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ストレステストで極端な破壊が起き原因追求に数週間取られるケース

目次
はじめに:製造現場におけるストレステストの重要性
製造業の現場では、製品の信頼性や安全性を確保するために、さまざまな試験が行われています。
その中でも重要なのが「ストレステスト」です。
ストレステストは、製品に極端な条件や負荷を継続的にかけ、どのような状況で不具合や破壊が発生するのかを明らかにする試験です。
しかし、このストレステストが時に予想外の「極端な破壊」をもたらし、事後の原因調査に数週間、場合によっては数か月もの時間を要することがあります。
本記事では、20年以上製造業の現場に関わってきた立場から、ストレステストでの破壊事例とその背後にある業界の実態、原因究明の難しさ、そして昭和的な“アナログ現場”が抱える課題とその乗り越え方まで、実践的かつ具体的に解説していきます。
ストレステストで起こる極端な破壊とは
想定外の“壊れ方”が現場を混乱させる
ストレステストでは、製品や部品に通常の使用条件をはるかに超えた高温・高圧・過電流・過荷重などを加え続け、寿命試験や強度試験を行います。
メーカーの生産現場を知る立場として、日々こうした試験の現場を目にしてきましたが、時折「どうしてこんな壊れ方を?」と現場が騒然とするケースが発生します。
計算上クリアできるはずだった強度が、ある予期せぬモードで急激に崩壊する。
データシート通りの寿命を大きく下回って異常な発熱や破断が起きる。
このような極端な破壊パターンが起きると、その原因追求は簡単なものではありません。
典型的な“破壊パターン”と原因解明の壁
現場でしばしば遭遇するのは、例えば以下のような破壊パターンです。
・圧力容器のごく一部の溶接部が突然裂け、数ミリ単位で部材が飛散
・基板の一部が異常発熱し、半田クラックを引き金に連鎖的ショートが発生
・ボルト締結部の金属疲労により急激な“ねじ切れ”が起こる
・配線絶縁体の想定外の材質不良で絶縁降下・破壊
この時、根本的な原因を特定するには「なぜその部位が壊れたのか?」「材料の内在欠陥か?加重パターンの見落としか?外的な環境変動か?」と多方面から深掘りしなければなりません。
特に昭和的なアナログ文化が色濃く残る現場ほど「過去の踏襲」が重視され、デジタル測定値やシミュレーションと現実の結果のミスマッチに直面すると、にわかには原因追求が進みません。
原因追究に数週間かかる理由とは
データ不足と“カンコツ”頼りの現場
極端な破壊現象が発生した際、原因究明に時間を要する大きな理由が“データの不足”にあります。
日本の多くの製造現場では、依然として手書きの帳票や限られた記録写真のみで工程を管理している現場があり、「いつ・どのような操作や環境変動があったのか」を正確に追跡できないことが少なくありません。
また、熟練工の「経験や勘(カンコツ)」に頼りがちで、技術担当者による“現場検証”が属人的です。
このため、はじめから詳細な異常データや環境条件の数値ログが揃っているわけではなく、再検証や再試験・分解調査、サプライヤーへの素材調査依頼と、多岐にわたる調査工程が必要になります。
サプライヤーとの情報連携が壁になる
異常現象の原因が材料や部品、外部委託工程に起因する場合、自社だけの調査では判断が困難になります。
とくに調達購買やバイヤー部門は、サプライヤーに詳細な「原材料ロット」「製造バッチ記録」「工場の稼働データ」などを要求しますが、下請けサプライヤー側が十分なデータや検査記録を持っていないケースもまだ現実に多くあります。
この情報壁を乗り越えるためには、日常的な現場レベルの信頼関係や、独自に蓄えた購入品のトレーサビリティ管理がものを言います。
調達・購買部門の「バイヤー」は、こうした調査依頼時のコミュニケーションスキルが問われ、原因究明のスピードが購買力やサプライヤー評価にそのまま反映されます。
アナログ現場が抱える“昭和的病理”
現場任せと責任の曖昧さ
今なお多くの製造現場では「現場でなんとかする」「実際にやっている人が一番分かっている」といった職人気質が根強く残っています。
一方で、工程異常や破壊事故の根本的な原因を、工場全体や設計部門と共有し、本質的な対策までたどり着く“全社的なフロー”の構築が遅れているのが現状です。
責任の所在が曖昧なままとなり、「とりあえず現場での再発防止策を」と言った対症療法で終わってしまうケースさえ見られます。
これが、ストレステストでの破壊事故の根本改善を阻み、同じようなトラブルが現場レベルで繰り返される温床となっているのです。
デジタル化・自動化への抵抗感
最近でこそIoTやセンサー類によるデータ収集が進みつつありますが、依然として記録や履歴管理が紙頼り、手作業中心という現場も多く存在します。
原因追及にデジタルの利点を活かしきれず、「過去にこうやったからこの方法で進める」といった思考から脱却できないのです。
この“昭和的アナログ現場”からの脱皮が、早期の異常検知・原因追究の精度向上・トータルの品質向上に不可欠なテーマとなっています。
バイヤー・サプライヤー視点で考える原因追求のポイント
バイヤーが考える“原因究明スキル”の重要性
購買・調達部門が工場現場から「部品の異常破壊が発生した」「サプライヤー由来の品質問題かもしれない」という報告を受けたとき、いかに迅速かつ論理的に原因究明のプロセスを動かせるかがポイントです。
バイヤー側はサプライヤーから提出される検査成績書・工程記録だけでなく、自社の現場データ、過去不具合との相関、第三者的視点からの調査を全て突き合わせて判断します。
このため、「原因究明依頼の的確な情報整理・論理的な報告・サプライヤーへの誠実な依頼姿勢」が成否を左右します。
サプライヤー側が知っておくべきバイヤーの本音
サプライヤーサイドは、「自社の不具合が疑われているが、本当にウチだけが根本原因なのか?」と警戒するものです。
バイヤーは決して“犯人探し”がしたいわけではなく、「再現性のある原因究明」「納得できる根拠ある再発防止策」を求めています。
そのためにも、サプライヤー側も自社工程やロット管理・品質検査のトレーサビリティを徹底し、「どんなデータを取ってどう管理しているか」をバイヤーにわかりやすく提示できる体制が信頼獲得のカギとなります。
ラテラルシンキングによる新たな発想:従来の枠に囚われない“原因追求”のススメ
「なぜ?」を五回繰り返してみる
破壊事故の原因追求では、「なぜこの現象が起きたのか?」を表面的な理由で終わらせず、繰り返し深掘りすることが重要です。
いわゆる「なぜなぜ分析」「5 Whys」と言われる手法ですが、ここにラテラルシンキング=水平思考の発想を組み合わせることで、従来と違った切り口の着想が生まれます。
「本当にこの工程は、このパラメータが関係していないだろうか?」「古びた慣習が現状にマッチしていないのでは?」「人の作業習慣や管理者の思い込みはないか?」と、一見無関係に思える領域まで原因追及の目を向けることが大切です。
部門間の固定観念を打破する対話の場を持とう
昭和的な製造現場で起きやすいのが、「設計が言った通りに作った」「現場はちゃんとやっていた」の部門間“縄張り意識”です。
この壁を超え、多職種・多部署が自由に疑問を投げ合い、時に「当たり前」を疑う対話が、極端な破壊現象の本質的な原因解明につながります。
バイヤーもサプライヤーも、現場技能者も設計者も、フラットに自分の「なぜ?」をぶつけ合いましょう。
それが製造業の底力を引き上げ、強い“現場力”となって現れます。
まとめ:現場力で極端な破壊現象を乗り越えよう
ストレステストで極端な破壊が発生し、原因究明に時間がかかるのは「現場データの不足」「情報共有の壁」「昭和的アナログ文化」に根差す部分が大きいです。
しかし、その現場力をより実践的・論理的に磨き、ラテラルシンキングと部門横断の対話を促進することで、再発防止はもちろん、より堅牢な“ものづくり”へと進化できます。
バイヤーもサプライヤーも、全ての製造業関係者が「なぜ?」にフルコミットし、「誰が悪い」ではなく「どうしたら再発しないか」に徹底的に向き合う。
このマインドセットが、昭和型製造業から新時代のものづくりへと産業界を導く鍵となります。
読者のみなさんの現場や日々の業務に、少しでも本記事がヒントになれば幸いです。
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