- お役立ち記事
- 海外営業未経験でもできる海外向け資料の翻訳・ローカライズのコツ
海外営業未経験でもできる海外向け資料の翻訳・ローカライズのコツ

目次
はじめに:なぜ今、「海外向け資料の翻訳・ローカライズ」が重要なのか
日本の製造業は、これまで国内市場の安定した需要に支えられてきました。
しかし、少子高齢化や国内需要の減少を受け、海外へのビジネス展開がますます重要になっています。
その中で大きな壁となるのが「グローバルコミュニケーション」。
海外営業未経験の方にとって、「海外向け資料の作成=翻訳」というイメージが根強いですが、実は正確には「ローカライズ」―つまり「現地の文化や商習慣に合わせて資料を仕立て直す作業」―が不可欠です。
本記事では、現場目線で培った経験を交えながら、海外営業未経験者でも実践できる翻訳・ローカライズのコツを解説します。
翻訳とローカライズの違いを知る
翻訳は「直す」、ローカライズは「馴染ませる」
翻訳は日本語から他言語へ単純に「意味」を変換する作業です。
一方、ローカライズは「現地ユーザーにとって自然な形に仕立て直す」作業です。
この違いが理解できていないと、英語に置き換えただけの資料が生まれ、「どこか違和感がある」「結局読まれない」といった問題が起きます。
なぜローカライズが製造業に大切か
例えば、日本の商談資料では「競合比較表」が強調されがちですが、アメリカやヨーロッパでは「自社の導入事例」「顧客の声」に重きが置かれる場合もあります。
また、品質管理や納期遵守の強みも、日本では常識ですが、海外ではアピールポイントとなります。
このように、単純な翻訳を超えて「商習慣や文化に合わせる」視点が必要です。
昭和的アナログ体質を超えるローカライズ発想
なぜ日本の製造業はローカライズが苦手なのか
長年の「国内市場偏重」「日本語説明書中心」「現場で口頭で伝える文化」が根付いているため、文章や資料のグローバル展開に発想が及ばない現実があります。
また、「グローバルといっても海外現地法人や商社が何とかしてくれる」という昭和的現場任せの雰囲気も根強いです。
ラテラルシンキングで発想を転換する
ラテラルシンキングとは、「既存の枠組みにとらわれず、横断的に物事を考える」思考法です。
製造業の現場でローカライズを考える場合、「自分が海外現地の調達担当者、現場技術者だったら、この日本語資料で何がわかる?何が役に立つ?」と俯瞰的に考え直す視点が有効です。
翻訳・ローカライズの実践的なステップ
1.「誰が・何のために」読むのか徹底的に考える
「営業向け資料」といっても、読者はバイヤー、技術担当者、経営層、現場担当者など様々です。
たとえばヨーロッパでは「環境規制」が話題になる一方、東南アジアでは「コスト志向」「耐久性重視」などニーズが異なります。
まずは、想定読者(ペルソナ)と資料の目的(契約獲得、比較検討、現場立ち合い等)を明確にしましょう。
2.翻訳の「落とし穴」を避ける―和製英語と曖昧表現は要注意
「ランニングコスト」「システムイン」「リードタイム」など、日本国内で通じる用語が、直訳では通じない場合が多々あります。
また、「準納品」「現地立ち合い歓迎」など曖昧な表現は海外でトラブルの原因となります。
各用語は、本当に現地語で伝わるか、できるだけ一般的な表現や「補足説明」をセットにして記載しましょう。
3.写真や図、現場の状況を必ず資料に盛り込む
言葉の壁を超えるために有効なのが、写真やプロセス図、導入事例のビジュアル化です。
日本では文字数が多い資料が好まれがちですが、海外向けには「短く、明確に。図や写真で主張をサポート」することが大切です。
代表的な手法として、配線やレイアウトのイラスト、ビフォーアフター写真、現場での実機展示風景などを掲載すると説得力がまします。
4.翻訳後は必ず「現地スタッフ」や「現地顧客」にレビューしてもらう
自分や社内の英語堪能者だけでは「本当に現地で通じるかどうか」が判断できません。
どの企業も、現地販売会社・サービススタッフ・既存顧客などに「この資料で何が伝わるか」短いアンケートをとってみることをお勧めします。
日本の感覚では思いもよらないフィードバックが返ってくることが多いです。
現場でよくある「失敗事例」から学ぶ
事例1:技術資料の細かすぎる情報が逆効果に
日本では図面・仕様書を詳細に作りこみますが、海外では「要点を簡潔に」と求められることがほとんどです。
例えば、A4で30ページにわたる詳細スペックも、現地担当者には「結局どの条件で使えるのか?」が抜け落ちている場合があります。
「詳細スペック→一覧のまとめ→導入事例」の構成が効果的です。
事例2:メールのやり取りで「曖昧な了承」が招くトラブル
「納入可能です」「調達可能です」という日本語表現は、細部を現場で詰めることが前提ですが、海外では「納入時期・数量・品質レベル」まで明記することが求められます。
資料にも「Limitation」「Conditions」などの注意書きを必ず記載しましょう。
事例3:カタログ仕様と現場製品仕様の齟齬
カタログは「理想的な使用条件での最大性能」を記載することが多いですが、海外現場では「実際にどの国のどんな環境下でこの性能が出るのか?」という視点が強く求められます。
特に電圧や温度、湿度範囲、使用材料の国際規格適合状況まで明記するようにしましょう。
サプライヤーがバイヤーの思考を理解するためにできること
「バイヤーの優先順位」を資料作成に反映させる
サプライヤーが陥りがちなのは「自社製品の良さを延々と説明」する方向に偏ることです。
しかし、バイヤーが重視するのは「価格」「納期」「サービス体制」「信頼性」「導入実績」など極めて現実的な指標です。
この各指標ごとに競合製品との差異や実績データを整理し、可視化した資料を用意しましょう。
営業資料の現地化に現場担当が直接かかわるメリット
現場担当者自身が資料やプレゼン作成に関わることで、「納品後のトラブル回避」「誤解なくリードタイムが伝わる」など、現場目線の情報付加価値が生まれます。
また、現場経験者がイチから「育成知見」や「現場での工夫例」を資料に反映することで、バイヤーへ安心感を与えることができます。
実践チェックリスト:翻訳・ローカライズ資料作成の最終確認
1.専門用語やローカルルールは補足説明がついているか?
2.現地ユーザーでも「使い方」「活用事例」がイメージできるか?
3.「独自の価値」「導入メリット」が直感的に伝わるか?
4.必要に応じて、現地スタッフ・既存顧客にレビューを依頼できているか?
5.アフターサポート体制や技術サポート窓口が明記されているか?
まとめ:昭和から令和へ、現場発のローカライズが製造業の未来を変える
日本の製造業は、長い間「国内型」のアナログ文化に依存してきました。
しかし、世界はすでに「情報のグローバル化」「ローカライズ競争」の真っただ中にあります。
海外営業の経験や語学スキルの有無に関係なく、「現場目線で、誰の立場でもわかる資料を」「海外ユーザーに役立つ形に」仕上げる姿勢こそが、これからの製造業サプライヤーに求められます。
バイヤーを目指す方は、この視点を持つことで自社の製品やサービスがグローバル市場で選ばれる理由を作り出すことができます。
そしてサプライヤーの方も、自社の魅力を確実に伝えるために、本記事で紹介したローカライズ手法を今すぐ実践してみてはいかがでしょうか。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)