投稿日:2025年12月9日

不定期の出荷が続く企業ほど輸送費が上がる仕組み

はじめに:物流コスト高騰の現状を読み解く

2024年に入り、物流業界は大幅な運賃上昇と労働力不足に見舞われています。

この「2024年問題」は製造業の現場にも直撃し、調達・生産・出荷いずれの部門も危機感を強めています。

多くの企業が輸送費削減に頭を悩ませる中、「不定期の出荷」が物流コスト高騰を招く本質的な要因であることは、意外と見落とされがちです。

本記事では、不定期出荷が継続する企業ほど輸送費が上がるカラクリについて、現場目線と業界の過去・現在・未来を織り交ぜて、バイヤー・サプライヤー双方が納得できるように深掘りしていきます。

不定期出荷がもたらす「非効率な物流」

安定出荷が物流コストを下げる理由

輸送費の多くは「数量割引」「定期集荷」「混載便活用」など、物流ネットワークの効率化によるコストダウンで実現されています。

例えば、毎週決まった曜日・数量で出荷が発生すれば、輸送会社は計画的にトラック・ドライバー・混載スケジュールを組みやすくなります。

その結果、空車率の低減や運用コストの最小化が実現でき、荷主にとっても値上げリスクが減ります。

また、製造業側でも在庫・製造・納期の計画立案が立てやすくなり、異常処置(緊急便・特別料金発生)の発生も防げます。

不定期・拡張納期が会社全体に与える悪影響

一方で、「月末まとめて」や「急ぎで都度依頼」といった不定期出荷が多発すると、物流会社は運用調整コストが激増します。

余剰車両や臨時ドライバーの手配、他社荷物との混載ができない緊急便が頻繁になり、1回の運搬コストが跳ね上がります。

これは単なる「運賃が割高」という問題だけでなく、約束した納期遅れ、新たな人件費・車両費の発生、そして運用担当者の慢性的な疲弊をもたらします。

昭和世代の現場では「いつでも対応できる柔軟さこそ武器」という意識が根付き、柔軟性=サービスだと勘違いされている節があります。

しかし、物流の2024年問題以降、これまでの「アナログ的なやり方」が明らかに破綻しています。

データで見る不定期出荷企業と物流コスト

某大手運送会社の試算によると、同一エリア・同一荷姿・同一ロットの企業A(定期出荷)と企業B(不定期・突発出荷)を比較した場合、B社は概ね30~50%以上の割増運賃を請求されています。

また、物流会社への突発便発注が年間20回を超える企業では、その分だけ年間コストが数百万円単位で上乗せされているケースも珍しくありません。

これは「一度だけのスポット値上げ」ではなく、継続的な割増となり、次第に契約運賃自体の底上げへとつながります。

なぜ不定期出荷が「高値の常態化」を招くのか

ドライバー不足と「選ばれる荷主」化の進行

2024年問題の本質は、ドライバーの労働時間規制と高齢化、そして新規参入の減少による人手不足です。

物流会社は今や「仕事を選ぶ時代」となり、無計画・突発・不明瞭な依頼を繰り返す荷主は後回しにされる傾向が強まっています。

安定受注をくれる企業=「選ばれる荷主」こそ、値上げ幅の抑制や共同配送・積込み時間融通など様々な恩恵を受けられるのです。

逆に、不定期で温度感の低い企業は「リスク・コストが高い荷主」というラベルを貼られやすく、値上げ交渉でも後手に回らざるを得ません。

生産計画・需給予測との密接な連動性

不定期出荷の企業には、製造現場での「受注生産やJITに頼りすぎ」「在庫圧縮優先」などの事情が多く見られます。

ですが、真のJIT(ジャストインタイム)は「サプライチェーン全体での安定計画」があってこそ機能します。

需要予測や発注計画が甘い=生産→出荷指示→物流調整までがドミノ式に突発・変動となり、それが丸ごと輸送会社の現場コストとして跳ね返ってくる構造です。

「社内の効率化」が「社外コストの増大」へと表裏一体で生じやすく、トータルでは経営損失を招いているケースが多いのです。

バイヤー視点で押さえておきたい「輸送費と出荷安定化」

バイヤーが知るべき物流現場の本音

サプライヤーの立場では「値下げ要求」「短納期対応」ばかりがバイヤーとの交渉材料になりがちです。

しかし近年の物流現場は、「単なる価格」ではなく「計画性・予測性・安定性」こそ最大の魅力となっています。

バイヤーがサプライヤーに対し、過度な小口・短納期発注や不定期依頼を繰り返すほど、結果的には自分たちへの仕入れ価格上昇=調達コスト増に直結します。

「メーカーの柔軟さ」だけに頼る古い発想から、「いかに全体最適で運用できるか」を常に逆算して考える必要があります。

発注計画と物流安定化の「協調関係」

理想的には、バイヤーとサプライヤーが月次・週次の安定発注(ロール発注)に合意し、物流側ではトラックの定期便・混載便・共配便などを最大限活用できる状態が望ましいです。

このような「協調型サプライチェーン」は、突発需要や季節変動への備えをしつつも、最低限の計画性・定期性を確保し、物流コスト面の交渉も有利に進められます。

現代ではEDIやIoTツールによるリアルタイム需給連携も現実化しつつあり、「今までのアナログ的発注体制」からの脱却も迫られる時代です。

サプライヤーが押さえるべき「選ばれる取引先」の条件

輸送会社から信頼される受発注管理王道

サプライヤー側からみても、「突発出荷が多いから仕方がない」で終わるのではなく、次の3つを徹底すれば、輸送費削減に大きな効果を発揮します。

1つ目は「出荷スケジュールの見える化・前倒し連絡」です。
2つ目は「納入週・曜日・数量などの平準化努力」です。
3つ目は「繁忙期・閑散期の情報共有によるトラック需要の平滑化」です。

物流会社は「予測と準備」が最大の武器であり、その情報をいち早く開示できる取引先ほど信頼が高まります。

強い信頼関係は値上げ要求の抑止やスポット便優先手配など、目に見えないメリットをもたらしてくれます。

昭和の現場文化からの「イノベーション」

多くの製造業現場では未だに「帳票紙伝票」「電話による現場出荷指示」「手渡し納品」など、昭和から続く“職人芸”が色濃く残っています。

しかし時代は、DX化やSCM全体最適化へと急速にシフトしています。
「昔ながらのやり方」をルーティンとせず、IT投資や業務プロセス改革に挑戦する勇気が今後はより問われてきます。

一方で、現場力や臨機応変さも完全に消す必要はありません。
重要なのは「アナログの強み」と「デジタルの効率」をハイブリッドで組み合わせることです。

出荷安定化の工夫と現場改善を、物流会社・取引先と一体感を持って実現できる会社こそ、長期的な競争力を保持できます。

まとめ:出荷安定化こそが物流コスト抑制の最大戦略

不定期出荷を続ける企業ほど、結果的に高い物流コストを強いられます。

その背景には、物流現場の人手不足や計画運行の重要性があり、いまや「選ばれる荷主」「選ばれる取引先」としての姿勢が、価格以上の影響を及ぼしています。

2024年問題のような業界潮流に対応するためにも、発注・生産・出荷・輸送が一体化した「サプライチェーン全体最適化」に向けた取り組みが不可欠です。

昭和~アナログ文化からの脱却と、現場力・柔軟性を活かした新しい体制づくりを目指すこと。
それが、製造業全体としての持続的発展と、物流コスト競争力強化の鍵となっていくことは間違いありません。

バイヤー・サプライヤー双方にとっての新しいパートナーシップ構築のヒントとして、ぜひ現場からの実践を進めてください。

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