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現場の暗黙知に戸惑う製造業の会社に転職する40代へ送る業界の本音

目次
はじめに:なぜ製造業の現場は「暗黙知」に満ちているのか
製造業に転職を考える40代の方にとって、現場にはびこる“暗黙知”の存在は、最初の壁となりやすい存在です。
多くの現場では、ルールや手順が文書化されていない、ベテラン作業員しか知らない「現場のコツ」が数多く存在します。
この“なぜかうまくいく暗黙のやり方”、あるいは“明文化されていない当たり前”が製造業に根強く残る理由と、その背景を解き明かすことは、転職後の活躍や定着にも直結します。
本記事は、製造業の現場で20年以上働き、多くの現場変革や自動化、改善プロジェクトにも携わってきた視点から、リアルな業界の本音と「突破口」を解説します。
転職後すぐにぶち当たる「現場の壁」突破の一助となれば幸いです。
昭和から続くアナログ体質と“暗黙知”の正体
なぜ製造業はマニュアル化が進まないのか
日本の製造業、とりわけ重厚長大産業や下請け型の中小企業では、今もなお“昭和のやり方”が息づいています。
転職者が最初に感じる違和感、それが「マニュアルがない」「作業をベテランが口頭で教えている」「同じ工程でも人によってやり方が違う」といったアナログな現実です。
その大きな要因は、現場業務の細かさや多様さ、日々の改善(カイゼン)が個人ごと小単位で続けられた結果です。
さらに「技は盗むもの」「やって覚えるもの」という職人文化や、失敗から学ぶことを美徳とする教育風土も影響しています。
なぜ「見て覚えろ文化」は根強いのか
製造業では作業の9割が手作業だった時代、標準化よりも「現場で生き延びる知恵」の継承が重視されていました。
ベテラン社員やパートさんが、自分の経験を頼りに不良品を見抜く。
わずかな音の違いで異常を察知する。
こうした“感覚的なノウハウ”は可視化やデータ化が難しく、「阿吽の呼吸」や「現場の空気」と表現されて受け継がれてきました。
そのため、転職してきた中途入社者にとっては、「なぜあの人はそれが分かるのか」「なぜ自分の判断は遅いと感じるのか」といった戸惑いが生まれやすいのです。
暗黙知は本当に“悪”なのか?
一方で、日本の製造業が世界で信頼されてきた背景には、この暗黙知に裏打ちされた“現場力”“勘どころ”が大きく貢献してきました。
人が「変化」に柔軟に対応し、機械では発見できない異常やトラブルにも迅速に対処できる。これは標準化やマニュアルだけでは伝えきれない強みでもあります。
「全部をマニュアル化しよう」と躍起になる前に、「何が暗黙知で、何が明示知か」を見極めること。これが新しい地平を切り拓くカギとなります。
現場で役立つラテラルシンキング:突破口はどこにある?
観察と対話が“暗黙知”の入り口
転職してまず最優先すべきは、「現場をよく観察し、とにかく話を聞く」ことです。
業務フローのどこに判断や隠れルールがあるのか、作業員同士のちょっとした声かけや、冗談交じりのやりとりにも実はヒントがあります。
「何かあればすぐ相談する」「分からないことは何度でも聞く」——昭和的な“見て覚えろ”に抗わず、逆に「何が分かる人の共通点なのか」を自分なりに意識して記録しましょう。
現場は、観察すればするほど“パターン”と“例外対応”で動いていることが実感できます。
「なぜ?」「本当?」で根本を見抜く
暗黙知の中には、「実は過去の経緯で意味のない慣習が残っている」「特定の人だけ理解している属人化作業」が多くあります。
「なぜこの順番なのか?」「なぜAさんはそれを知っているのか?」と問い続けることで、現場の本質が見えてきます。
ラテラルシンキング(水平思考)的に、他業界や過去の経験を掛け合わせ、「もしこの工程をゼロから標準化するならどうするか?」と考えてみること。
ここに意外と“突破口”が隠れているものです。
数値化・可視化、でも一気に進めない理由
近年はIoTやAI、各種管理システムの導入が進んでいますが、日本の現場では全作業の可視化・数値化をいきなりやろうとすると混乱を生みます。
ベテランの“感覚”を、そのまま可視化しきることは不可能だからです。
まずは「不良品が出る場面」や「作業判断が分かれる工程」など、“山場だけ”に着目して小さく数値化やデータ取りを始めましょう。
現場が納得しやすい形から始めて、「データが分かることでむしろ楽になった」という成功体験へつなげていく。それが現場目線の実践的なアプローチです。
バイヤー・購買の視点:サプライヤーとの関係にも潜む暗黙知
取引先選定にも「現場のコツ」あり
購買・調達の仕事では、設計スペックだけでなく、サプライヤーとの信頼関係や現場力、対応スピードといった“見えざる力量”が問われます。
スペック上は同じ製品でも、「A社なら現場に無理を聞いてもらえる」「B社は検査員が厳しい」など、現場から得たフィードバック(暗黙知)がバイヤーの意思決定を左右します。
ここでも重要なのは「他社がなぜそこを重視しているのか」「過去の失敗事例は何か」を現場社員から率直に聞き出すことです。
帳尻合わせの現実と“本音の交渉力”
製造業では、納期遅れや品質不良など、突発的なトラブル対応がつきものです。
表立っては言えない“属人的な調整力”、いわゆる「裏技」「根回し」が働いていることも珍しくありません。
この現実を知り、バイヤー視点で「表と裏の情報」「現場が本当に困っているポイント」を把握できると、サプライヤーとして“気が利く存在”と見なされるので大きな強みとなります。
暗黙知を味方につける:成果を出す40代の立ち回り方
慣習を壊すのではなく、“俯瞰して輪を作る”
いきなり「このやり方は非効率だから変えよう」と主張しても、現場の抵抗感は根深いものがあります。
大切なのは「まず身を低くして同じ作業を体験し、背景を理解する」こと。
現場の“独特の価値観”や「なぜ昔からそうやってきたのか」を俯瞰して理解し、小さな気付きを「現場の輪」に共有する意識を持つと、徐々に受け入れられます。
「伝言係」から「推進者」へ
現場での会話を他部門に“翻訳して伝える力”は、40代転職者が持っている社会人経験やコミュニケーション力を最大限に活かせる場面です。
「現場独特の言い回し」を一般化しやすい言葉・チャートに整理したり、「現場で言語化できない困りごと」を管理職へ代弁したりすることで一目置かれます。
最終的には、「現場目線」「経営目線」双方をつなぐ“推進者”へとステップアップできます。
昭和的コミュニティを侮らない
宴会、飲み会、タバコ部屋といった昭和的交流の中にも“現場の本音”やイノベーションの種が隠れています。
「非公式の場を避けてはダメ」とは言いませんが、自分の価値観の外側で何が起きているのか——いったん異文化体験するつもりで、意識的に関わることも良いスタートになります。
まとめ:暗黙知と共存し、変化を生み出す主役に
製造業の現場には、「現場でしか伝わらない空気」「文書化できないやり方」が多く息づいています。
それは一見時代遅れに感じても、日本独特の現場力や品質の底力につながるものです。
40代で転職し、違和感や戸惑いを感じたら、その気づきこそが現場改革の第一歩です。
「なぜ」「本当にそうなのか」を問い、まずは現場を観察し、歴史や背景まで理解する。
そのうえで少しずつ現場の言葉と経営の言葉をつなぐ——こうしたラテラルシンキングが、確実に自身の存在価値を引き上げてくれます。
昭和の慣習を壊すのではなく、味方につけた上で新しい時代の“暗黙知”を作る主役へ。
ぜひ、自分の視点と現場から得る知見を武器に、現場の変化を起こしてください。
製造業の未来は、まさにこれから現場で働く一人ひとりの挑戦によって切り拓かれていきます。
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