- お役立ち記事
- 計測器管理と校正費削減に向けた具体策と方針管理手法を解説する業務改善ノウハウ
計測器管理と校正費削減に向けた具体策と方針管理手法を解説する業務改善ノウハウ

目次
はじめに:計測器管理と校正費削減の重要性
製造業の現場では、計測器の精度管理とそれに伴う校正作業は品質保証の根幹をなします。
多くの現場では、昭和時代から続くアナログ管理のまま、毎年多額のコストをかけて校正を外部委託しているケースが後を絶ちません。
この記事では、長年の現場経験と管理職としての視点から、計測器管理の基本、コスト削減の実践的な具体策、最新動向、方針管理手法について現場目線で詳しく解説します。
製造業に勤める方、バイヤーを目指す方、サプライヤーの立場でバイヤーの考えを知りたい方に向けて、読みやすく理解しやすい記事を意識しました。
計測器管理の基本:なぜ体系的な管理が必要なのか
計測器とは何か、そして何故「適切な管理」が求められるのか
生産現場には、ノギス、マイクロメータ、トルクレンチ、圧力計、温度計など、大小さまざまな計測器が常備されています。
これらの計測器はいずれも規格を満たす高精度な製品を生産するために不可欠であり、もし校正タイミングや使用記録の管理がいい加減だと、不良品の流出や工程異常の見落としに直結します。
多くの製品が「トレーサビリティ体系」を構築している現代において、ISO9001やIATF16949、ISO/IEC17025といった国際規格による厳格な管理が要求されるのは当然の流れです。
計測器管理が甘いと現場で起こるリスク
現場管理が徹底されていないと、以下のようなトラブルに見舞われるリスクが跳ね上がります。
– 校正切れで製造した製品が全数NGになる
– 顧客品質監査で指摘を受け、信頼失墜や取引停止
– 不具合原因調査でトレースが効かず、長期ライン停止
逆に言えば、こうしたリスクを回避しつつ、効率的な管理と校正費削減を両立させる体制づくりこそ、現場力向上への第一歩です。
計測器校正費削減の実践的具体策
1. 校正周期の見直し(リスクベースアプローチ)
昭和型の現場では「全ての計測器を毎年一括校正」という習慣的オペレーションが未だに根強く残っています。
しかし、実際には全計測器が同一のリスクを持つ訳ではありません。
「使用頻度」「使用環境の厳しさ」「品質への重大度」などからリスク評価を行い、校正周期を個別に最適化することで大幅な削減が可能です。
具体的な進め方
– 品質異常が生じた場合の影響度を踏まえ、ABCDなど数ランクに分類
– 低リスク(検査用・予備用など)には2年や3年周期を設定
– 高リスク(出荷検査用・工程管理要など)は現行通り厳格管理
このようなリスクベースの校正周期設定は、ISO9001の観点からも十分に妥当性が説明でき、監査時にも問題ありません。
2. 内部校正の推進と教育
全てを外部校正に委託すると、1台数万円×数百台で年間数百万円に達することも珍しくありません。
そこで、トレーサビリティが求められない現場専用の測定器やサブ測定器については、内部校正(自社基準器を用いた比較照合)を導入し、現場で簡易点検を実施できる体制整備を推進します。
例:ノギスの内部校正手順
– マスターゲージ・標準片を準備
– 所定の位置で繰り返し測定し記録を残す
– 各測定値との差異を記録、規定許容値内であれば「継続使用」OK
この工程をマニュアル化し、現場担当者が短時間で定期点検を行えると、外部委託コストの大幅削減に直結します。
3. 校正サービス会社の最適選定・一括発注化
従来の取引先に漫然と依頼するだけではコスト削減の余地は生まれません。
複数見積もりを取得し「まとめて校正」「現地校正(出張サービス)」の活用、「繁忙期を避けた閑散期発注」「複数工場・複数台まとめ発注」などで大幅なボリュームディスカウントを引き出すことが可能です。
また、社内全体で校正器具・計測器リストを一元化し「発注窓口の一本化(サプライヤ一元管理)」を行うと、調達部門の交渉レバレッジも飛躍的に向上します。
業務のデジタル化:昭和型アナログ管理からの脱却
見える化と一元管理がもたらす現場変革
今も多くの現場では、計測器台帳が紙やエクセルで管理されています。
これでは、校正切れを見落としたり、二重発注や過剰在庫の原因になります。
近年はクラウド型の「計測器管理システム」やIoT連携ツールが登場し、台帳自動更新、メール通知、QRコード管理などによる抜本的な効率化が現実のものとなっています。
導入メリット
– 校正期限の自動通知で管理ミス撲滅
– データベースによる全社横断管理で調達・校正コスト可視化
– 計測器の稼働状況(二重保有や遊休品の発掘)→最適配備へ活用
管理現場だけでなく、バイヤーやサプライヤーも「データに基づく改善提案」が行えるため、調達現場力・提案力が他社との差別化要因となります。
デジタル化推進のための現場の理解醸成
一気のシステム導入は反発もあるため、段階的移行(紙台帳との並行運用)、情報システム部との連動、現場スタッフの勉強会やQ&Aサポート態勢といった、”腹落ち感”のある推進策が必須です。
高齢スタッフにも「過去の失敗体験」「ヒヤリハット」など現場エピソードを交えながら、「なぜやるのか?」の意義を丁寧に説明すると定着が進みます。
計測器管理の方針・仕組み(ポリシー)が組織力を変える
トップダウン方針管理で組織横断の推進力UP
計測器管理や校正費削減も、単なる“現場任せの改善”では限界があります。
今や計測器台帳やコストマネジメントは、工場全体、あるいは全社でPDCAを回していく「全体最適」の業務です。
そこで、経営層や品質保証部門から明確な指針(基本方針、あるべき姿、KPI設定)を示し、現場が「自分事化」できる仕組みづくりが欠かせません。
例:計測器管理・校正費削減のKPI例
– 校正費の前年比○%削減
– 校正切れ台数ゼロ
– 社内標準化比率○%
– サプライヤーの集約率○%
KPIの進捗を月次全体会議で公開し、ベストプラクティスを素早く横展開することで、部分最適に終わらない管理体制が構築されます。
現場からボトムアップ提案を引き出す環境づくり
先述のトップダウン指示だけでなく、「現場からの改善アイデア・失敗体験」が吸い上げられる土壌がないと、表面的・一過性の施策になりがちです。
– 現場の改善提案会(QCサークル活動など)で優秀提案を表彰
– 校正ミス・監査指摘事例をケース共有(ノウハウ蓄積)
こうした風土が現場の自主的な改善行動につながり、真のコスト競争力、品質強化につながります。
サプライヤー・調達部門の立場から見る計測器管理戦略
バイヤーが求める「校正費低減」へのアプローチ
サプライヤーの方は、納入先のバイヤーが「品質保証とコスト適正化をどう両立しているか?」に強い関心を持っています。
調達目線では、複数サプライヤーとの一括校正サービス提案、競争入札によるコストダウン、校正実績データベースの提供などが求められるケースが増えています。
加えて、校正証明書の電子化、QRコード管理、大量台数のシリアルナンバー一括管理など、「デジタル対応力」はサプライヤー選定における決定的な武器となります。
新しい価値提案:工場自動化(ファクトリーオートメーション)との連携
IoTや自動化の進展により、「計測器のデジタルインターフェース化」「センサーデータの自動収集→リアルタイム管理」「校正状態アラートの設備連動」といった新たな提案も現実化しています。
工場自動化の視点を持った調達部門、サプライヤーは従来型提供型ビジネスから、高付加価値の“ソリューション提案型パートナー”への変革が迫られる時代です。
まとめ:昭和型からの脱却と、現場目線での抜本業務改善へ
計測器管理と校正費削減は、単なるコストカット活動にとどまらず、現場品質・工程信頼性・工場全体力の向上に直結する取り組みです。
昭和型のアナログ管理を根本から見直し、リスクベースの校正周期設定、内部校正・デジタル化の推進、大胆な一括調達化・現場主導の業務改善といったアプローチにより、新時代の“現場競争力”を手にすることができます。
管理職・バイヤー・サプライヤーそれぞれの立場で、見える化、標準化、KPIによる全社方針管理、そして現場の自主的な改善活動を推進し、製造現場発の未来志向の業務改革へ大胆に踏み出しましょう。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)