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投稿日:2026年1月18日

CIP洗浄でノズル部材が詰まりやすい理由

CIP洗浄とは何か?製造業における基本概念

CIP(Cleaning In Place:定置洗浄)は、食品、医薬品、化学など多様な製造業で導入が進んでいる洗浄方式です。

これは、配管やタンク、熱交換器などの製造設備を分解せず、そのままの状態で自動的に洗浄液を循環させて内部を洗浄する手法です。

従来の分解洗浄と比べて省力化・効率化・作業者の安全確保など多くのメリットがあります。

特に、大規模な生産設備や衛生基準が高い現場では不可欠な存在となっています。

一方で、アナログな工程管理や属人的な現場運用が今も残る業界では、定着しているとまでは言い難いのが実態です。

実運用では、「CIPしているから安心」と漫然と捉えがちですが、現場では目視や経験による管理もなお重視されています。

CIP洗浄でノズル部材が詰まりやすい理由

CIP洗浄において、ノズル部材の詰まりは非常に多いトラブルのひとつです。

なぜ、CIP洗浄中にノズル部材が詰まりやすいのでしょうか。

その理由は、大きく分けて下記の3つが考えられます。

1. 流体分布のムラとデッドスペースの存在

CIP装置の設計思想では、洗浄液が設備全体を適切に循環することを想定しています。

しかし、現実の工場ラインは新旧設備が混在し、増設や改造を繰り返した「継ぎはぎ配管」が多いものです。

その結果、ノズルの付け根や曲がり部、または分岐付近などに“デッドスペース”が生じやすくなります。

このデッドスペースに古い原材料や汚染物が残留しやすく、ここで固着や凝集が起こると配管内径やノズル穴がふさがれてしまうのです。

流水量や圧力が設計通りに確保されず、洗浄液が充分行き渡らないことも詰まりの要因となります。

2. ノズル内部形状や材質・劣化による影響

工場ラインで利用されるノズル部材は、ステンレスやプラスチック、エラストマーなどいくつかの材質で作られています。

特に微細な散布を狙うノズルは穴径が小さく、経年劣化や洗浄剤による腐食・変形の影響を受けやすい傾向があります。

また、製品用途によっては、耐薬品性や異物混入対策のために特殊コーティングが施されているものもあり、こうしたノズルは洗浄繰り返しによりコーティングがはがれ、微小な段差や傷が付くことで異物がたまりやすくなります。

このように、細かい構造や材質の選定ミス、または経時変化の見落としが、ノズルの詰まりリスクを高めています。

3. 製造物の性質変化と現場の「見えないコスト」

洗浄しにくい原材料、例えば粘性の高い液体や、固まりやすい成分を含む原材料を生産する際には、ノズルの詰まりやすさが格段に増します。

また、近年では食品業界を中心に、グルテンフリー、低糖質、健康志向など多様な追加要素が混ぜられる傾向が強まっています。

従来の標準レシピのみを想定してCIP設計をした場合、こうした新しい原材料に対して洗浄性能が不十分となり、そのたびに詰まりが発生しやすくなります。

これが、突発的なライン停止や生産スケジュール遅延、さらには安定供給への影響という「見えないコスト」につながるのです。

詰まりやすい現場の共通点と昭和から抜け出せない現状

私が現場経験から得た知見では、詰まりトラブルの頻発する工場には共通点が散見されます。

一例を挙げると以下のような状況が多く見受けられます。

経験頼みの属人管理とメンテナンス軽視

昭和時代からの流れを色濃く残す工場では、「ベテランの勘と経験」に強く依存しがちです。

生産量や人員不足の圧力から、日常点検や清掃が後回しになり、「いつものように、問題が起きたら直す」という後追い対応が常態化しています。

また、「ノズルの詰まりやすさは、現場担当者の腕次第」といった属人的思考も根強く残されています。

これでは根本的な改善にはつながりません。

現場主導の部分的なカスタムと設計の矛盾

現場の作業性やコストダウンを目的に、配管やノズルを現場独自に改造し、設計思想との乖離が進みがちです。

たとえば、掃除の手間を惜しんで、安価なノズルを頻繁に交換する一方で、洗浄サイクルや設備寿命には無頓着な運用が続いています。

これがさらなる詰まりや耐久性低下を生んでしまいます。

データ化・自動化への移行遅れ

CIP洗浄の運用は、現場データをもとにした見える化や自動制御があってこそ最大の効果を発揮します。

ですが、いまだに紙の記録や「口頭による引継ぎ」が普通であり、異常の早期発見や個別事例の蓄積が十分できていない現場が珍しくありません。

これでは新たな改善策を試す前提すら成立しません。

詰まりを最小化するための実践的な対策

では、ノズルの詰まりをCIP洗浄の枠組み内で最小化するためには、どのような現実的な対策があるのでしょうか。

1. 洗浄設計の見直しとデッドスペースへの目配り

現場で最も根本的なアプローチは、「設計原理への立ち返り」です。

新旧設備やライン変更があった場合には、洗浄液が全てのノズル・配管を確実に行き渡る経路となっているかを再確認すべきです。

また、配管内の断面形状や流速をシミュレーションし、デッドスペースの発生リスクを図面レベルから洗い出しましょう。

場合により、CIPノズルの配置換えや洗浄パターンの段階的強化(例えばプレリンス→薬液→リンスの多段化等)も効果的です。

2. ノズル部材の適切な材質選定・定期管理

ノズル選定では、化学的安定性・耐摩耗性だけでなく、CIP洗浄への適用実績や供給体制の堅牢さも重視しましょう。

また、一定期間ごとにノズルの状態(摩耗やコーティングの剥離)を点検し、劣化兆候があれば予防交換を行うなど、「現場目線でのメンテナンス」を意識的に取り入れるべきです。

目視点検以外に、超音波や内視鏡カメラなどの非破壊検査装置を活用する例も増えています。

3. 洗浄条件・原材料特性ごとのマニュアル化とデータ活用

汚染されやすい製造物や粘度の変化など新しい製品を流す場合には、洗浄サイクルのタイミングや条件を一元管理・マニュアル化し、都度現場任せの応急対応を減らしていくことが不可欠です。

さらに、設備の稼働データや洗浄ログを日々蓄積し、詰まり発生との相関をルールベースで抽出していくことも重要です。

最近はAIやIoTセンサーを使った異常予兆検知も現実解となってきています。

バイヤー・サプライヤーの立場で考える詰まり対策

詰まりトラブルを未然に防ぐためには、設備調達・購買やサプライヤー選びの視点も見逃せません。

購買担当者や供給側として意識するべきポイントをまとめます。

1. 適切な情報提供・ヒアリング力

サプライヤー側は、単に「選ばれた部材」を納入するだけでなく、ユーザー現場がどのような洗浄工程で使い、どの部位にリスクがあるのか「生きた現場情報」を積極的にヒアリングし、追加提案できることが評価されます。

汎用カタログ品だけでなく、製品特性に合わせたカスタム品や関連アクセサリもストックしておくべきです。

2. トータルコスト思考とライフサイクル提案

初期コストの安さだけにこだわらず、詰まりによる設備ダウン時の損失や手間、メンテナンス費用まで俯瞰する「トータルコスト提案」が求められます。

ノズルだけでなく、それと連動する洗浄液や管理システムまで一体化した提案や、長期供給・在庫管理サービスもバイヤーに喜ばれます。

3. 管理職目線での“現場との橋渡し”

工場長や管理職としては、単なる「部材発注」にならず、現場のリアルな課題やコスト感覚を購買~サプライヤーに伝播させる旗振り役が重要です。

現場作業者・購買担当者・サプライヤーの3者協働で、問題の本質に迫り合う場(定例ミーティングや現場見学会など)を積極的に作りましょう。

まとめ:現場目線+ラテラル思考が製造業変革のカギ

CIP洗浄でのノズル部材詰まりは、単なる“部品トラブル”ではなく、現場全体の体質や情報連携、設計思想そのものに根差した「製造業の構造的課題」のひとつです。

昭和的な属人管理や「その場しのぎ」の対応から脱却し、工場設計・購買・サプライヤー提案それぞれの立場で“根っこから深掘り”する姿勢が、業界変革のスタートとなります。

現場目線のリアルな対策と、データや自動化など新しい思考が合流することで、CIP洗浄はより強固な武器となるはずです。

今こそ、これまでの常識を横にずらし、ラテラル(水平的)に問い直す柔軟な思考で、新しい未来を共につくりませんか。

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