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OEMトレーナーで起こりやすい縫い目の波打ち現象とその対策

目次
OEMトレーナーで起こりやすい縫い目の波打ち現象とは
OEM(Original Equipment Manufacturer)によるトレーナーの生産において、しばしば問題となるのが「縫い目の波打ち現象」です。
この現象は製品全体の品質印象を大きく損ない、ブランド価値やユーザー満足度の低下にも直結します。
現場で長年ものづくりに携わってきた立場から、なぜこの現象が起こりやすいのか、そしてどのように対策していくべきなのかを実践的な視点で解説していきます。
縫い目の波打ち現象とは何か
縫い目の波打ち現象とは、トレーナーなどの縫製品でミシンによる縫製後にステッチラインがまっすぐにならず、波状や凸凹に見える状態を指します。
完成した際に生地がたわみ、着用時にはさらにうねりが強調され、不良品や二級品として扱われやすくなります。
特にアパレルOEMの現場では、短納期や多品種小ロット化により、この問題が発生しやすくなっています。
なぜOEMトレーナーで発生しやすいのか
多様な生地・仕様対応の裏側
OEM生産現場では、発注元ブランドごとに生地や仕様が大きく異なります。
例えば、薄手から厚手、ストレッチ性の有無、裏起毛などバリエーションが豊富です。
このため生地ごとにミシン設定を調整する必要があるのですが、昭和から続く習慣的な現場運営や、多品種対応を重視するあまり、設定変更を省略してしまうケースが散見されます。
作業者のスキルばらつきと現場の属人化
アパレル工場は、生産ラインのオペレーターの熟練度によって製品品質にばらつきが出やすいのが現実です。
ベテラン作業者は経験則で縫い目の波打ちを抑えられますが、若手や新規作業者では対応が難しく、標準化しにくいという課題があります。
もともとアパレル縫製は“勘とコツ”の世界に依存しがちで、これが問題を根深くしています。
納期優先による省略・見落とし
OEM事業は短納期ビジネスとなりつつあり、納期がもたらすプレッシャーも大きな要因です。
「多少の波打ちは検品で弾かれなければ出荷する」といった現場感覚が昭和の時代から残っている工場も多いです。
構造的に無理・無駄・ムラが生じやすく、それが品質に跳ね返っています。
縫い目の波打ち現象の主な原因
ミシンのテンション不良
ミシンの上糸・下糸のテンションバランスが合っていないと、生地が必要以上に引っ張られ、波打ちが発生しやすくなります。
新しい生地や仕様ごとに最適テンションの微調整が不可欠です。
押さえ金の仕様ミスマッチ
トレーナーの生地によく使われるのはニットやスウェット地ですが、伸縮性が高い分、従来の押さえ金では生地送りの際に引き伸ばされやすいです。
これにより縫い目が蛇行し、波打ちやすくなります。
送り歯の設定ミス
送り歯の高さや送りピッチが生地と合っていないと、一定のテンションで送り出されず、スムーズな縫製ができません。
これも波打ち発生の温床となります。
生地そのものの特性と下準備不足
湿度や保管状態による生地伸び、裁断時のテンションのかけ方、予備収縮処理(プリシュランク)の有無など、生地を取り巻く要因も極めて重要です。
縫い目の波打ち現象対策〜現場目線の実践解決策
標準作業手順書(SOP)と可視化の徹底
工場現場では、昭和的な「ベテラン頼み」でなく、具体的な標準作業手順書(SOP)の作成と管理を徹底することが、品質の安定化に直結します。
縫い始める前のテスト縫い手順や、テンション微調整のコツ、チェックポイントを明文化し、全作業者が見て即実行できるような現場管理が必須です。
ミシンの定期メンテナンスと設定チェック
ミシンは生産品種が変わるごとに全面清掃、テンション・押さえ・送り歯などの調整、交換部品の管理をきちんと行いましょう。
不具合が発生したまま長時間使い続けると、金属疲労や送り歯磨耗による品質悪化が連鎖します。
生地特性に応じたアタッチメント活用
急速OEM化の進展で、様々な生地・仕様への対応が欠かせません。
トレーナー縫製では、ニット用テフロン押さえ・複合送りミシン・差動送り機能付きミシンなど、生地に合わせたアタッチメントやミシン機種を正しく選定・使い分けることが肝心です。
作業者教育と現場のシェア文化
ベテランのノウハウを個人で留めず、動画・写真・チェックリストなどを用いたOJT(On-the-Job Training)も効果的です。
現場発のトラブルやコツを「気づきシート」として集約し、朝礼や定例会で水平展開していく文化づくりも、アナログな工場でこそ根付かせたい大切な仕組みです。
縫製前の下準備と適切な環境管理
生地の保管場所は湿度・温度管理が欠かせません。
また、裁断時には、反物の張力を均一にしてテンションをかけすぎないこと、プリシュランクや事前アイロンがけを行うことで、波打ち発生リスクは大きく低減されます。
自動化・デジタル化の一歩
IoT化やセンサー利用によるミシン稼働管理、自動テンション調整システムなど、省人化や品質安定化の潮流にも目を向ける必要があります。
ただし、現場全体の技術・コストバランスをとりながら、段階的な導入が現実的です。
OEMバイヤー・サプライヤーの立場で知っておくべきこと
バイヤー視点で見るべき管理ポイント
OEMトレーナー調達時、実際に「どの範囲まで品質を求めるか」「どのような対策を講じている工場なのか」を見極めることが重要です。
現場の見学時には、工場の手順書・ミシン整備記録・現場掲示物・作業者の教育状況などを必ずチェックしましょう。
サンプルや現物だけでなく、安定的な品質管理体制を重視したコミュニケーションが結果的にスポット発生のトラブルを防ぎます。
サプライヤー視点で押さえるべき交渉術・取り組み
サプライヤーは、単なる「作業コストの安さ・納期・量産対応」のアピールだけでなく、現場オペレーションの工夫や教育体制、設備投資の考え方も積極的に伝えましょう。
OEMバイヤーは初回はサンプル合格であっても、再現性や安定供給性を強く評価します。
日々のトラブル事例や改善アクションを開示し、「現場改善の文化」を見せることがビジネス拡大の要となります。
まとめ:昭和から次世代への品質づくりへ
OEMトレーナーにおける縫い目の波打ち現象は、経験則・属人化・アナログ現場の残存など、アパレル産業の構造問題でもあります。
しかし、「作業手順の見直し・教育・工程管理・設備の最適化」を着実に進めていけば、必ず品質安定は実現可能です。
バイヤー・サプライヤー双方が現場を共通言語で対話し、知恵を出し合い、改善カルチャーを共有することが、業界全体の発展に不可欠です。
昭和の“手仕事”に敬意を払いながら、次世代の“標準化×デジタル”による新たな地平線を一緒に切り開いていきましょう。
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