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投稿日:2026年1月4日

コイル部材のろう付け品質が寿命に直結する理由

コイル部材のろう付け品質が寿命に直結する理由

はじめに:製造現場から見た「ろう付け」の重要性

製造業に携わる皆さんであれば、「コイル部材」と「ろう付け」という言葉に必ず心当たりがあるはずです。
特に空調機器、自動車、家電などの分野では、熱交換器やモーター、インダクター等の構成部品としてコイルが多用されています。
これらコイル部材の組立工程で一般的に利用されるのが「ろう付け」ですが、その品質は製品の寿命を大きく左右する重要なポイントです。

私が現場で繰り返し感じてきたのは、ろう付け品質を軽視すると、その後のトラブルやクレーム、想定外のライフサイクルコスト増大を招いてしまうという現実です。
なぜ、コイル部材のろう付けが寿命に直結するのか。
現場経験と最新の業界動向を織り交ぜながら、深堀りしていきたいと思います。

コイル部材のろう付けとは

ろう付けの基礎知識

ろう付けとは、コイルの銅管や端子、リード線などの金属部品を、溶加材(ろう)を溶かして接合する接合技術です。
ろう付けの温度は約450℃〜900℃が多く、ベースとなる部材を溶融させない「高温はんだ付け」とも呼ばれます。
積層コアやエレクトロニクスの微細部品はんだ付けと比べると、「母材が分厚い」「熱容量が大きい」「接点が広い」といった特徴があります。

コイルの“命”である接合部

コイル部材を使う製品では、流体や電流、熱が絶えず通ります。
例えば冷媒用銅管の接合部でろう付け品質が不十分だと、わずかな隙間から冷媒ガスが漏れ、性能低下や爆発リスクを招きます。
また、絶縁不良によるアーク放電や、経年による腐食発生も無視できません。
それら根本問題の大半が、「ろう付け不良」に起因している場面を、現場で何度も目にしてきました。

ろう付け不良が製品寿命に直結する主な理由

1.経年劣化を誘発する「ろう付けクラック」

ろう付けクラック(割れ)は、熱サイクルによる膨張・収縮、振動・応力の繰り返しを受けることで生じます。
初期段階でわずかな亀裂が生まれると、そこから腐食・漏れ・絶縁不良とダメージが広がり、気付かぬうちに製品寿命を大幅に縮めます。
特に電気絶縁・密閉性を要求されるコイルの場合、ろう付け部からの微細リークや代替フロンガス漏れは、重大事故の引き金となりやすいです。

2.耐食性を損なう「母材とのなじみ不良」

理想的なろう付けは、ろう材が母材(金属部材)に十分に濡れ広がり、強固な金属結合を形成することです。
しかし実際の現場では、材料の表面酸化物や油脂、加工傷などがとても多く、「ろうがはじかれる」「部分的な未接合が残る」といった現象が日常的に発生しています。
この不完全な接合部から、水分や化学物質の侵入による局所腐食が始まり、年数が経つほど進行します。

3.疲労破壊や振動断線の遠因に

工場のラインで量産していると、「ろう材はのってるが、機械的強度が十分でない」「ろう付け部が微妙にズレている」といった事例にも頻繁に遭遇します。
このような不良接合は、通電による発熱や振動、ねじれが繰り返されることで、ろう付け部から微細クラックが伝播し、最終的には“パチン”と完全断線に至るリスクが高いのです。
一見問題なく見える初期生産品ほど、見落としがちな課題といえます。

なぜアナログ業界でろう付け不良が根絶しないのか

“人”の技能に依存しがちな現場

現場の多くでは手作業や半自動機によるろう付け工程が今も主流です。
作業者の技量、経験値、作業コンディションがそのまま接合品質に直結します。
昭和世代のベテラン職人技を継承できなければ、抜け・ムラ・偏りが増え、不良の温床となります。

工程監視とトレーサビリティの課題

ノギスや拡大鏡を使った外観検査、自動カメラによる2次元画像判定などのデジタル技術も進んできましたが、本質的な「内部クラック」や「濡れ不良」などは可視化しきれない部分が残ります。
しかも少量多品種化・短納期化が進み、検査にかけられるリソースも減少傾向です。
そのため、不良品の見逃しや、根本的な工程改善が遅れやすい傾向があります。

業界の「なあなあ文化」も無関係ではない

日本の製造業は長年、「現場対応力」「職人芸」「暗黙知重視」といった美徳がありますが、それが逆にデータ化・標準化・技術伝承の阻害要因となっているケースも散見されます。
数少ない“名人”に頼る時代から、工程全体を科学的に見直す時代への転換が求められているといえるでしょう。

ろう付け品質向上に向けた具体的な方策

材料・部材の徹底管理

・ろう材、フラックス、母材の品質ロット管理を行い、入荷時・前処理時に異常を発見する仕組みを取り入れる。
・ろう付け直前の表面洗浄、脱脂、酸化皮膜除去の工程を徹底し、微細な不純物残留も排除する。
・材料メーカーと歩調を合わせ、ろう材や親水性材料の開発を推進する。

作業の自動化・標準化

・火炎ろう付けやバッチ炉から、ロボットアーム式自動ろう付け、レーザーろう付け等の導入を進める。
・作業マニュアルや教育プログラムを定期的にアップデートし、技能伝承のしくみを明確化する。
・自動化と人手作業のハイブリッド化によって、ラインの歩留まりと柔軟性を両立させる。

品質監視の高度化とデジタル活用

・赤外線カメラや音響解析を用いた、内部欠陥の非破壊検査技術を試験導入する。
・IoTセンサーによる異常温度検出、AIによる検査画像の異常検知など、スマートファクトリー化を目指す。
・統計的工程管理(SPC)や工程能力指数(CpK)分析による異常傾向早期発見を周知徹底する。

原因分析とフィードバックの文化定着

・実際のクレーム・不良解析で出てきた“失敗事例”を、人・工程・資材・環境の4Mで見直し、工程設計に反映する。
・現場の「カイゼン提案」や「仕組み化」推進を組織ぐるみでフォローし、根本改善を目指す。

サプライヤーとバイヤーの最適な関係構築のコツ

サプライヤーが心がけるべき視点とは

コイル部材サプライヤーとしては、単なる「納期・コスト・外観」だけでなく、「ろう付け部分の工程管理の見える化」「品質証明データ提出」「継続的な技術提案」を打ち出すことが大切です。
バイヤーが何を求め、どこまで品質を要求しているのかを常に把握し、現場や設計者とフラットに議論できる信頼関係が求められます。

バイヤーにとっての真のパートナーとは

バイヤーとしては、単なる価格比較だけではなく、長期視点に立った「ライフサイクルコスト」「保証条件」「トレーサビリティ」「トラブル時の迅速な現場対応能力」などを評価軸に入れるべきです。
設計の妥協だけでなく、現場での人的ミスや突発異常にも迅速に連携できる体制を重視しましょう。

まとめ:ろう付け品質は「見えないリスク」と「信頼」の架け橋

コイル部材におけるろう付けは、工場の現場で地味ながらも、製品の“命”を守る基柱となります。
目立たない工程だからこそ、徹底した品質文化が不可欠であり、現場・設計・バイヤー・サプライヤーが一体となった改善活動が、真の競争力に繋がります。

製造業界に身を置く皆さまにとって、「ろう付け品質が寿命に直結する理由」を改めて再認識いただき、アナログとデジタルの両軸で現場改革を進められるきっかけとなれば幸いです。

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