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B2C消耗品OEMで成功するためのユーザーインサイト調査法

目次
B2C消耗品OEMとは何か?
B2C消耗品OEMとは、消費者向けの使い切り商品や交換頻度の高いアイテムを、委託者ブランドで製造・供給するビジネスモデルのことです。
例えば家庭用のクリーニング用品、ペットフード、化粧品やカミソリ、電池、文房具など日用品が代表的です。
OEM(Original Equipment Manufacturer)は、製造技術や工場設備を持つ企業が、依頼主(ブランドオーナー)の仕様に従って製造を行います。
B2C分野では、競争が激しくコモディティ化もしやすいため、真っ当な製品を作るだけでは成功は難しくなっています。
そこで“ユーザーインサイト” ―つまり、「お客様の本音、本質的なニーズや課題」を深く掘り下げることが、今まで以上に重要視されています。
なぜユーザーインサイトが重要なのか?
消耗品の特徴は「リピート性が高い」「価格競争が激しい」「入れ替わりが頻繁」ということです。
この市場で生き残るためには、「ユーザーに選び続けられる理由」が不可欠となります。
実際に工場長や調達部門の長く現場にいた立場からすると、OEMビジネスに携わる多くの企業では、スペックやコストだけで議論が終わってしまいがちです。
しかし現場でいくら頑張ってコストを下げても、「なぜその商品が選ばれているか、選ばれないのか」を知らないままでは、長期的なビジネス成長は難しいです。
価格や品質でリードしていた昭和型の調達・生産管理から、新たな地平線を拓くためには、顧客インサイトを深く理解することが、何よりの武器になります。
B2C消耗品OEMにおけるユーザーインサイト調査の基本
1. ターゲット顧客の明確化
まず最も重要なのは、「誰に向けて作るか」です。
バイヤーやサプライヤーの意見だけで商品開発が進むと、現場の効率や帳尻合わせはできても、本当のお客様には響きません。
例えば電池なら「主に一人暮らしの20代女性」、ペット用品であれば「高齢単身世帯で室内犬を飼っている層」など、どの層を狙うかで切り口は大きく変わります。
営業現場の声、ECサイトの購入者層データ、競合製品の販路調査、実際の消費者インタビューなど、様々な情報を掛け合わせて仮説を立てましょう。
2. 生活文脈に入り込む観察調査
ユーザーの「当たり前になっている不便」や「こんなものだと諦めている点」を見つけ出せるかが勝負です。
机上だけのアンケートやヒアリングでは掴みきれないので、現場主義で生活現場に入りこむことが有効です。
例えば消耗品が使われている実際のキッチンやバスルーム、オフィスデスク、ペットの飼育環境など、実地観察を伴う調査が強力なヒントとなります。
筆者は生産管理時代、工場見学やユーザーVOC(Voice of Customer)会議にも必ず立ち会い、使い終わったあとのゴミ箱やストック状況まで見ることを徹底していました。
3. デジタル&アナログ両輪での情報収集
古典的なアナログの現場観察に加えて、今はWebレビューやSNS、ECの商品評価コメント分析も非常に重要です。
見落としがちですが、「なぜ★1や★2の低評価なのか」「リピートにつながる高評価コメントの共通点は何か」まで深掘りしましょう。
アナログ業界だからこそ、ネットの口コミデータなど、競合他社や新ブランドの「ユーザーの本音」も積極的に活用し、ラテラルシンキング(水平思考)で顧客の真のニーズを見出すことが肝心です。
ユーザーインサイトを深掘りする具体的な調査手法
1. 再購買行動のモニタリング
B2C消耗品のキモは「どこで、なぜ、何回も買ってもらえるのか」。
POSデータやECの購買履歴、会員登録者向けのリピート分析などから、“離脱ポイント”や“継続ポイント”を掘り下げましょう。
新規で一度買ってもリピートされない要因を掴めれば、「本質的不満」の仮説を立てられます。
2. イノベーティブユーザーへのインタビュー
常に最新商品を試す人や、オリジナルな使い方をしている人は、他のユーザーが気づいていない課題やヒントを持っていることが多いです。
工場現場で多くの不良事例やお客様クレームを調査した際も、主流ユーザーより「こうだったらもっと便利なのに」という先進的ユーザーの声から、ドラスティックな改善案が生まれます。
一般消費者調査だけでなく、コアな“イノベーター層”の声にも重点を置きましょう。
3. ソーシャルリスニング(SNSの傾聴分析)
近年はX(旧Twitter)やInstagram、YouTubeのレビュー動画など、リアルかつ忖度のない消費者の投稿が溢れています。
手動・自動両方で情報収集・分析を行い、
「どうしても許せない点」
「予想外によかった点」
などをマッピングしてみて下さい。
顧客が商品名ではなく“用途”や“困りごと”で呟いている内容は、まさにインサイトの原石です。
4. ペルソナ・カスタマージャーニーマップの作成
得た情報を基に、ターゲットユーザー像(ペルソナ)を具体的に描き出します。
年齢や性別、家族構成、1日の生活習慣、ストアでの購買時の心理状態まで可視化し、
「どのタッチポイントでどんな不安・期待があるか(カスタマージャーニー)」を書き出すことが大切です。
この作業を現場・開発・マーケティング・調達・営業など多職種でワークショップしてみましょう。
バイヤーやOEMメーカー、サプライヤー三者それぞれの視点で意見をぶつけることで、昭和型の縦割り発想から抜け出せます。
OEM事業で失敗しやすい“ズレ”とは?
B2C消耗品OEMの現場でよく見かける失敗例としては、下記のような“ズレ”があります。
・品質至上主義がエスカレートし、顧客が望んでいない高機能、オーバースペック化する
・逆にコストカット優先で「最低限で十分」と思い込み、“不満足”なまま市場投入してしまう
・現場や調達目線だけでモノづくりが進み、購買現場の実際の声が取り込めない
筆者も現役時代、バイヤーや設計から「この機能はいらないのでは」「コスト最優先で行け」という指示に現場が翻弄され、
結果としてお客様目線が抜け落ち、“本当に必要とされるもの”から遠ざかってしまうことを痛感した場面が何度もあります。
完璧な商品で100点満点を狙うのではなく、現実のお客様の「70点で十分、でもここだけはこだわりたい」という声こそ、成功のカギです。
OEM/ODMメーカー、バイヤー、サプライヤーが共創するために
調達現場のリアルな課題共有
調達購買、バイヤー、サプライヤーの各立ち位置で「どうしても折り合いが付かない」ポイントこそ、ユーザーインサイトを軸に再評価しましょう。
単なる相見積での“安さ”だけではない、『なぜお客様がその商品をリピートするのか』に立ち戻ることで、新しい開発提案につながります。
現場目線と生活者目線の橋渡し
どれだけ現場で改善活動を推進しても、社内説明用のKPIや棚卸しの数値だけで勝負していては、ユーザーインサイト調査につながりません。
実際のユーザー行動や生活習慣、購入心理に徹底的に寄り添いましょう。
例えば、「時短」や「楽に使える」「ストック切れに気づきやすい」「家族構成の変化にも対応」という観点は、数字には現れにくいですが、ロングセラー消耗品の裏側には必ずそうした生活価値の発見があります。
これからのB2C消耗品OEMが目指すべき方向性
ユーザーインサイトなしでは、AIやDXがどれだけ進化しても、昭和型アナログ現場と何ら変わりません。
現場と顧客間の“インサイトギャップ”を埋めるところにこそ、消耗品OEMの新しい成長機会があります。
・現場を知り、生活現場に入り込み、顧客の“無意識の不便”を徹底的に言語化する
・デジタルデータとリアル調査を掛け合わせ、ラテラルシンキングで新たなアイデアを発想する
・バイヤー、サプライヤー、多職種が立場を超えて仮説検証し、ボトルネックや痛みポイントを共創で解決する
これらを実践できれば、昭和のアナログ文化が根強く残る製造業や現場でも、確かな強みを発揮できるはずです。
「顧客インサイト」に基づいた消耗品OEM開発は、単なる下請けやコスト交渉型の関係性から脱却し、パートナーとして市場価値を共創する道を示してくれるでしょう。
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