- お役立ち記事
- システム維持費が予想以上に高く負担になる問題
システム維持費が予想以上に高く負担になる問題

システム維持費が予想以上に高く負担になる問題
はじめに:慢性的な業界課題としてのシステム維持費
日本の製造業は、長年にわたり品質や効率を追求して発展してきました。
その中でIT化や自動化は避けて通れず、工場の多くが生産管理システムや調達システム、品質管理システムなどを導入しています。
しかし、そのシステム導入には初期費用だけでなく、更新や運用、サポートといった「システム維持費」という形で継続的なコストが発生します。
多くの現場担当者が、最初の見積もりよりもはるかに高額な維持費がのしかかり、本来実現したかった「コスト削減」や「業務効率化」が十分に発揮できずに悩んでいるのが実態です。
今回は、製造業におけるシステム維持費がなぜ高くなるのか、その背景や業界構造の要因、そしてこれからの有効な対策や考え方まで、現場目線で深掘りします。
1.システム維持費の内訳を正しく知る
システム導入において、初期費用(開発費、初年度ライセンス料)はイメージしやすいですが、その後の「維持費」が曖昧にされるケースが多々あります。
維持費に含まれる典型的な項目を整理すると以下の通りです。
- 年次あるいは月次のソフトウェアライセンス利用料
- 保守・サポート契約費用
- ハードウェアの更新・リプレースコスト
- セキュリティ対応や法制度改正への追従コスト
- バージョンアップや機能追加時の追加費用
- 属人的な運用要員の人件費
とくにアナログ業務から脱却したばかりの製造業現場では、こうした全体像の見通しをもたず、目先の「便利さ」だけを考えてしまいがちです。
その結果、「5年後にはコストの回収ができるはずだったのに、維持費が右肩上がりで経営を圧迫…」というシナリオが現実化します。
2.なぜ維持費が高騰するのか?アナログ業界の“罠”
製造業、とくに昭和文化が色濃く残る業界では、次のような背景があります。
- 自社特有の業務フローやカスタマイズ志向が強く、標準パッケージへのアダプテーションが困難
- 長く取引したSIerやシステムベンダーへの依存度が高く、「とりあえずお願いする」という構造
- “もし問題が起きたら…”を恐れてフルサポートプランを契約しがち
- 現場から上がる“小さな改修要望”が積み重なり、部分的な追加開発が維持費を押し上げる
- システム担当者・エンジニアの属人化が進み、引き継ぎや運用がメーカー頼みになる
昭和的な“なあなあ”体質が根強いことで、明確なコスト管理や内製化推進が進みにくいのです。
特に現場目線で言うと、「あの人しか分からないシステム」「トラブル時にどこに聞いて良いか分からない」といった属人性が最大の落とし穴となります。
3.バイヤー視点:サプライヤーとのシステム調達でありがちな盲点
部品調達や設備調達を担当するバイヤーから見ても、システムの維持費は非常に見えづらいコストです。
– サプライヤーが提案する管理システムは初期導入価格を抑え、ランニングコストで利益を取る設計になりやすい
– 契約書や覚書の細則部分にある「年間○%値上げ」「法改正ごとに追加費」が見落とされるケースが多発
– 他工場や他部門での転用時、追加のモジュールライセンスが必要となり、全体最適が取れなくなる
調達部門の責任者としては、こうした“コストの地雷”を事前に把握し、現場への負担を予防することが業務の要となります。
そのためには、価格交渉だけでなく、「運用・維持フェーズのコスト構造」まで議論の土俵にのせる力が必要です。
4.現場の生産性を高めるための維持費見直し術
では、過大な維持費負担をどうやって抑えるべきか。
単なるコストダウン提案に終始せず、本当に現場の生産性向上や経営筋肉質化につなげる視点が重要です。
- 1)現場主導のシステム選定・維持管理
IT部門やベンダー任せにせず、使う現場が「何が必要か」「何が無駄か」を精査し、“やりたいこと”と“できること”のギャップをしっかり明確化することがスタートです。
その上で「マスタデータ構造が現場で管理できるか」「バージョンアップはどう現場に影響するか」など運用目線で評価しましょう。 - 2)SaaS活用とオンプレ/独自開発の使い分け
最近注目されているSaaS(クラウド型)システムは、初期費が抑えられる一方、月額・年額課金が条件です。
保守運用が自動化されている恩恵の反面、データサイズやユーザー数によるアップセルリスクもあります。
一方、オンプレミスや自社開発の仕組みは初期費が高いものの、長期利用でコストコントロールがしやすいという利点があります。
長期のスパンで「どこにいくら維持費がかかるか」を試算し、現場の規模や柔軟性に合ったシステムを導入しましょう。 - 3)ベンダーロックインにならない体制構築
一社依存の体質を脱却し、システムの知見や運用ノウハウを複数人で共有・見える化することが必要です。
マニュアルやドキュメントの整備によって「担当者が抜けても困らない」組織カルチャーを作り出しましょう。 - 4)コスト構造の見える化・定期的な棚卸し
毎年コスト構造を「何に・なぜ・いくら使っているか」現場レベルで棚卸しし、不要な機能や契約オプションは積極的にカットしましょう。
また、法改正や市場環境変化時にも“課金される内容”をベンダーとの契約から可視化する管理力が大切です。
5.ラテラルシンキングで未来の地平線へ
人口減少や働き方改革の波が押し寄せる中、製造業のIT化とそのコスト設計は「根本からの見直し」が不可欠です。
そのためには水平思考(ラテラルシンキング)を働かせ、“今まではこうだったから”から脱却しましょう。
– たとえば、社内SEや現場担当者向けのリスキリングを推進し、外注依存から内製力を高める
– RPAや自動化ツールを活用して、定型作業の工数・コストを大胆に削減する
– IoTデータを活用した予防保全や、生成AI活用による文書作成・レポーティング自動化によって、間接業務のコストも再設計する
これまで“当たり前”として受け入れてきたシステム維持費を、一度分解・再構築してみることが、令和時代の製造業を強くします。
6.まとめ:コスト管理力で製造業の未来をつかむ
システム維持費の高騰に頭を悩ませているのは、決して特定の企業だけではありません。
国内・海外問わず、あらゆるバックグラウンドの現場で共通する悩みです。
ですが、維持費の正しい理解、現場主導のシステム運用、コスト構造の定期的な見直し、そしてラテラルシンキングに基づく「新しい働き方・新しい守り方」への着手こそが、業界のアナログ体質から一歩抜け出す唯一の近道です。
バイヤーを目指す方、サプライヤーの立場からバイヤーの「なぜ?」を知りたい方も、システム維持費の裏側と現場目線の痛みを知ることで、一歩先の信頼あるパートナーシップを築いてください。
未来の製造業は、コスト意識と現場力から生まれます。
一緒に新たな地平を切り拓きましょう。
ノウハウ集ダウンロード
製造業の課題解決に役立つ、充実した資料集を今すぐダウンロード!
実用的なガイドや、製造業に特化した最新のノウハウを豊富にご用意しています。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための情報がここにあります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが重要だと分かっていても、
「何から手を付けるべきか分からない」「現場で止まってしまう」
そんな声を多く伺います。
貴社の調達・受発注・原価構造を整理し、
どこに改善余地があるのか、どこから着手すべきかを
一緒に整理するご相談を承っています。
まずは現状のお悩みをお聞かせください。