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国内第三者試験を活用してサプライヤ経由の割増を避ける検証フロー

目次
はじめに:国内第三者試験と製造業の現場事情
製造業の現場では「国内第三者試験」というキーワードが近年ますます重要視されています。
これはサプライヤによる材料や部品調達の過程で生じやすい「割増コスト」を回避するために有効な手段ですが、現場感覚からすると、その本質的なメリットや導入時の実践的課題に触れた情報はまだまだ少ないと感じています。
昭和時代からの慣習や人間関係が根強く残る日本の製造業界では、「サプライヤからの見積もりがいつも割高に感じる」「本当に必要な品質保証や検査手順がブラックボックスになっている」といった悩みが尽きません。
本記事では、20年以上のメーカー勤務経験と工場長としての現場目線を活かし、国内第三者試験を具体的にどう活用し、どのように割増回避に結び付けるのか。
また、その際に現場やバイヤー、サプライヤそれぞれが気をつけるべきリアルなポイントについても深堀りしていきます。
サプライヤ経由の割増とは?構造的コストの落とし穴
多くの調達購買担当者やバイヤー志望の方が最初に直面する問題、それは「サプライヤの見積もりコストが高い」という事実です。
直接材料の仕入れコストに加え、サプライヤが外部委託する品質検査や検証業務、それに伴う手数料や管理費が載せられ、いわゆる「割増料金」として転嫁されてしまうケースが多いのです。
現実問題として、受注側サプライヤは自社の設備やリソースだけで検査・品質保証を完結できるとは限りません。
必然的に外部試験機関や提携ラボに検査の一部を委託し、その費用や手間を自社利益と重ねて上乗せするという構造になります。
とくに昭和から続く「お付き合い」や「暗黙の了解」の慣習のもと、一括請求や包括契約が当たり前となっている現場ほど、“サプライヤ経由の割増”が見えにくいブラックボックスになっています。
現場でよくある“割増金額”形成の実例
例えば、金属部品の成分分析や機械的強度試験の証明書が必要な場合、それを自前で準備できないサプライヤは外部機関に検査を依頼します。
この際に発生した「第三者試験費用」に、“委託手数料”や“管理費用”、“検体送付コスト”や“報告書発行管理費”が上乗せされることは一般的です。
更に大手メーカーの現場では、業者間階層が複数重なり、中間マージンが拡大・複雑化するため、発注元に届く最終請求金額には実際の検査費の1.5倍~2倍以上になることも珍しくありません。
国内第三者試験の直接利用が割増回避の鍵
ここの課題に対して、近年台頭してきているのが「国内第三者試験の直接利用」という手法です。
これは発注側バイヤーや調達担当者が、サプライヤを介さずに自分で信頼できる国内第三者試験機関(JIS認証公的ラボ・民間試験所など)に材料や製品のサンプルを送り、直接試験・検査・認証サービスを利用するやり方です。
第三者試験 直接利用のメリットとは
このフローを採用する最大のメリットは、
・割増コスト(中間マージン)の除去
・検査内容の透明性向上とデジタルでの証跡管理
・独立性の高い信頼性・証明力の獲得
・検査結果のフィードバックを調達、品質、開発全体で活用可能
という点にあります。
自社で利用できる第三者試験機関をリストアップし、依頼手続きを確立すれば、サプライヤを経由した時の曖昧な費用構成や手数料から解放されます。
さらに、検査データや分析レポートをデジタル保存しやすく、例えば原材料の異種混入・新調達先のリスク評価にもすぐ活かせます。
具体的な国内第三者試験活用フロー
それでは、バイヤー視点から導入しやすい国内第三者試験の活用プロセスを以下のステップでご提案します。
1. サプライヤとの契約・購買条件見直し
まず、「品質保証・検査証明は発注者側が実施機関を指定できる」旨を契約書や発注仕様書で明文化しておくことが重要です。
これは現場でトラブルや不透明な割増を未然に防ぐ措置として非常に有効です。
2. 検査項目とラボ選定の標準化
次に、自社材料・部品に求める検査項目リストを用意し、JIS適合/ISO対応の信頼できる国内第三者試験機関のリストアップをします。
たとえば材料分析(AAS・ICP)、表面処理検査、寸法精度検査、機械的強度試験、RoHS・REACH対応分析など、それぞれ得意分野のあるラボを選びます。
3. 試験依頼・サンプル送付の実務フロー確立
・自社でサンプルを直接採取し、指定ラボ宛てに匿名もしくはプロジェクト名で送付。
・試験機関側と納期・判定基準なども事前に合意しておく。
・試験依頼書・仕様書・判定基準テンプレートを自社標準文書化しておくと効率的です。
4. 結果報告と品質保証プロセスへの連携
国内第三者機関からの試験レポートを、品質管理部門や設計部門と共有します。
また、そのデータに基づき調達先評価や次回以降の購買交渉に活用することができます。
実務現場で想定される課題とその解決策
日本の昭和的な商習慣では、サプライヤの顔を立てつつコストダウンを進める必要があります。
例えば「直接第三者試験を使いたい」と率直に伝えると、一部サプライヤの反発も想定されます。
この点に留意し、両者ウィンウィンの落としどころを必ず意識しましょう。
対サプライヤ:信頼関係を維持しつつ導入する工夫
「品質保証力UPのため」「お客様監査対応の一環」「自主的なQCサークル活動の一部として」等、前向きな導入理由をサプライヤと共有します。
また、検査結果は必ずサプライヤにもフィードバックし、改善の提案や今後の製品開発へのヒントを提供すると信頼構築につながります。
社内現場:アナログからデジタルへの橋渡し
現場担当者には、検査依頼フローやラボ選定マニュアルを配り、工数の追加や事務負担増を最小限に抑える運用が大切です。
検査結果のデジタル保管やテンプレート自動作成ツール(Excelマクロや専用ソフト等)の活用も有効です。
割増を回避した第三者試験活用のアップサイド
第三者試験導入で最初に実感できるのが“コスト透明化”です。
直接費用を比較することで、サプライヤ経由の時よりも1割~2割のコスト削減が期待できます。
さらに品質証明(CoAや検査証明書)も国内外基準に沿った形で発行できるため、今後のDX時代の国際調達や多拠点展開にも適応しやすくなります。
更に「現状分析力」も飛躍的に向上します。
調達候補の新規サプライヤ評価時やコストダウンの際、“材料や部品品質が本当に一定か” “過去ロットとの変化はどうだったか”といった現場感覚を、客観データで可視化できるようになります。
これは経営層や上位部門への説得材料としても大きな武器となります。
製造業で生きるバイヤー&サプライヤが知っておくべき今後の動向
今後、製造業では「証跡に基づく客観性(Auditability)」と「グローバル通用性(Certification)」がより一層求められていきます。
ISOやJISだけでなく、欧州規格(EN)や米国ASTMなど、多国籍企業や輸出型メーカーには国際水準の第三者証明が必須となっていくでしょう。
またIoTやAI活用でビッグデータ品質管理が進むなか、信頼できる第三者機関ネットワークの確保と、定期的な検査・認証フローの社内標準化が、バイヤーやサプライヤ双方にとっての競争力となります。
昭和的アナログ商習慣で曖昧にせず、割増構造を“見える化”し、もっとスマートな現場運営へとシフトすることが求められています。
まとめ:実践しよう、現場目線の第三者試験活用
国内第三者試験の直接活用は、“割増を回避しつつ品質保証とコスト適正化を両立する”いま最も現場で即効性のある手段です。
アナログ業界でも「本質的に良いことには組織は動く」もの。
今回ご紹介したフローや注意点を参考に、一歩踏み出してみてください。
新米バイヤーはもちろん、サプライヤとしてお客様への提案力強化を目指す方にも、大きな気づきがあるはずです。
これからの時代、現場主義とラテラルシンキングをかけ合わせ、より良いモノづくりの環境を一緒に作っていきましょう。
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