- お役立ち記事
- 宣伝や広報をデジタル化したのに問い合わせが増えない理由
宣伝や広報をデジタル化したのに問い合わせが増えない理由

目次
はじめに-デジタル化しても問い合わせが増えない現実
多くの製造業では、時代の潮流に合わせてウェブサイトやSNS、メールマガジンなどのデジタルツールを積極的に導入しています。
宣伝・広報のデジタル化で業務効率は格段に向上しました。
しかし、「せっかくデジタル化したのに、自社への問い合わせや資料請求が思ったように増えない」という悩みをよく耳にします。
なぜ、デジタル化=自動的に成果が出る、というわけではないのでしょうか。
本記事では、筆者自身の現場経験や業界特有の事情を踏まえながら、問い合わせが増えない本当の理由と、その打開策について深掘りします。
デジタル化“だけ”では変われない昭和的体質と業界構造
製造業に根強く残る“紙文化”と思考フレーム
製造業の多くでは、現場至上主義が今も強く残っています。
工程表や品質記録は未だに手書き、FAXや電話連絡が主流という企業も少なくありません。
デジタルツールを導入しても、トップや担当者の思考や業務プロセスがアナログのままであれば、デジタルの良さは発揮されず「なんとなく対応しただけ」となってしまいます。
バイヤー側も“昭和”で止まっていないか?
実は、バイヤー(購買担当者)や決裁者層もアナログ習慣が根強い場合が多いです。
例えば、昔ながらの取引先リスト、口コミや人脈中心の情報収集、新規開拓は展示会頼み、というケースは多々見受けられます。
つまり、受発信ともに“昭和的なものの見方・やり方”がデジタル環境の中でも引きずられており、「デジタルをうまく使っているつもり」になっている企業が少なくありません。
結局、“現場ニーズ”にこだわる業界気質が壁になる
製造業で実際にバイヤーが商品を選ぶ際、最も重視するのは「本当に現場課題が解決できるか」「生産ラインや工場への導入のしやすさ」といった実務的な視点です。
多くのデジタル広報施策は、カタログスペックや企業PR、流行りのキーワードの連呼に偏りがちです。
そのため、「自分たちの現場でどう役立つのかわからない」とバイヤー側が感じ、問い合わせに至らない現象が起きています。
よくある誤解―デジタルツールと問い合わせ“増加”のミスマッチ
ホームページ刷新やSNS運用は“目的”ではなく“手段”
コンサルタントに「ウェブサイトを最新にすべき」「FacebookやLinkedInを始めましょう」と勧められ、様式美的に着手する企業は多いです。
ですが、それらのツール自体に「問い合わせが増える魔法」は宿っていません。
大切なのは、「誰に・どんな価値を届け、行動(問い合わせ)を起こしてもらうのか」を突き詰め、具体的なコンテンツと導線設計を作り込むことです。
スペック訴求・実績自慢だけでは刺さらない
製造業のウェブサイトで“ありがち”なのが、自社の技術力や設備、納入実績をひたすら羅列するパターンです。
もちろん信頼の証や安心感の提供として大事な情報ですが、それだけでは「なぜ今、問い合わせすべきなのか」の決定打にはなりません。
現場にとっての“解決策”や“具体的な改善ストーリー”を伝えること、それが問い合わせ増加への本質的な近道です。
問い合わせ増加のために製造業が直視すべき3つの現実
1.買い手の情報収集行動が大きく変化している
現代のバイヤーは、90%以上がまずネット検索から情報収集を始めています。
製品比較やクチコミ、課題解決型の記事などを通じて、候補企業をある程度絞り込んだうえで初めて「問い合わせ」や「商談」のアクションを起こす傾向が顕著です。
この“水面下”の段階にコンテンツでしっかり寄り添えなければ、いくらウェブサイトをリニューアルしても「問い合わせ」時点で比較の土俵にも立てません。
2.顧客接点(タッチポイント)の設計が甘い
問い合わせを増やすには、製品紹介ページやキャンペーンLP(ランディングページ)だけでなく、技術ブログ、活用事例、Q&A、工程改善ノウハウ動画といった多様な「顧客接点」を用意し、それらをネットワーク化する必要があります。
こうした“面”での情報発信設計が弱いと、お客様は「興味を持っても次の行動が起こせない」「判断材料が足りない」と感じて離脱してしまいます。
3.“社内都合”と“現場目線”の乖離
得てしてデジタル施策は、本社や宣伝部門主導で進むため、「現場で何が困っているか」というバイヤー目線から遠ざかりがちです。
「問い合わせフォームが使いにくい」「導入事例が少なすぎる」「実際の作業員の声が見えてこない」…そんなちょっとしたズレが、現場からの反応を大きく損ねています。
バイヤーの“本音”に刺さる問い合わせプロセス設計
現場起点でストーリー設計を見直す
問い合わせを増やす施策の大前提は、“現場で使う人”が思わず「もっと知りたい」「話を聞きたい」と感じるストーリーを作ることです。
例えば、よくある課題や失敗事例から入って、「自社ならどのように解決できるか」を実例や図解で具体的に提示する。
さらに、「導入時は何を気をつけるべきか」「撤去やカスタムはどこまでできるか」など、現場感覚に基づいたちょっと踏み込んだ情報まで用意しましょう。
“行動”につなげる動機付けと導線
単に情報を並べるだけでなく、「このページから今すぐ資料がダウンロードできる」「担当者とチャットで相談が可能」といった“次のアクション”へのハードルを徹底的に下げる設計が重要です。
問い合わせフォームも、入力項目を極限までシンプルにし、完了後のフォロー(ダウンロード特典や後日の役立つ情報提供など)まで目を配りましょう。
顧客育成と“未来ニーズ”の先読み
購買・バイヤー層は、すぐに決裁する人ばかりではありません。
現場で課題意識はあっても、まだ上司を説得できていない担当者も多いです。
「業界最新動向」「他社の自動化導入ステップ」「人手不足対応のノウハウ」など、今すぐ問い合わせでなくとも、将来のニーズ創出につながる情報提供も強く意識してください。
ラテラルシンキングで変える!根本的アプローチ
自社の“強み”を再定義せよ
製造業の強みは、熟練ノウハウや独自の生産技術、現場対応力など表現しにくいものが多いです。
「他社にはない価値」「間接的に顧客の費用や工数をどう削減できるか」という“本質的ベネフィット”を、自分たちの言葉で再定義することで、ニッチニーズにもアプローチできるようになります。
顧客の“潜在課題”を掘り起こす発信力
自社技術の一方的なPRではなく、「本当は気づいていない、明日の危機」や「中長期の課題顕在化」を刺激するコンテンツ(比較記事、意識調査、未来予測など)を発信することが、他社との差別化と早期の相談獲得につながります。
デジタルとアナログを融合する“ハイブリッド営業”の推進
デジタル化やウェブ施策ばかりに偏るのではなく、リアル展示会参加や現場訪問、技術セミナー連動の情報発信など、オンラインとオフラインをシームレスにつなぐことが重要です。
バイヤーが実際の導入現場で情報を見たいとき、資料や事例をスマホで即共有できる体制づくり、現場スタッフによる現地説明動画など、現実とネットをクロスしたサービスも検討してください。
まとめ-実践なきデジタル化は“成果ゼロ”
製造業がデジタル化しただけで問い合わせが増えない理由は、昭和的体質や業界特有の風土に由来するものだけではありません。
「バイヤー目線」と「現場課題の解像度」、そして「情報からアクションまでの導線設計」の不足が最大の盲点です。
本質的な問い合わせ増加には、現場に寄り添った情報提供と、デジタルならではの小さな気配り、そして“アナログの良さ”も残したハイブリッドな取り組みが不可欠です。
実践無き表面的なデジタル化から一歩踏み出し、競合に先んじて「現場の声が届くデジタル活用」を目指しましょう。
本記事が、製造業の現場で汗を流す皆様や、より良い開拓を目指すバイヤーの参考になれば幸いです。