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投稿日:2026年1月15日

エッジ割れが発生する典型的パターン

はじめに

製造業で日々悩みの種となる「エッジ割れ」は、多くの現場に共通する課題です。
自動化やデジタル化が進む現代においても、昭和から続くアナログ作業の根強い現場では、根本的な解決に至らず、繰り返し発生しています。
この記事では、エッジ割れがなぜ発生するのか、その典型的なパターンを実体験に基づきつつ詳しく解説します。
さらに、バイヤー・サプライヤー両方の視点から現場で即活用できる改善策や、2024年現在のトレンドも交えてご紹介します。

エッジ割れとは何か

用語の定義と現場での位置付け

エッジ割れとは、板金や鋼板、樹脂などの加工品において、加工や搬送の過程で材料の端部(エッジ)に割れや欠損が生じる現象です。
航空機、自動車、家電、精密機器など、幅広い分野の製造現場で問題となっています。
エッジ割れは、最終製品の品質や機能に重大な影響を及ぼすことが多く、クレームや歩留り悪化、納期遅延につながりやすい不良です。

なぜ今もエッジ割れが問題か

近年、CAD/CAMやロボットの普及が急速に進んでいますが、一方で加工のノウハウや現場作業者の勘に頼る部分が多く残っています。
材料や工程の多様化、グローバル調達による品質ばらつきなど、新たなリスクも加わり、エッジ割れ対策はますます複雑化しているのが実情です。

エッジ割れが発生する典型パターン

1. 材料選定・調達段階でのミス

エッジ割れの発生原因でもっとも見落とされがちなのが、材料品質や特性の評価ミスです。
「値段が安いから」「リードタイムが短いから」と材料を選び、微妙な素材のばらつきやミルシート(品質証明書)の成分だけで判断してしまうケースが目立ちます。
実際、現場では同じ規格の材料でも、ロットや製造元の違いでエッジ割れの発生率が大きく違うことがあります。

2. 加工プロセス設計の落とし穴

せん断(シャーリング)、プレス、曲げ、切削など、一次加工工程の条件設定に問題があるケースも典型です。
特にプレス金型のクリアランス不適合や切断速度のムラ、工具の摩耗などが重なると、材料が想定以上の応力を受けてエッジ割れにつながります。
また、工程ごとの連携が不十分で、上流工程で微細な亀裂が生じたまま次工程に進むことで、後工程で顕在化する“連鎖不良”も珍しくありません。

3. 現場改善の遅れ・過去の常識への固執

昭和から続く現場では、「うちはこのやり方で問題なかった」という”現場ベテランの経験則”がまかり通ることが多々あります。
新素材や新設備の導入時に加工パラメータや手順を見直さず、過去の慣例のまま作業が続行。
その結果、エッジ割れだけでなく他の不良も“見て見ぬふり”状態になりがちです。

4. 不十分な検査・測定体制

目視検査主体で寸法や外観のチェックが甘く、エッジ割れが出荷後になって発覚するパターンも後を絶ちません。
自動化工程の場合も、AI検査の導入は進んでいる一方で、教師データ不足や現場での確認不足が、不良の見逃しにつながります。
現場の多忙や人手不足が拍車をかけ、要因ごとの対策が属人的になっている企業も多いのが実態です。

実際の事例:エッジ割れが起こる構造的な問題

材料置換・海外調達の落とし穴

自動車業界で頻発した事例として、中国・東南アジアなどからコストダウン目的で材料を置換した際、エッジ割れの発生頻度が一気に上昇。
現場のオペレーターは「材料がすぐ欠ける…」と訴えるも、管理部門はデータシート上の強度しか見ていない、という“現場と管理の断絶”が原因でした。

多工程間の連絡ミス

板金工場で、シャーリング(切断)工程で発生したわずかなバリや小さな割れが、折り曲げ工程で拡大。
その後最終検査までノーチェックとなり、最終顧客のラインで重大不良として発覚。
工程間の連携不足と検査工程の抜けがもたらした典型的な「見逃されるエッジ割れ」の事例です。

昭和から抜け出せないアナログ業界の現状と課題

“熟練の目”に頼る現場体質

今日でも、多くの工場では“○○さんの目視確認が一番確実”といった風土が色濃く残っています。
デジタルツールやIoTの導入は進んでいても、分析やフィードバックが属人的で、問題の本質が共有されにくい傾向があります。
そのため、エッジ割れの原因究明や予防策も個人の勘や経験に依存し、「なぜ再発するのか」を組織的に問う文化が根付いていません。

“失敗から学ぶ文化”が浸透しにくい

現場でエッジ割れなどの不良が発生すると、「なぜ起きたか」よりも「なぜ発見できなかったか」に意識が向きがちです。
この“責任追及型”の体質は、新しい改善案や失敗からの学びを潰す土壌となりやすく、トラブルの根本解決を難しくしています。

エッジ割れを防ぐ具体的なアプローチ

バイヤー視点でのポイント

– 材料選定時は、仕様書・成分だけでなく、現場の声、生産実績、不良発生率の確認を徹底することが重要です。
– サプライヤーと定期的に技術ミーティングを持ち、エッジ割れ含む不良傾向情報を共有します。
– また、調達時には「より現場に寄り添う目線(現場見学、試作評価)」を常に意識すべきです。

サプライヤー視点でのポイント

– バイヤーが何に困っているか、製品がどのような工程を経て活用されるかまで意識しながら材料や部品を提案することが差別化につながります。
– 生産データやQA情報を積極開示し、エッジ割れに至るまでの経緯(いつ・どこで・なぜ)を「見える化」する姿勢が信頼構築のカギです。

現場改善へのアクション

– 異常検知AIやカメラ画像解析による自動エッジ検査の導入は、人的ミス防止に大きな効果をもたらします。
– 工程間での“異常ログ”共有と、ヒューマンエラーも記録するPDCA(計画・実行・評価・改善)体制の構築が有効です。
– 材料・設備メーカーとも連携し、“現場本位の共同改善チーム”を組むことで、自社だけで思いつかないラテラルな解決策が浮かぶことも多いです。

2024年以降のエッジ割れ対策のトレンド

サステナビリティとQCDの最適化

カーボンニュートラルやグリーン調達の流れを背景に、材料のリサイクル適性・耐久性、エッジ部の保護材料選定など、従来のQCD(品質・コスト・納期)最適化とともに、新たな評価軸が求められています。
AIやデータ解析のフル活用による“予測保全”や“不良予測”へのシフトが加速しつつあるのも特徴です。

教育投資とナレッジマネジメントの強化

熟練技能者の退職が進む一方、若手・外国人労働者の現場参入増加により、「なぜこの設備・材料だとエッジ割れが起きるのか」という暗黙知の体系化が必須となっています。
ARやVRを活用した技能伝承や、社内外連携の技術コミュニティ形成が、持続的な現場力アップの鍵となります。

まとめ:エッジ割れ対策は組織の変革から

エッジ割れは、単なる加工・材料の問題にとどまらず、現場と管理、バイヤーとサプライヤー、アナログとデジタル、個人と組織の“断絶”によって生まれやすい課題です。
製造業の現場で培った「気付き」と「現実感覚」をベースに、関係者全員の知恵を持ち寄ることが、真の解決への第一歩です。
今こそ「昭和」から未来へ――業界全体が一丸となり、エッジ割れ撲滅に向け新たな地平線を切り拓くことが求められています。

製造業に携わるすべての皆様の現場改善・組織力強化のお役に立つことを心から願います。

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