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投稿日:2026年1月29日

VDA 6.3プロセス監査の実務ポイント

はじめに:VDA 6.3プロセス監査とは何か

VDA 6.3プロセス監査は、主に自動車業界を中心に用いられるサプライヤー監査基準の一つです。

ドイツ自動車工業会(VDA)が策定した規格であり、国際的な品質基準であるIATF16949やISO9001を補完する「プロセス指向」の監査手法となっています。

もともと自動車メーカーの厳しい品質要求とサプライチェーンの複雑化を背景に誕生しましたが、近年は電子・精密機器業界や医療機器分野など、より幅広い業種でもその導入が進んでいます。

この記事では、現場目線を意識し、製造業で実際にVDA 6.3プロセス監査を進める上での実務的なポイントや、昭和的アナログ文化が根強い日本の現状、その中でいま求められる変革と適応について詳しく解説します。

VDA 6.3プロセス監査の基礎知識と全体像

VDA 6.3監査の目的と特徴

VDA 6.3監査の最大の特徴は、「プロセスごと」にリスクと不具合の発生メカニズムを把握し、「未然防止」と「継続的改善」を目指す仕組みにあると言えます。

VDA 6.3では、単なる出来上がり(結果)だけではなく、受注から製品納入に至るまでのプロセス(工程の流れや管理状態、設計変更の伝達、サプライヤー選定、教育訓練、工程内チェック活動など)そのものが適切かつ有効に管理されているかを総合的に評価します。

このような「プロセス志向監査」は、日本の旧来型「ムリムダムラ撲滅」や「現場改善」とは一線を画し、グローバルで求められる品質保証体制を構築する上で極めて重要な考え方です。

監査の構成とステップ

VDA 6.3監査は主に以下のプロセスステップに分けられます。

1. P1:プロジェクト管理
2. P2:製品・プロセス開発(製品側)
3. P3:製品・プロセス開発(試作/工程設計側)
4. P4:購買(サプライヤー管理)
5. P5:生産(実際の量産工程管理)
6. P6:顧客サービス(納入後の品質対応など)
7. P7:フィードバック/改善(継続的改善プロセス)

これらのプロセスごとに、具体的な監査項目と評価基準が設定されています。

監査員は、文書・記録の確認、現場ヒアリング、実際のオペレーションの観察などを通じて、定められた基準への適合性や実効性を厳しくチェックします。

VDA 6.3監査が日本の製造業にもたらすインパクト

旧来型“アナログ文化”とのギャップ

多くの日本企業の生産現場では、今なお「ベテランの勘と経験」「とりあえずやってみてから考える」といった属人的・アナログ的な文化が根強く残っています。

品質トラブルが起きた際、「再発防止会議」を開き、現場で“熱意”を持って対応する姿も今なお珍しくありません。

しかしVDA 6.3が要求するのは、“一貫して標準化された手順”“誰がやっても同じレベルを保証する仕組み” です。

「現物・現場主義」は大切ですが、ムラや属人化に起因するリスクは世界レベルでは許容されません。

“なぜ?”を深掘りする監査の本質

VDA 6.3監査においては、「なぜこのプロセスが必要か?」「なぜこの手順なのか?」を“再現性・説明性”の観点で徹底的に問われます。

そのため、形式的にチェック項目をクリアすることが“ゴール”ではなく、標準化・見える化・継続的改善という「本質的な仕組み」そのものへの取り組みが必要です。

たとえ現時点で顧客から重大クレームが発生していなくとも、なぜ今この運用で問題ないのか?本当に全員が理解・実践しているのか?を常に問い直すことが肝心です。

実務で陥りがちな課題と対応策

記録重視の落とし穴

プロセス監査の準備段階では、「とにかく記録・マニュアルを整える」ことが目的化しがちです。

しかし現場の実態と遊離した“紙上の手順書”だけでは、監査で必ず矛盾やギャップが露呈します。

大切なのは、手順や記録の整備そのものではなく、「現場が自走できる仕組み」「記録が“生きた改善ツール”になっているかどうか」です。

そのためには、現場でのOJT教育やプロセスマップ作成、ベテランから若手へのナレッジトランスファー、現実に即した簡素な帳票への見直し等が重要です。

“監査慣れ”による形式化リスク

監査を重ねるうちに、「毎回同じ質問が来るから、この資料を出しておけばOK」「外部コンサルが作ったテンプレ通りでよい」と形骸化するケースも多発します。

VDA 6.3は“運用の実態”を問う監査であり、帳票や台帳の有無だけでなく、現場で“なぜこうするのか”を語れてこそ意味があります。

現場リーダークラスが「この手順をなぜ続けているのか」「何が最重要管理点なのか」まで堂々と説明できるレベルまで根付かせることが肝要です。

関係部署間での協調不足

VDA 6.3監査は、工場の製造ラインだけでなく、設計・営業・調達・購買・物流・品質保証・サービス部門など多岐にわたる部署の協働が欠かせません。

とくに“調達購買”と“工場現場”の連携が弱い場合、サプライヤーマネジメントや部品トレーサビリティなどで大きな評価減点となります。

現場主導でやりきるのではなく、プロセス全体を見渡して縦割り意識を超えた“チーム改善活動”の推進が効果的です。

バイヤー/サプライヤー目線でのVDA 6.3実践のポイント

調達購買部門から見たVDA 6.3

グローバルな自動車・電機メーカーの購買(バイヤー)は、サプライヤー選定時に「VDA 6.3監査」合格を必須条件とするケースが増えています。

購買担当者は、品質・価格・納期の三大要素だけでなく、サプライヤーにおける“ものづくりプロセス”の健全性・成熟度を重視します。

取引先に対してVDA 6.3監査を実施することで、「特定作業者に依存せず誰でも高品質を維持できるか」「リスク兆候を未然に発見・改善できる仕組みがあるか」を見極めます。

バイヤー自身もVDA 6.3の観点を理解していれば、サプライヤー選定や発注・受入検査の最適化につながります。

サプライヤー(供給者)から見たVDA 6.3

サプライヤー側は、「VDA 6.3を求める顧客は一部だから、形式的に帳票整備だけしておけばよい」と考えてしまいがちです。

しかし、VDA 6.3の本質は“自社のものづくりを根本改善する起爆剤”となり得ることです。

たとえば、工程内異常の早期発見力向上、ムダ作業の可視化・自動化、現場の多能工化推進、属人ノウハウのマニュアル化など、どの業界でも応用が利くツールが多数含まれています。

単なる“監査対策”を超えて、自社の現場改善・生産性アップ・品質安定に直結する投資と捉えるべきでしょう。

パートナーシップ強化のために

VDA 6.3監査を「査察」や「指摘」の場ではなく、サプライチェーン全体の競争力向上のきっかけと捉えることが重要です。

バイヤー側は、サプライヤーに対して「なぜその手順が求められているのか」「どの部分がリスク最小化に寄与しているのか」を丁寧に説明し、一方通行のリクエストに終始しないよう心がけましょう。

サプライヤー側も、「なぜこの工程改革が顧客価値を生むのか」「目先の監査合格を超えた改善提案」を積極的に行うことで、パートナー企業としてバイヤーとの信頼関係強化につながります。

AI・自動化時代のVDA 6.3プロセス監査の未来展望

現在、AI活用やIoT・自動化技術の導入が加速する中、VDA 6.3監査も「記録デジタル化」「自動データ取り込み」「リアルタイム異常検出」など新たな進化を求められています。

たとえば、工場内のセンシングデータをダイレクトに監査チェックリストへ自動入力できれば、ヒューマンエラーや記録改ざんリスクも削減できます。

また、過去の監査結果や品質トラブルデータをAI分析することで、「隠れたリスク工程」を事前特定するといった打ち手も現実味を帯びてきました。

今後は、VDA 6.3の監査プロセス自体も「紙からデジタルへ」「属人的判断から客観的データドリブンへ」と大きく舵を切る時代になっています。

現場責任者・バイヤー・サプライヤー全員が、この潮流をポジティブにとらえ、デジタル化への対応力・現場改善力をさらに磨く必要があるのです。

まとめ:VDA 6.3プロセス監査を成長機会に変える

VDA 6.3プロセス監査は、単なる“監査合格”がゴールではありません。

むしろ、自社のものづくり体質を見直し、現場の「見える化」と「標準化」を進め、“誰でも高品質・高付加価値を実現できる仕組み”への変革を推し進めるための有効なフレームワークです。

時代は今、大きな変革期を迎えています。

アナログ的昭和文化の良さを残しつつ、データドリブン・グローバル基準への適応も積極的に取り入れる…。

その両輪で、貴社が「真の競争力あるサプライヤー」「変化に強い現場」「顧客から選ばれるバイヤー」へと進化していくことを願ってやみません。

今この瞬間から、ぜひVDA 6.3監査を“成長機会”と捉え、次なる現場改善の一歩を踏み出しましょう。

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