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投稿日:2026年1月24日

経営者主導のデジタルマーケティングが現場に刺さらないケース

はじめに:デジタル化の波に揺れる製造業の現場

製造業の現場では、近年さまざまなデジタル化の波が押し寄せています。
特に2020年以降、新型コロナウイルスの影響もあいまって、Webでの見積や商談、オンライン展示会への参加など、デジタルマーケティングの重要性は一気に高まりました。
経営層や本社のマーケティング部門は、最新のデジタルツールを現場に導入し、新しいビジネスモデルを志向するケースも増えています。

しかし、現実には経営者主導で進められるデジタル施策が「現場に全く刺さらない」どころか、現場の混乱ややる気の低下を招くことも少なくありません。
なぜこのようなギャップが生まれるのでしょうか。
本記事では、20年以上製造業の現場から経営戦略まで経験してきた立場から、リアルな現場目線でこのテーマを深掘りします。

現場が抱えるデジタル施策への“モヤモヤ”とは

ITツールは「目的」ではなく「手段」

まず押さえておきたいのは、デジタル化やITツール活用は、あくまで「手段」であるということです。
SNS運用、MA(マーケティングオートメーション)、Web広告、電子受発注、チャットボット……。
経営者の多くは外部コンサルティングや成功事例に影響され、これら新しいツールの導入に前のめりになりがちです。

しかし、現場担当者は「なぜこれが必要なのか?」「本当に自分たちの仕事の助けになるのか?」といった納得感を抱けないまま、ツールの運用を半ば強制されていることが多く見受けられます。
具体的な目的や効果が明確でないまま「導入ありき」で進むデジタル施策は、現場からすると“ただ手間が増えるだけ”と捉えられがちです。

昭和的価値観と現代的デジタル化の“ねじれ”

製造業は長年にわたりアナログでの積み重ねや「職人技」に価値を見いだしてきた業界です。
商談は対面、営業は電話帳を手に飛び込みという文化が現在も根強く残っています。
こうした風土の中で突然「SNSで情報発信しろ」「オンライン展示会でリードを獲得しよう」「チャットでバイヤー対応せよ」と命じられても、現場担当者の心には刺さりません。

この“ねじれ”を理解しないまま、机上の理論でデジタル化を押し進めると、現場は表向き従いつつも内心では疑念や諦めを持ち、本気で取り組む空気が生まれにくいのです。

なぜ経営者主導のデジタルマーケティングはうまく刺さらないのか

1. 「現場の痛み」「お客様のリアルな課題」に無自覚

経営サイドが掲げるデジタル戦略には、現場の“リアルな痛み”や“お取引先(バイヤー)の困りごと”が十分反映されていないケースが多々あります。
たとえば「オンラインで全て完結」を掲げても、実際に調達・購買の担当者は、相見積もりやサンプル手配、緊急時の対応で、相手方(サプライヤー)の“人”に頼ることがまだ多いのが現実です。

顧客から直接上がってくる声や、現場でのトラブル対応のリアルを知らないまま、「最新のデジタル施策を導入すれば売上が上がるはず」と判断してしまうと、現場とのギャップが生まれます。

2. 成果の可視化が難しく、「重荷」に感じられやすい

多くの場合、デジタルマーケティング施策(たとえばWeb広告やSNS運用、MA導入など)の効果はすぐに数字で現れません。
今まで営業部門が人伝いに得ていた引き合いや紹介が、WEB経由でどう数字に反映されるのか分かりづらいからです。
経営者は数字やKPIで施策を判断したがりますが、現場は「これって、本当に意味があるのか?」という疑問を抱えやすいのです。

3. IT知識・リテラシー格差

長年アナログ方式で培ってきた担当者と、デジタルマーケティングの基本的な用語すら共通認識がないことも珍しくありません。
現場では「SEOとは?」「MAって何?」「インスタは何の意味が?」という声も根強く、ITリテラシーの差が壁となって効果的な運用が進まない場合も多いのです。

現場に“刺さる”デジタル化:ラテラルシンキング的視点のすすめ

では、どのようにすれば現場や担当者の心に“刺さる”本質的なデジタルマーケティングを実現できるのでしょうか。
ここでは、従来の「デジタル=最新ツール導入」の延長線上で考えるのではなく、「そもそもなぜ?」を繰り返し、ラテラルシンキング=水平思考(異なる視点や思いもよらぬアプローチ)を使いながら解決策を探ります。

現場の「業務の痛み」と「調達・購買プロセス」に寄り添う

例えば、調達購買担当者のどんな業務プロセスが負荷・リスク・無駄を生んでいるのか改めて整理してみましょう。
・サプライヤーからの見積もり取得が煩雑
・急な仕様変更や納期調整での社内外調整
・図面・スペック・契約条件の共有や確認の煩雑さ
これらの困りごとに、デジタル施策はどう役立つのか?「〇〇ツールの導入」ありきではなく、業務フロー全体の“そもそも論”から再設計することが近道です。

実績や成功体験を現場で共有する“仕掛け”

現場の小さな成功事例こそ最大の説得材料です。
例えば「Webフォームの活用で見積もり業務が30%時短できた」「チャットツールで社内の問い合わせ対応が激減した」といった具体的な声を横展開しましょう。
現場で「このツール、便利だったよ」というリアルボイスを共有し合う場を設けると、自然と浸透が進みます。

昭和の“職人技”とデジタルの“見える化”の融合

令和の日本は、デジタル化と昭和流の職人技がミックスしてこそ新たな価値が生まれる時代です。
例えば、熟練者の「勘と経験」によるノウハウをナレッジ共有ツールで体系化したり、職人の作業ポイントを動画・デジタルコンテンツとして発信したりといったハイブリッド型の取り組みも可能です。
バイヤー側から見ても「この会社は現場重視で、なおかつ情報発信も的確だ」と信頼される導線となります。

成功する組織を作るための具体的アクション

1. 現場主導のプロジェクトチーム化

経営主導のトップダウン型ではなく、現場担当者や若手社員、自ら新しいアイデアを形にしたい社員を巻き込んだボトムアップ型のデジタル推進チームを作りましょう。
現場でPDCAサイクルを高速で回すことで、現場目線で真に役立つデジタル施策だけが生き残っていきます。

2. デジタル導入後の“人”の役割設計

デジタルが進化しても人の役割は無くなりません。
むしろ「自動化・見える化」によって人が頭や時間を使うべき“より付加価値の高い仕事”に集中できる環境を設計することが重要です。

3. 顧客起点でマーケティングを再考する

バイヤーやサプライヤー、取引先の「本音」や「不満」を徹底的にヒアリングし、ニーズ発掘からデジタル施策を練り直しましょう。
「うちは〇〇に困っていた」「発注プロセスが面倒だった」など顧客の声こそ、現場に“刺さる”サービス設計の源泉です。

結論:本質的な現場起点のデジタル化へ

経営者主導のデジタルマーケティングが現場に刺さらない主な要因は、目的・背景の曖昧さ、現場の実情や顧客の課題への無理解、手段が目的化してしまっている点にあります。
製造業のデジタル化は、ツールの導入ではなく業務そのものの本質的価値の再発見と進化こそがゴールです。

変化の激しい時代ですが、昭和から続く現場魂と最先端のデジタル思考を組み合わせ、ラテラルシンキングで現場に「本当に意味のある」デジタル革命を実現しましょう。
それが、今後の製造業の競争力と持続可能な成長へつながると確信しています。

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