ会議は毎回夕方開催なのか」など、既成概念に縛られない“ラテラルシンキング(水平思考)”が重要です。
変革は一歩ずつしか進みませんが、現場から「こうすれば効率化できる」「この工程は自動化できる」とアイデアを出し合い、小さな改善を積み上げていくことが残業を減らす唯一路です。
若い皆さんが「違和感」を持ったなら、それは大いなるチャンスです。
これから製造業界に入る学生・若手社会人へ現場からのアドバイス
現場の「苦労」も「達成感」も味わうべき
正直なところ、残業のない製造業現場はまだ極めて少ないです。
しかし、現場で泥臭く積み上げた経験こそが、今後のキャリアの礎になります。
工場内での連帯感、大型設備の立ち上げや新製品導入の達成感、そして「納期をやり抜く力」。
これらは他業種ではなかなか得られない、ものすごく貴重な財産です。
自分と周囲を守るために「働き方」を意識しよう
もう一つ重要なのが、「自分の働き方を主体的に設計する」意識です。
「終わらなければ残ろう」「皆がやっているから自分も」という呪縛から、一歩抜け出してください。
毎日の業務で時間配分を見直し、上司やチームと相談しながら、「効率化」や「自動化」のヒントを探す姿勢が大事です。
また、心身の健康を最優先する勇気も忘れないでください。
異常な残業が慢性化している職場には、必ず問題の根があります。
その場合は社内相談窓口や外部に積極的に声を上げましょう。
終わりに:未来志向で「製造業の進化」を担おう
製造業の会社を目指す学生たちに、現場からあえて厳しい現実をお伝えしました。
しかし、その現実を認識した上で、正しい知識と前向きな姿勢で現場と関われば、必ず自分の存在価値を高められます。
業界の「昭和の遺産」を学びつつ、「令和」の新しい働き方を創り出すのは、これから現場に飛び込むあなた自身です。
残業との付き合い方、現場の課題との向き合い方、そして「働く楽しさ」をバランス良く身につけて、製造業の新たな時代を切り拓いてください。
私たち“昭和の現場世代”も、次世代の皆さんを全力で応援しています。
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