「製品開発」における「トヨタ流問題解決」と「なぜなぜ分析」の基礎と実践

はじめに

製品開発の現場では、さまざまな問題が日々発生します。
これを迅速かつ効果的に解決するためには、体系的な問題解決の方法を用いることが重要です。
「トヨタ流問題解決」や「なぜなぜ分析」は、その代表的な手法として多くの企業で採用されています。
本記事では、これらの手法の基礎と実践方法について詳しく解説します。

トヨタ流問題解決の概要

トヨタ流問題解決は、トヨタ自動車が培った「トヨタ生産方式（TPS）」に基づく、問題解決のための体系的な手法です。
生産現場での効率向上や無駄の排除を目指し、問題の根本原因を徹底的に追求します。

トヨタ流問題解決の基本ステップ

1. **問題の明確化**: 問題を具体的かつ定量的に言語化する。
2. **根本原因の追求**: なぜなぜ分析などを用いて、本当の原因を探り出す。
3. **対策の立案と実行**: 根本原因に的確に対処する解決策を考え、実行する。
4. **結果の確認**: 実行した対策が効果を発揮したかを評価する。
5. **標準化と再発防止**: 効果が確認できた対策を標準作業とし、再発防止策を講じる。

トヨタ流問題解決の特徴

トヨタ流問題解決の特徴は、現場での実態把握の徹底です。
具体的には、「現物」「現場」「現実」を重視する「三元主義」に基づき、問題が起きている場に赴き、実物を見ながら理論を展開します。
また、データに基づく定量的な評価を重視します。

なぜなぜ分析の基礎

なぜなぜ分析は、問題の表面的な原因を追究するのではなく、その奥にある「真の原因」を見つけ出すことを目的とした手法です。
「5つのなぜ」と呼ばれることもあり、繰り返し「なぜ？」を問いかけることで、問題の真相に迫ります。

なぜなぜ分析のステップ

1. **問題の定義**: 発生した問題を具体的に把握する。
2. **1回目のなぜ**: 起きた問題がなぜ起きたのか、直接的な要因を尋ねる。
3. **2回目以降のなぜ**: 1回目で挙げた要因に対して、さらに深く「なぜその要因が起きたのか？」を問う。
4. **根本原因の特定**: 繰り返しの問いでたどり着いた最深部の原因を特定する。
5. **対策の考案**: 特定した根本原因に対する効果的な対策を考える。

効果を最大化するためのポイント

なぜなぜ分析の効果を最大化するためには、次のポイントを意識すると良いでしょう。

– **表面的な解答に満足しない**: あらゆる問題の背後には複数の要因が絡んでいる可能性が高いので、問題を多角的に分析することが重要です。
– **第三者の視点を取り入れる**: 現場に深く関わっていると、どうしても盲目的になりがちです。そこで、外部の視点を取り入れると客観的な分析が可能になります。

実践例から学ぶトヨタ流問題解決の応用

理論だけでなく、具体的な応用例を見ることは、手法を深く理解し、正しく実践するための鍵です。
ここでは、トヨタ流問題解決を実際に応用したケースをいくつか紹介します。

ケース1: 生産ラインの停滞原因の解決

ある製造工場では、生産ラインの頻繁な停止が収益に影響を与えていました。
通常のトラブルシューティングでは問題の特定に至らず、トヨタ流問題解決を導入しました。

– **問題の明確化**: 具体的な停止頻度とその影響をデータ化しました。
– **なぜなぜ分析の展開**: 停止が発生するたびに「なぜ？」を繰り返し問い、深掘りしました。
– **根本原因の特定と対策**: 生産設備の一部が不安定な稼働状態にあったことが原因と判明し、その部分を標準化しました。
– **結果と標準化**: 停止が大幅に減少し、生産性が向上しました。その解決プロセスを他ラインにも応用し、全社的な標準化を行いました。

ケース2: 品質不良の削減

製品欠陥によるクレームが頻発している工場では、品質向上が急務となっていました。

– **問題の明確化**: クレームの内容と発生頻度を詳細に分析しました。
– **なぜなぜ分析の適用**: 欠陥が発生するポイントごとに、「なぜ？」を繰り返しました。
– **根本原因の特定と対策**: 製造過程における特定の工程での作業ミスが根本原因と判明。作業の工程標準化と自動化を進めました。
– **結果と再発防止**: クレームは激減し、同様の問題が再発しないよう、教育訓練を強化しました。