- お役立ち記事
- ショットブラスト装置で使うフレーム部材の溶接製法と歪み問題
ショットブラスト装置で使うフレーム部材の溶接製法と歪み問題

目次
はじめに ~現場で生きるショットブラスト装置フレームの話~
ショットブラスト装置は、表面処理工程において欠かせない役割を担っています。
製品の品質やライン全体の生産効率にも大きな影響を及ぼすため、その骨組みとなるフレーム部材の設計・製作には特に高い精度が求められます。
しかし現実の現場では、「図面通りに溶接したはずなのにフレームに歪み・反りが出てしまった」「生産トラブルの原因がフレームの精度不足だった」といった課題がしばしば発生し、悩みの種となっています。
本記事では、昭和時代から伝わるアナログな現場感覚も交えつつ、ショットブラスト装置のフレーム部材の溶接製法と歪み問題について、製造現場の視点から深く掘り下げていきます。
ショットブラスト装置フレーム部材の基本構造と役割
なぜフレーム部材の精度が重要なのか
ショットブラスト装置のフレームは、ただの「箱」や「枠」ではありません。
振動や衝撃に強く、高い剛性を持ちつつ、機械内部の精密機構や加重部をしっかり支える土台です。
フレームに歪みや寸法誤差が生じれば、装置の据え付け精度が維持できず、ベアリング部やターンテーブルなどの回転体がスムーズに動作しません。
最悪の場合、ブラストホイールそのもののバランスが崩れて故障につながるケースもあります。
主なフレーム部材
主に使われる部材は、H形鋼、角パイプ、チャンネル(溝形鋼)です。
これらは梁・柱・台枠部として設計されることが多く、部品同士が高強度で一体化されることが求められます。
また、板厚や鋼材グレードが設計によって厳しく指定されるため、材料選定からすでに「溶接による歪み」「熱影響」を考慮せざるを得ません。
なぜなら装置全体の耐用年数やメンテナンス性までフレームの品質が左右するためです。
フレーム部材の主流溶接方法とその選択理由
アーク溶接(手溶接・半自動)
日本の現場では今も広く用いられているのが、被覆アーク溶接(SMAW)と炭酸ガスアーク溶接(MAG、CO2溶接)です。
厚板・大型構造物の現場溶接に対応しやすいという特徴を持っています。
特に手溶接は、現場ごと人の技量差が出やすい半面、細かい箇所や補修にも柔軟に対応できるため、フレームの角部や繋ぎ部に今なお重宝されています。
一方、半自動(MAG)溶接は量産性・作業性の観点からも導入が加速し、溶接ビードの安定性や生産タクトの短縮にも大きく寄与しています。
サブマージアーク溶接(SAW)
中~厚板、あるいは直線部の長尺溶接では、サブマージアーク(SAW)溶接が選択されることもあります。
フラックスによる被覆でスパッタ発生を抑えつつ、深い溶け込み溶接ができるため、重厚なフレームの主梁部などでよく見られる溶接方法です。
TIG溶接、レーザー溶接等の高精度溶接
一部、薄肉部材や外観仕上げを重視する部位ではTIG溶接、または最新のレーザー溶接が持ち込まれる場合もあります。
ただし費用・工数面では課題が残るため、フレーム全体としてはポイント使いが主流です。
フレーム歪みの発生メカニズムに迫る
溶接による熱ひずみと残留応力
溶接は金属の局所加熱、局冷却によって構造材が縮もうとするため、加熱収縮→冷却収縮の連続により、「溶接部=引き寄せ現象」が起こります。
さらに複数の溶接ビードが力を引き合い、積み重なることで全体として大きな歪みや反りが発生します。
現場用語で「端から端にかけて1mmずつ反って最終的に数十ミリのずれが出た」というのは、まさにこの典型例です。
またフレーム構造は溶接軸が長大になることが多く、全長の伸縮差や剛性不足が歪みを増幅する要因となります。
そのため、経験豊富な作業者ほど「溶接は順番こそ命」と肝に銘じています。
材料特性・構造設計の影響
同じ鋼材でも、強度や炭素量、厚みが異なれば、熱による歪みの大きさも大きく変わります。
肉厚部材ほど熱容量が大きく、緩やかな歪みに収まりますが、薄板と厚板の混合部ではトラブルが発生しやすい傾向です。
また設計段階での「歪み止め補強」や、「拘束治具による押さえ込み」を前提にされることも多く、設計者と現場溶接者の間で密なコミュニケーションが必須です。
現場で用いられるフレーム歪み対策の実践知
歪みを抑える溶接設計の要点
フレーム部材の歪みを極力抑えるためには、設計段階での工夫が欠かせません。
代表的な対策として「対称溶接」(バランス良く両側から交互に溶接を進める)、「分割溶接」(全長をいくつかのブロックに分けて個別に溶接・仮止めを行う)、「バックアップ治具での固定作業」などがあります。
また溶接順序の最適化も重要です。
図面定数通りに「A部→B部→C部」と工程を進めるのではなく、「A部仮付け→C部溶接→B部本溶接→A部本溶接」といった手順を組むことで歪みの偏りを分散させることができます。
現場の匠による工夫
熟練溶接工は”あえて余長を持たせる”、”わずかな逆歪みを事前に加えておく”、”仮締めピースを効果的に使う”、”熱入れ回数を調整する”といったノウハウを駆使します。
また、熱を溜めすぎないようにインターバル溶接(短い長さを手早く交互に繰り返して熱集中を防ぐ)や、部材を一時冷却してから次工程に進む工夫も定着しています。
仕上げ調整、焼きなまし(アニール)
それでも歪みが残る場合は、仕上げ時にハンマー矯正やプレス矯正、焼きなまし(アニール)による応力緩和を行います。
これは一見「力技=昭和脳」な手法にも思えますが、大型・重量フレームでは今なお最終手段として重宝されています。
特に焼きなまし処理は、溶接による残留応力を一掃し、最終組み立て寸法公差を確保するためには不可欠です。
自動化・ロボット導入の最前線とアナログ現場の狭間
溶接ロボットやCNCによる自動化も急速に進展しています。
パターンプログラム溶接はビード品質の均一化、工数削減には有効です。
しかし、「すべて自動化で解決」には大きな落とし穴もあります。
自動化設備の段取り替えや治具設計、オペレータスキルが追い付かず、量産と多品種小ロットの両立には現場のアナログ技術とデジタル技術の融合が不可欠です。
サプライヤーとしては、ロボット投入のメリットと、工程ごとの人の匠による値打ちを正しく見極めて「差別化ポイント」とすべきです。
バイヤーの目線でも、コストダウン重視に陥りがちな現状を打開すべく、両者が連携して最適な生産設計を追求する流れが求められます。
部材調達・発注時におけるバイヤーの着目点
なぜサプライヤー選定が重要か
バイヤーにとってフレーム部材をどのサプライヤーに発注するかは、装置品質・納期・コスト全体を左右する重要な判断です。
「溶接組立の品質管理レベル」「歪み対応ノウハウの有無」「実機組み立て後のミスゼロ保証」といった観点から、現場力のある業者を選ぶことが大切です。
また外観仕上げや塗装・機械加工との一貫体制が可能かどうかも、装置トラブルや歩留り対策の点で差が出ます。
現実的な検収基準
現場では「図面数値の厳守」が前提ですが、溶接による仮組み、仮固定、最終仕上げといった段階ごとに社内・サプライヤー間でチェックリストを設けることがリスクヘッジになります。
また、写真や測定データによるエビデンス保存、可能であれば装置据付前に工場立ち会い検査(FAT)を実施することで、バイヤー側・サプライヤー側双方にメリットがあります。
製造業界の現状~未来へ、変革を目指すあなたへ
昭和のアナログ現場力と最新のデジタル自動化技術、この両者をどう融合し、現場で活かしていくのか。
それがショットブラスト装置フレーム部材の世界で今問われている実践知です。
製造現場は決して古いだけの世界ではありません。
むしろ現場の「ちょっとした工夫」と「本質を見抜く目」があれば、各社それぞれの新しい強みが生まれます。
バイヤーもサプライヤーも、現場視点で「なぜ歪みが生じるか」「どんな溶接設計・工程が合理的か」「どこを自動化・どこを手作業で担保すべきか」をともに追求してください。
これから製造業に飛び込む人も、バイヤーを志す人も、サプライヤーとして価値を磨きたい方もぜひ一度、目の前のフレーム部材と真摯に向き合いましょう。
ショットブラスト装置の発展と、ものづくり大国日本の再興へ、現場から変革の風を起こしていきましょう。
ノウハウ集ダウンロード
製造業の課題解決に役立つ、充実した資料集を今すぐダウンロード!
実用的なガイドや、製造業に特化した最新のノウハウを豊富にご用意しています。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための情報がここにあります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが重要だと分かっていても、
「何から手を付けるべきか分からない」「現場で止まってしまう」
そんな声を多く伺います。
貴社の調達・受発注・原価構造を整理し、
どこに改善余地があるのか、どこから着手すべきかを
一緒に整理するご相談を承っています。
まずは現状のお悩みをお聞かせください。