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UXデザイン成功事例で学ぶ分かりやすい画面設計実践編

目次
はじめに - 製造業における真の「分かりやすさ」とは
製造業の現場で「分かりやすい画面設計」というテーマは、今や避けて通れない領域となっています。
数十年にわたる業務フローの中で根付いてきたアナログな習慣や、昭和の時代から変わらぬ管理手法は、日本のものづくりの底力である一方、変化の波に乗り遅れるリスクもはらんでいます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれて久しい今、現場の“お作法”に縛られた複雑な操作画面が障壁となり、せっかくのIT投資が現場に浸透しない―そんな課題感を持つ企業が増えています。
本記事では、製造業歴20年以上・現場管理職経験者の視点から、実践で成果を出したUXデザインの画面設計事例を紹介し、その根底にある思考法、そしてバイヤーやサプライヤーが理解すべき「現場目線の分かりやすさ」について徹底解説します。
UXデザインとは何か-単なる「見た目の綺麗さ」との決別
UX=ユーザー体験を起点に考える
UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインとは、単にグラフィックデザインや操作ガイドのことだけを指しません。
「ユーザー=現場作業者やバイヤー、または間接部門スタッフ」がシステムや機械と出合い、認知し、行動し、最終的に“満足感”を得るまでの一連の体験設計すべてを指します。
製造現場なら、たとえば
– 図面や伝票のデータ入力
– 設備監視
– 品質管理の判定フロー
– 生産進捗の可視化
– サプライヤー連絡や納期調整
といった日々の現場オペレーションが対象になります。
単なる「きれいな画面」に終わらせない理由
「わかりやすいUI」は、とかく見栄えやおしゃれなアイコン・色づかいに議論が向きがちですが、これだけでは本質的な解決にはなりません。
操作手順が“現場の文脈”から逸脱していたり、情報が氾濫・冗長化していると、結局スタッフは今まで通りアナログ手法に頼り、新システムは形骸化してしまいます。
つまり大事なのは、「現場や使う人自身が、本当に望む“分かりやすさ”をどう理解し、反映するか」にあります。
成功例から抽出する「分かりやすい画面設計」の本質
事例1:生産管理画面のフルリデザイン
ある老舗自動車部品メーカーでは、20年以上続く独自の生産進捗管理システムがありました。
導入当初はExcelがベースとなり、その後Access、そして自社開発のWebシステムへと進化。
しかし“設計者目線”で詰め込まれた情報量とボタン数は増える一方で、現場スタッフの多くは「どこを触ればいいか分からない」「結局メモ書きやExcel並行運用」という状態に陥っていました。
ここで着目したポイントは
– 現場ヒアリングを徹底し、「日々どんな流れで作業しているか」を徹底分析
– 最初のログイン画面で、各ユーザー向けに“今日やるべきタスク”が一目で分かるダッシュボード化
– 作業手順通りに並ぶ「大きなひとつボタン」→必要時だけ詳細画面(ドリルダウン式)
– 各作業ごとに「今やるべき作業」と「差し迫る予定」が色分けで一目瞭然
この結果、現場での情報入力・確認に迷いが激減し、紙やExcelでの補助がほぼ不要に。
“誰でも直感的に迷わない”という体験がもたらされ、驚くほどスムーズな定着が進みました。
事例2:調達バイヤー向け発注進捗の可視化ツール
某グローバル電機メーカーでは、調達バイヤーが数百社のサプライヤーの納入・進捗・不具合・問合せ対応を同時に管理します。
従来は各サプライヤーごとにメールや電話、FAXが飛び交い、煩雑なExcel管理シートを毎日更新していました。
この状況を変えるべく、
– サプライヤーポータルの導入で「進捗入力の入口」を統一
– バイヤー画面では「未回答・遅延・要対応」を色・ラベルで瞬時に判別
– 「最新納期」「遅延理由」「過去のやり取り履歴」へワンクリックでアクセス
– サプライヤーにも、バイヤーが「何を知りたがっているか」を見える化
これにより誤解や情報ロスが激減し、「現場を歩かなくても実態把握できる」「急な督促も不要」と工数が劇的に削減。
“バイヤーもサプライヤーも、双方の情報ニーズを直感的に共有できる”体験価値が実現しました。
アナログな現場でも浸透した実践ノウハウ
現場ヒューリスティック評価が王道
どんなに最新技術や外部の有識者の理論を持ち込んでも、現場の“肌感覚”には敵いません。
住み慣れたやり方を捨て、ITツールに全面移行には抵抗が強い製造現場なら、なおさら
– 実際の作業者やバイヤーにプロトタイプ操作してもらう
– 「どこで手が止まったか」をその場で記録・フィードバック
– 誰でも“習熟”ゼロで、すぐ動かせるか(ヒューリスティック評価)
これを愚直に繰り返したことが、最終的な「現場定着率」や“使ってもらえるUX”に直結すると痛感しています。
業界“あるある”を可視化する工夫
製造業界は「属人化」「文書管理」「伝統的な帳票」など、他業界にはない独特のしきたりが根深く残存しています。
たとえば
– 部署ごとに独自の略語やコード体系が使われている
– 上司が承認しないと操作できない画面が存在する
– 「前例踏襲」「なぜそうなっているかは不明」な画面設計
こうした“業界特有の暗黙知”を可視化し、画面設計に織り込むことがUXデザイン実践の肝要です。
分かりやすい画面設計の鉄則5ヵ条
- 作業手順と画面フローを一致させる
現場で進む順序どおりに画面も推移させることで、迷いをなくします。 - 情報量を”必要最小限”に絞る
「すべてを見せる」より「今その場で使う情報だけ」を大胆に取捨選択します。 - 色・ラベル・グループ化で“ひと目判断”を設計
パッと見て判別できるカラー設計、誰でも読める言葉やアイコンを使います。 - “戻る/やり直す”方法を明確に示す
ミス操作しても迷わずリカバーできる明示的なガイドが重要です。 - ユーザーの“声”を最短フィードバック
現場の困りごと・不満をすぐ吸い上げ画面に反映するサイクルを組みます。
バイヤー・サプライヤーの相互理解にも役立つUX視点
サプライヤーは「買う側(バイヤー)」の目線で
– なぜその情報が欲しいのか
– どんな場面で入力や確認の負荷がかかっているのか
を理解したうえで、ポータルの画面設計や改善提案ができます。
逆にバイヤーも、サプライヤーの現場事情(手書き文化・複数社並行対応など)を“想像力”で把握し、「本当に負担を減らす構成」を一緒に考えることが成功の近道です。
この相互理解がなければ、分かりやすさも現場定着も実現しません。
昭和から抜け出す“ラテラルシンキング”のすすめ
ラテラルシンキング(水平思考)とは、「既成概念にとらわれず、別の視点から問題を眺め直す」発想法です。
製造業の強み=現場力、暗黙知、職人技、部門の壁―
これらを活かしつつ“掛け合わせ”や“リフレーミング”で新たなUX設計を考えることが今後の分かりやすい画面設計に不可欠です。
まとめ-分かりやすいUXは現場目線×多職種連携で創る
– 実際のユーザー(現場スタッフ、バイヤー)を徹底的に巻き込み
– アナログ文化の真の背景も深く理解し
– 最新技術だけでなく、“現場あるある”や属人性も包摂する
この複眼的なラテラルシンキングこそ、成熟した製造業のUXデザイン成功への王道です。
デジタル化は目的ではなく手段。
現場が「思わず毎日使いたくなる」体験づくりこそが、分かりやすい画面設計のゴール。
この記事で紹介した実践知が、現場力とIT力のイノベーションの一助となれば幸いです。
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