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トレンドを反映させたOEM消耗品のヒット商品開発事例

目次
はじめに ~昭和から令和へ、OEM消耗品開発の新潮流~
製造業の現場で消耗品のOEM(相手先ブランドによる製造)開発にかかわることは、従来から重要な業務の一つでした。
しかし、最近では市場動向や消費者ニーズの変化が激しく、かつてのような「一度作れば数年安泰」という時代ではなくなっています。
デジタル化やグローバル競争、SDGs(持続可能な開発目標)の浸透、人材不足といった背景に加え、アナログ業界独自の保守的な体質も根強く残っています。
その中で、成功しているOEM消耗品には、どのようなトレンドや考え方、仕掛けがあるのでしょうか。
本記事では、現場目線の実践的な観点とともに、最新のトレンドを取り入れたOEM消耗品のヒット商品開発事例をご紹介します。
OEM消耗品の開発とは?業界の現状と課題
OEM消耗品とは
OEM消耗品とは、発注者であるブランドが設計・仕様を指定し、製造現場で使われるパーツや備品などをOEM(他社に製造委託)によって供給される消耗品のことを指します。
例えば、印刷機のインクカートリッジ、工場の保守部品、作業用グローブ、エアフィルターなど現場で日常的に交換・補充されるアイテムが該当します。
製造業界に根付くアナログ的な発想
製造業、とりわけ消耗品市場は、良くも悪くも「これまでの実績」「信頼のおける老舗メーカー」を重んじる文化が色濃く、昭和的な横並び育成が未だに多く見られます。
見積もりもFAXや電話が主流。新商品よりも安定供給を何より優先する現場が多く、「変化」に消極的な側面も存在します。
新たな潮流とこれからの課題
一方、コロナ禍後のサプライチェーン断絶リスクの顕在化や、環境規制への対応、世代交代による現場ニーズの多様化を受けて、OEM消耗品の調達・開発スタイルにも変化が現れつつあります。
コストのみならず、納期短縮や仕様カスタマイズ、サブスク型供給、デジタル連携などで新たな付加価値を提供するOEMメーカーが評価される傾向が強まっています。
トレンドを反映させたOEM消耗品のヒット商品事例
1. サステナブル消耗品のOEM開発
SDGs推進を背景に、環境負荷を減らす消耗品のOEM事例が増えています。
ある自動車部品工場では、従来使い捨てだったウエス(工業用布)を、再生繊維配合型に変更。OEMメーカーと協力し、洗って再利用できるタイプを開発・導入しました。
この事例では、CO2排出量削減、廃棄コスト削減、現場スタッフの意識向上という多面的メリットを創出。従来よりやや高額な単価にも関わらず、調達購買部門の「サステナ目標に合致」として採用され、ヒット商品となりました。
2. IoT連動型消耗品 — 使用量の自動検知&発注
工場自動化とIoT活用が進む中、“在庫切れリスクゼロ”を追求した新たな製品が登場しています。
たとえば、切削工具用の潤滑油タンクに取り付けられたIoTセンサーが、残量をクラウド上で常時モニタリング。一定量を下回ると自動的にOEMメーカーに発注データが送信され、必要量だけ補充されます。
これにより、余剰在庫や緊急発注を大幅にカット。購買担当者の負担を減らし、現場の生産性向上と効率化につなげています。
このようなIoT+OEM消耗品サービスは、現場の人手不足対策・スマートファクトリー化の一環として今後も増加傾向にあるといえるでしょう。
3. オーダーメイド型消耗品による“現場最適”の追求
どんな現場にも「既存品だと微妙に合わない」「もう少し柔らかい/硬い素材が欲しい」といった声が必ず存在します。
そうしたニッチな現場ニーズに応え、OEMメーカーと二人三脚で生まれた消耗品事例がヒットしています。
例として、電子部品製造現場で用いられる超精密クリーニングシート。汎用品だと研磨力が強すぎて製品を傷めていましたが、OEMメーカーとの共同開発によってカスタマイズ仕様を実現し、歩留まり改善という明確な効果を生みました。
量産前の小ロット試作に快く対応できるOEMメーカーの「フットワークの軽さ」も評価され、同様の相談が他社からも続出するヒット商品となりました。
4. “サブスクリプション型”消耗品OEMサービスの登場
従来の“一括買い切り”から、最近では月額課金型・使用量連動型のOEMサービスも誕生しています。
印刷業界では、インクやトナーを定額使い放題+プリンターメンテナンスも一括契約できるサブスク型供給モデルが急速に普及中。
これにより、資金繰りの安定化や発注の手間削減というバイヤー側メリットだけでなく、OEMサプライヤー側も継続的な関係構築・顧客満足度向上につなげています。
「モノ売り」から「サービス売り」へ。消耗品の世界でも、このビジネスモデル転換が勝ちパターンの一つとなり始めています。
OEM消耗品ヒット商品開発に必要な視点
市場トレンドの「一歩先」を読む力
購買バイヤーは、常に「今までどおり」で安心したい一方で、コストダウンや業務効率化、SDGs対応などの社会的要請にもさらされています。
OEMメーカー側は、業界動向だけでなく、現場スタッフの“裏ニーズ”や、経営層が置かれている視点までラテラルに想像し「次は何が必要か?」を先取り提案できる力が問われています。
たとえば、単なる安価な消耗品というアプローチから、「補充手間ゼロ」「廃棄物削減」という一段上の“バリュー”で開発する姿勢が重要です。
アナログ業界ならではの「根回し力」と「信頼関係」
歴史ある製造業では、現場担当者・調達バイヤー・経営層と意思決定プロセスが多段階です。
ヒットOEM商品開発には、まず現場のキーマンと信頼関係を築く、人間関係づくり—いわゆる“根回し力”が不可欠です。
定例会議だけでなく、現場ヒアリングや体験イベント、試作品提供の場を作り、忌憚なき意見を確認する。
アナログな部分こそ、丁寧にコミュニケーションを取ることで初めてニーズを引き出し、製品化に結び付けていくことが大きなカギとなります。
“失敗を活かす”PDCAサイクルの徹底
OEM消耗品のヒット商品は、最初のアイデアがそのまま成功することはほとんどありません。
試作段階や導入直後に「現場で使いにくい」「思ったより効果が少ない」等の予期せぬ壁が多く発生します。
しかし、これを逃げずにフィードバック→すぐに改良(P:計画→D:実行→C:評価→A:改善)を高速回転させることで、ヒット商品へと磨かれていきます。
自社の技術や営業方針に固執し過ぎず、現場バイヤーやサプライヤーと真摯に意見交換を重ねることが、「昭和的なものづくり」から「令和の価値創造」へと進化するポイントです。
バイヤー志望者・サプライヤー担当者は何を意識すべきか
バイヤー志望者の視点
・自社工場や現場ニーズをしっかりヒアリングした上で、コストだけでなくサステナビリティや使い勝手、納期、サービス展開といった多角的な“価値”でOEM品を評価しましょう。
・原則として複数社を比較し、「提案力」「アフターフォロー」「柔軟な試作対応」など総合力で選定する癖をつけることが、ヒット商品の見極めに繋がります。
サプライヤー担当者の視点
・顧客現場の“本当の困りごと”に耳を傾け、「言われた通りの商品」から一歩踏み込んだ「現場を変えるソリューション型OEM消耗品」への転換を意識しましょう。
・現場見学や共同改善会、デジタルツールを活用したヒアリングも積極的に仕掛けることで、受注型から提案型へのステップアップを目指せます。
まとめ ~製造現場発のイノベーションのすすめ~
OEM消耗品という一見地味な分野にも、サステナブル化やデジタル化、サブスクリプション化に代表される新たなヒット商品の種があります。
重要なのは、昭和的な価値観と最先端の市場トレンドを「並立」ではなく「融合」させ、現場・バイヤー・サプライヤー三位一体で進化を目指すことです。
工場現場での小さな失敗・成功の積み重ねこそが、真のイノベーションの原点です。
OEM消耗品の世界から、多くの現場発イノベーションが生まれることを心より期待しています。
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