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OEMトレーナーの刺繍表現でブランド価値を高める糸選びのコツ

目次
OEMトレーナー市場におけるブランド価値の重要性
OEM(Original Equipment Manufacturer)によるトレーナー製造は、近年ブランド展開を目指す多くの企業や個人デザイナーから支持を集めています。
ファッションアイテムとしてのトレーナーは、シンプルな装いながらロゴや刺繍などのディテールでブランド価値や個性を表現する重要なキャンバスとなります。
大量生産が主流だった昭和時代と異なり、今は柔軟なOEM対応や多品種少量生産、カスタマイズ製品へのニーズが急増しています。
その結果、差別化戦略としてブランドの物語性や製品の細部、特に「刺繍表現」が注目されているのです。
本記事では、OEMトレーナーにおける刺繍表現がブランド価値向上にどのように寄与するのか、そしてバイヤーやサプライヤーが知っておくべき糸選びの最重要ポイントについて、現場目線で解説します。
刺繍がブランド価値に与えるインパクトとは
トレーナーの刺繍は「語る」装飾
刺繍は単なるデザイン装飾ではありません。
ブランドの世界観、理念、こだわり、歴史といった様々なストーリーを“糸”という手段を使って消費者に強く訴えかけます。
例えば、某メジャースポーツブランドのロゴ刺繍は、その精緻な仕上がりや耐久性からブランドの信頼感や安心感を高めています。
ニッチブランドでは、アートのような立体刺繍やパッチワーク刺繍を採用し、個性や世界観を明確に差別化しています。
トレーナーにおける刺繍は、その「質感」「光沢感」「立体感」「再現性」などで、着用体験やワンランク上のラグジュアリー感をも生み出せる重要要素なのです。
消費者にとっての「手に取る」価値
わずか1ミリの糸の太さ、わずかな色味の違い、微細な縫い方向一つで、完成品の印象やブランドイメージは大きく変わります。
丁寧な刺繍は、ユーザーの「愛着」を刺激します。
購買体験では、商品写真の見栄えや実物を手に取った瞬間の高揚感、そして何度洗濯してもほつれない安心感が、次の購買につながるのです。
OEM受託会社・バイヤー・サプライヤーの連携の中で、この「糸選び」の重要性がなかなか伝わらないのは、現場特有のあるある課題と言えるでしょう。
刺繍表現を最大化する糸選びの基礎知識
糸の種類がブランドイメージを作る
刺繍で主に用いる糸の種類には、大きく分けて「ポリエステル糸」「レーヨン糸」「コットン糸」「金銀ラメ糸」「特殊樹脂糸」などがあります。
選ぶ糸の種類により、発色、光沢、強度、質感が大きく変わります。
例えば、スポーツブランドやカジュアルブランドでは、強度と発色の良さから「ポリエステル糸」が多用されます。
一方、高級感やしなやかさを出したいブランドには「レーヨン糸」や「コットン糸」が好まれます。
高耐久性を求めるワークウェアやキッズブランドでは洗濯耐性や摩擦耐性の高い素材が選ばれます。
特殊効果を狙ったブランドには、夜光糸や反射糸、メタリック糸などで個性を出すことも可能です。
糸番手(太さ)が与える表情の差
糸は「番手」という規格で太さが表されます。
太番手ではしっかりとした立体感が生まれ、インパクトあるロゴや大柄なデザインに向いています。
逆に、細番手は細かなディテールや繊細なタッチの刺繍に最適です。
OEM現場でよく失敗するのが、「コストダウンしたいからといって糸を細くした結果、デザインが飛んでしまった」あるいは「太糸を使いすぎてトレーナー本体の生地が破損してしまった」というパターンです。
ブランドが訴求したい価値やメッセージに合わせて「何番手の糸がベストなのか」を事前にしっかり議論することが必須です。
色味と光沢感で差をつける
刺繍表現における「色味」は、ブランドイメージと直結します。
メーカーによって微妙に異なるカラーパレットが提供されており、有名ブランドではオリジナル染色糸を特注することもあります。
光沢感も、同じ赤色糸でもつや消しタイプとミラーフィニッシュタイプでは印象が大きく異なります。
OEMトレーナーで染色ズレや色ブレが生じやすい場合は、あらかじめ本体生地との相性や仕上がり確認(サンプル提出と現物合わせ)を念入りに行うことが重要です。
OEMバイヤー・サプライヤーが押さえるべき実践的な糸選び
「コスト優先」だけでは本質的な差別化を逃す
OEMにおいては、一枚あたりの生産コストの抑制が重要視されるのは当然です。
しかし、こと刺繍に関しては「安さ」を追求しすぎると逆効果になりがちです。
激安糸や玉虫色の安価糸は仕上げの耐久性が低く、時間が経過するとほつれや色落ち、ヨレなどが目立ちます。
ブランドが持続的に愛されるためには、「糸の質に妥協しない」姿勢が長期的な差別化につながります。
極端な例ですが、老舗ワークブランドに「社名ロゴが10年以上消えない刺繍」を求められるケースでは、吟味された国産高品質糸や特殊加工糸が採用されます。
単発案件には安価な大量生産糸、長期ブランド展開には高品質糸というように、事業戦略に合わせて糸選びを使い分けましょう。
生産現場と刺繍工場の密なコミュニケーション
OEM現場で頻発するトラブルの多くは、「バイヤー」「生産工場」「刺繍加工業者」の連携不足に起因します。
“伝言ゲーム”で糸の仕様書が曖昧になったり、色番号の伝達ミス、素材変更による抜き取り検査ミスなどは、現場あるあるです。
発注元のバイヤー(調達担当)は、生産工場と刺繍サプライヤーに対し、「単なる指示」ではなく、「何を目的に」「どんな価値を消費者に届けたいのか」まで共有する必要があります。
現場目線では、試作サンプルの段階で「刺繍のヨレはないか」「色ズレは想定内か」「量産で再現性が保てるか」といった品質担保の観点も抜けません。
突発的な生産トラブル(例えば納期遅延や急な仕様変更など)にも柔軟に対応できる協力体制を築くことが、ひいてはブランドバリューを守る最大の武器となります。
昭和的アナログ業界から生まれつつある変革の兆し
デジタル化と組み合わせた高度な刺繍表現
今やデザインデータ作成から刺繍プロットまで、業界にもデジタル化の波が押し寄せています。
「そもそもAI刺繍や自動化されたサンプル作成なんて、ものづくりの良さが失われるのでは?」という声も現場には根強いです。
しかし、実際にはCADデータとシミュレーション技術を組み合わせることで、人間の職人技術をさらに引き立てることが可能です。
多彩な糸表現を“仮想試作”し、最良のものを厳選してから現場投入できるため、コストと手間のバランスも向上します。
SDGs・サステナビリティの観点からの糸選び
現代のブランド価値は、環境配慮やサステナビリティとも直結します。
エコ糸(リサイクルポリエステル糸やオーガニックコットン糸)の利用は、SDGsを推進するブランドにとって必須の要素となってきました。
バイヤーは、刺繍糸が環境規格(OEKO-TEX®など)に準拠しているか、トレーサビリティ体制が整っているかにも注目する必要があります。
これは消費者の信頼感を得るうえでも、今後ますます重要な選定基準となるでしょう。
OEMトレーナーのブランド価値を最大化するための糸選びまとめ
OEMトレーナーの刺繍表現は、見た目の美しさ以上に「ブランドが語る価値の根幹」を担う重要な要素です。
顧客に愛され続ける商品を生み出すためには、糸選びから始まる現場目線のこだわりが何よりも大切です。
そして、そのためにはバイヤー・サプライヤーそれぞれの立場で、多方面からの情報収集と密なコミュニケーションが不可欠です。
今後はデジタル技術やサステナビリティといった時代の流れを取り入れつつ、日本のモノづくりのDNAとクラフトマンシップを活かした糸選びを実践することが、他にはない唯一無二のブランド価値創出へとつながっていくはずです。
OEMに関わる皆さまのものづくりが、より豊かなものになることを願っています。
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