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設計と製造の衝突から見える製造業の会社に就職する学生たちに事前に知っておいてほしい業界の本音

目次
はじめに―製造業の「現場」と「設計」の壁
製造業、と一口に言っても、その中には多様な仕事があります。
現場でモノを作る人、図面を描いて設計する人、材料や部品を購買する人、納期や品質を管理する人…。
特にメーカーでは、この「設計」と「現場(製造)」の間にはしばしば大きな「壁」や「衝突」が存在します。
なぜか。
それは、モノづくりの理想と現実のギャップ、業界として残るアナログな“昭和的体質”、そして組織ごとの思惑が絡み合うからです。
製造業にこれから就職する学生の方や、バイヤー(調達購買担当者)、サプライヤー(供給側)など、製造業に関わるすべての方に、「会社案内」ではわからないリアルな“本音”をお伝えします。
設計の理想と製造現場の現実
設計部門は「最適設計」、「新しさ」への執着が強い
設計者は日々、「新しい構造」「より強い・軽い」「原価を下げる」などのキーワードと格闘しています。
大学等で最新の設計手法を学び、技術書やCADと向き合ってアイデアを形にしようと情熱を燃やします。
特に若手設計者は斬新さや最適解にこだわりがちです。
しかし、設計が「最適」と信じて描いた図面も、実際に現場へ持ち込まれると、次のような問題でしばしば衝突が生まれます。
製造現場は「実際につくれるか」「コスト・納期・品質」が最優先
工場の現場は、設計図通りにモノが作れなければ意味がありません。
そのため、「この材料は手配できるのか?」「この形状は加工できるのか?」「現場の治工具は対応できるのか?」と、現実的な課題が立ちはだかります。
設計側が「新しい構造」を提案しても、現場のベテランは「必要以上に複雑」「歩留まりが悪くなる」「設備投資が必要」といった冷静な目線で語ります。
場合によっては「昭和時代からのこの工程が変わるのは困る」「暗黙知が失われる」といった保守的な意見も根強いです。
ここに、設計と現場の「衝突」が生まれます。
バイヤー(調達購買)の立場から見える真実
設計・製造・サプライヤーの板挟みになる購買担当の現実
購買部門は、設計部門から部品リストや要求仕様を受け取ります。
しかし、「価格を抑えて」「品質は100%守って」「納期厳守で」「できれば地元メーカーで」など、無理難題を同時に突き付けられます。
さらに、昭和以降のコストダウン優先の意識と、現場の「従来からの取引先を変えたくない」「冒険する暇はない」といった保守性は未だ根強く残っています。
そのため、購買担当者は
・設計の「スペック」至上主義
・現場の「経験」重視
・経営層の「コストダウン要求」
・サプライヤーの「納期・リスク」
それぞれの板挟みで苦しむこともしばしばです。
「安かろう悪かろう」だけじゃない、日本ならではのサプライチェーン
日本の製造業では「長年付き合いのあるサプライヤー」が強い信頼関係を築いています。
これは、安易な価格競争では得られない、きめ細やかな調整や「ギリギリの納期でも何とかしてくれる」という昭和流の信頼文化を育ててきました。
一方、グローバル化やデジタル化が進む中で、「人と人」「現場のつながり」だけでは追いつけない時代になっています。
購買部門も、データやDX(デジタルトランスフォーメーション)対応の波に呑まれ、旧来の『根回し文化』とグローバル調達がせめぎ合う業界動向に直面しています。
現場・設計・購買、それぞれの「思い」と「すれ違い」
設計の「こだわり」と製造現場の「それはできない」の本質
設計者は「もっと良い製品、もっと強い構造」を追求する使命感を持っています。
けれども現場は「確実に、安定的に、手直しなく生産」できることを最重要視します。
設計者が現場へ足を運び工程を観察し、現場の技術者と議論を重ねることは稀です。
結果として、「なぜ“できない”のか」が伝わらず、単なる“文句”“保守性”と捉えられてしまいがちです。
逆もしかりで、現場が設計へ「無理な設計を押し付けてくるだけ」と不信感を持つ原因にもなります。
これは単なるスキルや知識の違いではなく、製造業独特の組織風土や旧態依然としたコミュニケーションスタイルにも根差しています。
アナログな“昭和的体質”はなぜ根強く残るのか?
いまなお紙の図面やFAX、電話でのやり取りが主流の現場も多く存在します。
DXが叫ばれる一方で、現実的には熟練作業者の「勘と経験」「声かけ文化」で現場が回り続けているのです。
これは「非効率」「改善しなければ」という批判の一方、柔軟性や危機管理では強みを発揮しています。
例えば、顧客の特急注文に“現場力”で応えたり、地元サプライヤー同士の「貸し借り」で部品不足を乗り切ったり…。
このような“昭和的体質”の裏には、日本製造業が世界で戦えた源泉があるのも事実なのです。
業界の「実際」とこれから求められる人材像
組織を超えて“現場力”と“設計力”をつなげる人が必要
これから製造業に入る学生に知っておいてほしいのは、
「設計だけできればいい」
「現場のやり方に従えばいい」
「言われた部品を買い付ければいい」
それだけでは、既存の組織や業界に埋もれるだけで、抜きん出ることはできません。
製造業はこれからますます「現場と設計、購買が総合力で勝負する」時代になります。
現場に足を運び、ベテランの作業者から暗黙知を吸収し、設計図面の裏にある「なぜ?」を探求する力。
サプライヤーと本音で議論し、調整役としてお互いの制約・発想を理解できる“柔軟なラテラルシンキング”が強く求められています。
「昭和」から「令和」への転換―製造業のアップデートは現場の小さな一歩から
IoTやAI、DXといったキーワードが業界に降ってきても、「現場で使いこなせないICT」は意味をなしません。
また、設備投資に積極的なサプライヤーや現場の自動化が進む一方、多くの中小企業では依然として「人手」と「経験」が大きなウェイトを占めています。
このギャップを埋めるのは、まずは“現場を知る”こと、そして“設計目線”“サプライチェーン目線”で考えることです。
大学や学校で学んだ知識を、現場の「泥臭さ」とブレンドし、両者の間を翻訳できる“ハイブリッド人材”こそ新しい製造業を動かします。
まとめ―製造業の会社で「生き抜く」ための本音アドバイス
どんな仕事も「設計vs.製造」「現場vs.購買」「昭和vs.令和」という対立構造があります。
しかし、目指すものはただひとつ、「より良いモノづくり」です。
設計図や生産計画は常に現場でブラッシュアップされ、購買はあらゆる可能性を模索しながら最適解を探し続けます。
そこで重要なのは、「現場や他部門の本音に踏み込み、相手の立場で考えること」です。
これから製造業に飛び込むあなたへ。
現場の泥臭い力、設計の情熱、サプライヤーの根性、購買の知恵…。
それぞれの“本音”にきちんと耳を傾け、自分の「専門性」と「全体目線」を伸ばしてください。
昭和の良いところ、令和の新しさ。
両方の魅力を知っている人材こそが、これからの製造業の主役です。
モノづくり現場はあなたの「挑戦」と「疑問」を歓迎しています。
ぜひ、本質に踏み込む姿勢で、新しい地平線を切り拓いていきましょう。
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