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ワイヤー破断が起きる典型パターン

目次
はじめに – ワイヤー破断はなぜ起こるのか
ワイヤーは、製造現場や建設現場、さらには自動車、家電、精密機械産業など、さまざまな分野で欠かせない部品です。
その一方で、ワイヤー破断というトラブルは、現場の生産性や安全性を脅かす深刻な問題のひとつです。
では、「なぜワイヤーは破断するのか」。
本記事では、現場でよく見られる典型的な破断パターンを、長年の製造現場経験を踏まえて実践的に解説していきます。
さらに、「昭和から続くアナログな慣習」「業界独自の動向」など、普段は語られない本質的な原因や解決の糸口もお伝えします。
ワイヤー破断の根本的な防止策を考える人、サプライヤー側でバイヤーの事情を知りたい人、新しい視点を持ちたい現場担当者や購買担当者に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
ワイヤー破断の主なパターン
1. 材料の品質不良による破断
ワイヤーが破断する最も根本的な要因の一つは、素材そのものの品質に起因します。
材料メーカーの管理レベルや、原材料の選定の段階から小さな異物混入、表面欠陥、内部組織不良まで、影響は多岐にわたります。
生産ラインが高度に自動化されていても、原材料自体に問題があれば、どれだけ後工程を管理しても破断リスクは消せません。
JIS(日本産業規格)やISOの規格品でも、ロットごとのばらつきを見逃していませんか?
「いつもの仕入れ先だから安心」と思い込み、受入検査を最低限しか行わないケースは、実は現場あるあるです。
昭和時代から続く「馴染みの取引先」「人情発注」が、数十年経った今でも根強く残っているのは事実です。
現場からの提言:
特に設計変更や新規ロット立ち上げ時、抜き取り検査や成分分析だけでなく、第三者検査機関を活用した初回ロット検査を強く推奨します。
2. 過度な荷重・繰返し荷重による疲労破断
ワイヤーは基本的に一定の強度を持つように設計されていますが、設計上の想定よりも大きな荷重が繰り返し加わった場合、「疲労破断」が発生します。
特に荷重が周期的にかかる使用環境では、金属内部にミクロなクラックが蓄積し、最終的には肉眼で見えないレベルのダメージが蓄積していきます。
例えば産業用ロボットのケーブルワイヤー、自動車のシート調整ワイヤーなどは、設計寿命に達する前に現場事情(使用頻度の変化、メンテナンス頻度の低下等)で早期破断するリスクがあります。
現場からの提言:
疲労寿命評価試験を設計段階から必須にし、現場では定期的な目視点検、荷重センサーによる稼働時間データ収集をセットにすることが重要です。
3. 取り扱い・保管時の損傷(人為的要因)
ワイヤーは柔軟な部品であるがゆえに、巻き癖、キンク、摩耗などの人為的ミスによる破断も非常に多いです。
一度でも曲げすぎてしまうと、その部分が「応力集中点」となり、実際の荷重に耐えられなくなります。
昭和的な「見て覚えろ」や「カンで引っ張る」といった現場文化が色濃く残っている場合、こうした損傷トラブルが繰り返されがちです。
特に、熟練工の退職や人員流動化が進む令和の時代では、現場標準作業書が形骸化しがちです。
現場からの提言:
ワイヤーの受入から現場配布、設置、保管まで「トレーサビリティ化」をすすめるのが理想。
簡易的にはQRコード管理や写真台帳を運用し、「いつ、誰が、どこで」ワイヤーを扱ったかを見える化することが肝要です。
4. 環境要因による腐食・劣化
ワイヤーは様々な素材で製造されますが、種類によっては水分・塩分・薬品・紫外線などの影響で腐食しやすくなります。
特に屋外設置や高湿度環境、クリーンルーム用でも薬液清掃による「応力腐食割れ」が起きやすいです。
「うちはステンレスだから大丈夫」と油断していると、塩素系清掃薬剤の残留成分やエアコンからのドレン水滴下で意外な劣化が発生します。
現場からの提言:
現場環境ごとの「暴露試験」や「耐食性評価」を啓蒙し、設置後は実物の定期点検を徹底してください。
必要に応じて防錆剤の塗布や、カバーの設置、現場に合わせた材料グレードの選定を行いましょう。
5. 制御側(設備・設計側)の想定ミス
ワイヤー破断は、単なる消耗品トラブルではなく、設計段階や設備側での想定ミスが大きな犬となるケースも多いです。
例えば、「キャパシティを1.5倍とったつもりが、実は荷重分布が偏っていた」「張力センサーの設定ミスで過負荷状態になっていた」「設計側での安全率設定値が、実際は現場運用とかみ合っていなかった」などです。
昭和の設計図が未だに現場で使われている場合、新しい設備や生産性アップのために無理な使い方をしていませんか?
現場からの提言:
設計部門・保全部門・現場が「情報の壁」を作らず連携すること。
現場起点のフィードバック(実際の運用データ、トラブル履歴)を設計に持ち帰り、冗長な安全率ではなく「現場実態に基づく仕様変更」を柔軟に進めることが、真の課題解決につながります。
バイヤー・サプライヤー双方に伝えたいこと
昭和的な「信頼関係」だけでは防げないトラブル
バイヤー(調達購買担当)の立場では、「コスト重視」と「納入安定性」を重視しているうちに、つい「相見積もり」や「過去実績」を盲信しがちです。
しかし、ワイヤー破断は単なるコスト問題や「値切り交渉」だけでは解決しません。
一方サプライヤーの立場では、「言われたスペック通りに納めている」「規格品だから問題ない」と受身に回りがちです。
お互いが「問題発生前提」での会議やコミュニケーションを怠ると、トラブルは何度でも発生します。
本当の意味での「協調的パートナーシップ」が必要です。
バイヤーの考えていることをサプライヤーは理解しよう
バイヤーは単なる「値切り屋」ではありません。
長期的な安定供給や品質向上、工場稼働率の向上まで含めてトータルコストを考えています。
納入後の現場クレームや作業効率の悪化、人材教育工数の増加など、目に見えない現場コストに強い危機感を抱いています。
サプライヤーとしては、「どこでどんな現場課題が起きているか」「競合他社はどんなトラブルを起こしているか」など、業界動向や顧客現場の情報収集・提案が今後は必須です。
ハード(ワイヤー自体)だけでなく、ソフト(情報・運用・改善提案)もセットで提供することが生き残りの鍵となります。
現場視点でのワイヤー破断対策 – 令和流の攻め方
デジタル化とアナログ現場の「融合」が答え
近年はIoT技術の進展により、ワイヤーの張力・状態監視システムも現実味を帯びてきました。
破断リスクの高い機械には、簡易の応力センサーやロードセル、さらにはAI活用による異常予知まで導入が進みつつあります。
とはいえ、昭和時代からのアナログ現場でも、丁寧な点検と「五感を活かした」作業標準化が根付いている場合は、これを無視してのトップダウンDXは失敗します。
本質は「デジタルデータ」と「現場直感」の二階建ての管理です。
現場からの提言:
定期的な設備診断・点検記録をデジタル化しつつ、作業者からの異音・異常発見やちょっとした気づきを記録・共有できるプラットフォームを設けてください。
現場から上がる「声」と「数字」を両輪で回すのが、令和流の攻めの品質管理となります。
教育・訓練の再構築
今、製造現場の最大の課題は「人材不足」「作業の属人化」です。
ワイヤー破断トラブルの多くは、「誰が作業したか」「作業方法のバラつき」から引き起こされます。
新人教育やOJT(現場指導)だけでなく、マニュアル動画やVR教育など、現代のツールを活用する価値は高いです。
昭和由来の「見て盗め」精神も必要ですが、常にアップデートされていることが重要です。
まとめ – ワイヤー破断の本質を見極める
ワイヤー破断が発生する背景には、材料品質、荷重設計、作業現場の管理、環境条件、そして設計と現場運用の「断絶」など複合的な原因があります。
昭和から令和にかけて、製造業界も大きく変わりつつありますが、「現場実態に即した対策」「新旧の技術と知恵の融合」こそが破断対策の本質です。
バイヤー・サプライヤー双方向の情報共有、現場・設計・購買の垣根を超えた協働をすすめ、他社に負けない「攻めの現場力」を再構築していきましょう。
本稿の知見が、皆さまの現場防止活動・業務改善・新たなトライアルのきっかけとなれば幸いです。
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