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人工芝対応トレーニングシューズOEMが耐摩耗性を30%向上させるTPUアウトソール

目次
はじめに:製造業の現場から見る人工芝対応トレーニングシューズOEMの革新
製造業において、製品の付加価値を高めるためには現場の声や実際の使用シーンに即した開発が求められます。
近年、スポーツ関連市場で著しく注目されているのが「人工芝対応トレーニングシューズ」の需要拡大です。
従来の製品では、人工芝特有の摩耗環境に十分対応できないといった課題が多く指摘されてきました。
こうした背景のなか、アウトソールにTPU(サーモプラスチックポリウレタン)を採用し、耐摩耗性を従来比で30%向上させたOEMシューズが登場しています。
本記事では、製造現場目線でTPUアウトソールの素材的特徴や設計ノウハウ、そしてOEM事業化までの道のりを詳細に解説します。
また、長年アナログな傾向が強い製造業界でどのように新しい取り組みを根付かせていけるのか、実践的なヒントもご紹介します。
人工芝向けトレーニングシューズに求められる「耐摩耗性」とは
人工芝環境における摩耗メカニズムの理解
人工芝は天然芝とは異なり、シリカサンドやゴムチップなど異素材との摩耗が多く発生します。
これによりシューズのアウトソール部分は短期間で摩耗しやすく、グリップ力低下や耐久性不足に悩まされる現場の声が絶えません。
スポーツ用品バイヤーが最も重視する指標のひとつが「耐摩耗性」です。
多頻度トレーニングや試合使用を前提にした場合、1足あたりのライフサイクルコスト(=初期コスト/使用可能期間)が格段に変わってきます。
これは量産を担うサプライヤー側においても、OEM市場での大きな差別化要素となります。
従来型樹脂アウトソールの限界
従来のアウトソール素材で主に利用されたのはEVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)やラバーでした。
これらは軽量性やクッション性には優れていますが、人工芝上の細かな摩耗・摩擦環境にはじゅうぶん耐えられません。
工場現場での品質クレーム解析でも、
「横滑りで削れる」
「ミクロクラック発生後に一気に摩耗進行」
といった障害事例が多発していました。
この状況を打開し、製品寿命を劇的に伸ばす新素材として選ばれたのが「TPUアウトソール」です。
TPU(サーモプラスチックポリウレタン)の素材特性と価値
TPUの物理特性とシューズ設計へのメリット
TPUは、ラバーやEVAと比べて以下の長所があります。
・高い引張強さと伸び率
・優れた耐摩耗性(ASTM摩耗試験で数値上30%以上の改善)
・エラストマーとしての適度な弾性と柔らかさ
・着色や成形が容易な柔軟設計性
・耐薬品・耐寒・耐油性を持ち、多様なフィールド対応力
アウトソールにTPUを採用することで、過酷な人工芝の摩耗環境であってもグリップ力を損なわず、長期安定してパフォーマンスを維持することができます。
また、素材そのものの色乗りやデザイン多様性により、OEMビジネスで顧客ごとのブランドカラーやグラフィック要望にも柔軟対応できます。
TPUアウトソールのビジネス的インパクト
プロ・アマ問わず、消費者は「価格+耐久性+デザイン+ブランド」の総合評価で製品を選択します。
TPUアウトソールの耐摩耗性向上は、シューズそのものの「総合耐用年数」を引き上げ、買い替えサイクルを長期化させます。
OEMサプライヤーにとっては、単なる売り切り型の商品から、「付加価値を継続提案するパートナー型ビジネス」への転換が図れます。
発注側バイヤーも、品質保証・アフターサポートの負担を軽減し、ブランド価値維持につながります。
製造現場発:TPUアウトソール量産の実践ポイント
原材料・成形におけるノウハウ
TPUは原材料価格がラバーやEVAよりやや高価ですが、その分、歩留まり向上や品質安定性に寄与します。
重要なのは、原料仕入れルートの確保とロットぶれを最小限に抑える「調達購買力」です。
また、TPU特有の成形条件(温度管理・圧力コントロール)を守りながら、金型設計段階で肉厚分布・排気・流動解析を徹底することが、生産効率と品質両立の要となります。
ここが従来型メーカーと「製造業の体質改善」を遂げた先進型OEMメーカーの分かれ道です。
品質管理の現場実践:耐摩耗試験・現物テスト
製品出荷前に必須となるのが、ASTM D-1044やTABER試験機による摩耗評価です。
現場では「摩耗失重量」だけでなく、「逐次摩耗によるグリップ力低下カーブ」「ミクロクラック発生後の耐久評価」「実際の人工芝連続歩行テスト」など、多角的な品質検証が推奨されます。
昭和型現場力の良さを活かし、現場作業者や検査員が「シューズを実際に履いてみて違いを体感する」活動を組み入れると、クレーム発生時の迅速なフィードバックが得られます。
変わる調達購買の視点:サプライヤーに求められる提案力とは
コモディティからパートナー型OEMへ
従来のバイヤーは「仕様書通り作る」「安く買う」だけだったというのが正直なところです。
しかし現場目線からみれば、最終製品のトータルパフォーマンス向上には、素材選定、部品精度、現場改善、納品後の情報共有も不可欠です。
TPUアウトソール導入を提案するサプライヤーは、単純な価格競争だけでなく、「摩耗低減データ」「実機評価レポート」「設計サポート力」など、深い提案力を武器に差別化できます。
バイヤーはこうした付加価値のあるサプライヤーを選ぶことで、トータルコストダウンと顧客満足度の最大化を目指せます。
工場自動化・DX化の波とこれからのものづくり
DX化が進むなか、TPUアウトソールの製造現場でも品質トレーサビリティの自動化や、摩耗検査工程のIoT化が有効です。
AIを使った摩耗進捗予測や、生産ラインでの画像認識による欠陥検出も現実味を帯びています。
ただし最新技術導入にあたり、現場とバイヤー、サプライヤーが三位一体となって改善視点を持つことが肝心です。
現場の職人知識・勘所をマニュアル化・データ化することで、昭和型の暗黙知から知的資産への進化を遂げられます。
まとめ:TPUアウトソールが牽引する人工芝対応シューズの未来
人工芝対応トレーニングシューズ市場は今後も拡大が続きます。
TPUアウトソール採用による耐摩耗性30%向上は、コスト・耐久性・競争力・ESG対応といった視点で大きな付加価値をもたらしています。
製造現場が持つ改善ノウハウを活かし、調達購買・品質管理・現場生産を一体で進化させることが、製造業全体の底上げに不可欠です。
また、OEMサプライヤーとしては「もの」だけではなく、現場と顧客双方に寄り添う「こと」提案を徹底することが、昭和型から脱却するためのキーポイントとなります。
バイヤー志望者やサプライヤーの皆様は、ぜひ新素材TPU導入と現場主義のものづくりで、世界に誇れる日本の製造業の未来を一緒に切り拓いていきましょう。
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