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乾燥工程と関わるコーターマシンで使う送風部材の不均一問題

目次
はじめに:乾燥工程と送風部材の重要性
製造業の現場では、乾燥工程は製品の品質を左右する重要なプロセスの一つです。
塗装やコーティング、印刷、食品製造など幅広い業界において、コーターマシンを活用した効率的な乾燥は歩留まりや生産性に直結します。
特に、送風装置の性能や構成部材のばらつきが「不均一乾燥」という大きな課題として現場を悩ませているのは、現場経験者であれば一度は耳にしたことでしょう。
この記事では、乾燥工程とコーターマシンにおける送風部材の不均一問題にフォーカスし、起こりがちな要因や現場目線の対策、最新の動向・トレンドまで網羅して解説します。
バイヤーを目指す方やサプライヤー側で提案力・課題解決力を付けたい方にも役立つ内容となっています。
乾燥工程におけるコーターマシンと送風部材の役割
乾燥工程は単純に加熱するだけでなく、対象物(ワーク)の表面や内部に含まれる水分や溶剤を計画的に除去する必要があります。
この「計画的」を実現するために、コーターマシンの中では以下の要素が重要になります。
送風装置の仕組みと目的
コーターマシンの送風部材は、一般に以下のような目的で使われています。
– 均一な熱風やエアーを供給し、乾燥ムラを防ぐ
– 強制的に水分・溶剤をワーク表層から除去する速乾
– ワーク表面温度を狙い通りコントロールする
送風機(ブロワーやファン)、ダクト、分岐ノズル、エアーシャワーなど多岐にわたる部材が組み合わされ、最適な流量や温度、風圧を現場ごとに設計されています。
求められる「均一性」の本質
送風部材がどれほど優れていても「均一」に風が当たらなければ、乾燥ムラが生じて品質問題や歩留まり低下を引き起こします。
コーターマシンに求められる均一性は、以下のような観点で語られます。
– 風速・温度分布が全幅・全域で一定
– ロールやガイドとの干渉が最小限
– 操作やメンテナンスによってバラつかない
最適解を求めるためには、これらを現場でいかに担保するかが鍵です。
現場で頻発する「送風不均一」問題の実態
では、なぜ送風の不均一が現場で発生しやすいのでしょうか。
その主な要因を挙げ、実際の現場目線で背景や構造的な問題を解説します。
設備老朽化と見過ごされがちな点検の盲点
昭和時代から稼働しているアナログ機器が多数存在する日本の製造業工場。
例えば、ダクト内部の粉塵付着や腐食、ノズル詰まり、経年による風量低下などは、点検や清掃が行き届かないことで悪化します。
現場では、「とりあえず回っているからOK」「実害が見えないから今は放置」となりやすく、ベテラン頼みで属人的な管理になっているケースが珍しくありません。
導入時の設計ミスやスペック過信
設備導入時の設計値は理論値であり、実際のワークや周辺環境で同じ効果が出るとは限りません。
特に、ファンの静圧損失・ダクト径・分岐点での抵抗増加などの要因まで現場で再現されていない場合、「設計上は均一」のはずが実測では大きく偏差が出ていたという事態も頻発します。
新設備導入時は一度でも流量・温度分布の実測を行うべきですが、不透明なまま運用が継続されている現場も多いのが実情です。
小ロット・多品種時代の切り替えミス
昨今は小ロット多品種生産が増え、段取り替えや設定変更が頻繁に行われます。
その中で、送風ノズルの位置や開度、温度設定のリセット漏れなどが温度や風速の偏差につながり、「新しい品種ではなぜか乾燥ムラが出始めた」といったトラブルの引き金になることも少なくありません。
送風不均一による生産現場での実害
送風部材の均一性が確保できない現場では、さまざまな生産トラブルや損失発生につながります。
ここでは現場で起きがちな実害と、その影響範囲を明確にします。
製品品質のばらつき・不良流出
乾燥が不均一になると、塗装やコーティング膜厚の偏りや、ワークの反り、剥離、気泡など、各種不良が発生します。
特に目立ちにくい品質不良が後工程や顧客納入後に判明した場合、クレームやリコールに発展するリスクまで増大します。
歩留まり低下・コスト増大
不良の多発はもちろん、一部エリアだけが足りずに「念のため全体をオーバースペックで乾燥させる」という対症療法に走りやすくなります。
その結果、加熱エネルギー・時間・フィルター交換頻度などが上昇し、ランニングコストやCO2排出量にも悪影響が及びます。
現場負担増加と製造リスク
現場オペレーターは、ムラを嫌い「乾いているか?」を逐一確認する頻度が増えます。
トラブル発見や帳尻合わせの作業に時間を取られ、「本来手をかけたい改善活動ができない」「人為的な失敗の温床になる」など、現場力低下も連動します。
現場でできる送風均一化への挑戦
では、アナログ業界の現場でも実践できる「送風均一化」のための現場目線のアイデアや手順を紹介します。
定期点検・簡易計測から始める
まずは「実測する」ことに価値があります。
送風ノズルの各ポイント・各温度域で、温度計や簡易風速計を使い、記録を残しましょう。
「現状を見える化」することで、徐々に劣化・ばらつきが進行していることに気付くきっかけになります。
特に、出力が落ちているノズルや、極端な温度差が生じているダクト接続部に注目してみてください。
効果的なメンテナンス・清掃ローテーションの設計
埃やゴミが送風ラインのどこに溜まりやすいか、現場独自の癖を把握することで、清掃ポイントを「ピンポイント」に絞り込むことができます。
日常や週次点検の責任分解点を明確化し、「誰がどの範囲までチェックすればよいか」を見直してください。
可能であればメンテ履歴をデジタル記録し、次回点検の判断材料とすることが有効です。
品種ごとに送風レシピを標準化
多品種切り替え時には、品種ごとのベストなノズル角度や温度・風速設定をエビデンスで記録し、標準手順を作りましょう。
あいまいなマニュアルが多い現場ほど、「なぜこの設定なのか」「どういう時に調整が必要なのか」を見える化するだけで、現場力が一気に高まります。
最新動向・デジタル化の流れと可能性
ここ数年で、製造業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が加速しています。
いわゆる「昭和生まれのアナログ設備」も、少しの投資と工夫で大きな変化をもたらすことができる時代です。
センサリングとIoT活用による状態監視
小型の温度センサーや風速センサーを複数個所に設置し、常時データを収集。
これをIoT基盤(安価なものであればラズベリーパイなど)で見える化することで、「どこでどんなムラが起きているか」がリアルタイムで把握できるようになります。
簡易的なシステムでも、異常検知や予防保全のレベルが一段引き上がります。
設計段階からのCFD解析とシミュレーション導入
新規設備導入や大規模改修の際は、設計段階からCFD(数値流体力学)解析ソフトでシミュレーションを行う事例が増えています。
ダクト設計や送風ノズルの配置、ファンの選定など、現場稼働前から品質予測が立てやすくなりました。
サプライヤー提案時にも、こうした解析根拠を添えることでバイヤーの信頼感を獲得できます。
現場力と最新技術の融合が競争力に
最も重要なのは、現場の肌感覚やノウハウを捨てるのではなく、現場知と最新技術を「融合」させる発想です。
「こんなことができたらいいな」「これなら現場で使えそうだ」など現場起点の要望・改善を拾い上げ、システムや設備起案に反映していくことで、競争力が生まれるのです。
バイヤー・サプライヤーが押さえるべき視点
この記事の最期に、バイヤー、サプライヤーそれぞれの立場で押さえておくべきポイントをまとめます。
バイヤー(調達・購買担当)の視点
– 標準仕様だけでなく「現場状況」「品種切り替え頻度」まで聞き取るヒアリング力
– 設備メンテ・運用の容易さやコストに着目したサプライヤー選定基準
– 保全性やデジタル連携(IoT、状態監視など)への適合性重視
サプライヤー(設備・部材メーカー)の視点
– 実際に現場で起きている「悩み」「運用上の困りごと」を細かく吸い上げる
– 部材スペックだけでなく、均一化・長期安定運用のための提案資料や改善シナリオを共有
– リアルなデータや現場事例(エビデンス)を盛り込んだ訴求、継続的なサポート
このようにして、単なるスペック比較でない「課題解決型バイイング」や「現場密着型の提案」が、これからの製造業に不可欠となります。
まとめ:昭和の延長から新たな地平線へ
乾燥工程とコーターマシンにおける送風部材の不均一問題は、単なる設備課題にとどまらず、現場の技能伝承・改善文化の醸成、さらにはDXやIoT化など「未来志向型の現場づくり」へ大きく関わるテーマです。
現場で培われてきたアナログの知恵と、デジタル技術の力を組み合わせ、業界全体がより高い品質・効率・働きやすさを実現するきっかけとなることを願っています。
今こそ、現場の経験知を組み合わせて、新しい地平線に挑戦していきましょう。
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