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MAとCRMを連携したのにリードが育たない理由

目次
はじめに:なぜMAとCRMを連携してもリードが育たないのか?
MA(マーケティングオートメーション)とCRM(顧客関係管理システム)の連携は、多くの製造業でも導入が進んでいます。
デジタル化や自動化の波が押し寄せる中、従来の昭和的な人脈営業や電話・FAX中心の受発注管理をアップデートしようという狙いがあります。
しかし、せっかく両システムを連携したのに「見込み客(リード)が育たない」「案件化に至らない」と悩む声が現場から多く聞こえます。
この課題は製造業に特有の業界文化や、現場での運用に根深い原因が隠れています。
ここでは、20年以上の製造業・工場現場・管理職経験から、現場目線と業界の独自事情を踏まえ、MAやCRM連携でリードが育たない本質的な理由と、実際に“使える”改善アプローチを解き明かします。
製造業におけるMA・CRM連携の現状と期待
デジタルマーケティング投資の急増
最近は多くの製造業でWebサイト刷新、MAやCRM導入に積極的な投資を行っています。
企業規模を問わず「リードジェネレーション」「真のリード育成」「省力化によるコスト削減」などを掲げ、IT部門やマーケ部門主導で施策を進める企業も増えました。
「導入=成果」という誤解
一方、「MAとCRMさえ連携すれば自動的にリードが熟成し受注につながる」――そんな誤解も根強く見受けられます。
実際は、導入して1年経っても“質の高いリードは増えない”“営業現場は活用しない”という壁にぶつかる企業が後を絶ちません。
リードが育たない7つの“根本原因”
1. 製造業特有の「顧客プロファイル」設計が曖昧
MAやCRMツールは、元来BtoCやITサービスなど変化の速い業界で使われ始めました。
製造業特有の「購買意思決定の組織構造」「長期的な導入検討プロセス」「技術・仕様重視の選定基準」は独自性が高いにも関わらず、テンプレ的に導入してしまい、ターゲット顧客像が不明瞭になりがちです。
営業現場や技術部門で蓄積されてきた顧客データを棚卸し、本当に案件化するリードの“組織”や“役職”まで深掘りしてプロファイルを再設計しない限り、システムでスコアリングされるリードが「現場の感覚とかけ離れる」状態となります。
2. 「リード情報の一元化」が絵に描いた餅になっている
顧客接点の多くはいまだ「展示会名刺」「人脈紹介」「電話問い合わせ」などアナログチャネルが主流です。
こうした情報を誰が、どのタイミングで、どんな粒度でデジタルシステムに入力するかのルールが曖昧だと、せっかくのMA・CRMも「古い名刺ボックス」の延長に終わります。
“抜け漏れ”や“重複登録”が発生し、信頼できるリードデータが得られません。
3. コンテンツ戦略に業界の“リアル”が足りない
「ホワイトペーパー」「ウェビナー」「技術ブログ」といったMA連携用のコンテンツは増えていますが、その多くが“汎用的”または“どこかで聞いた話”にとどまりがちです。
購買担当、技術者、経営層など多層的な製造業顧客の“リアルな悩み”―例:生産現場での設備ダウンタイム削減・原材料の調達安定化・コストダウンなど―に刺さるナレッジや、ベテラン現場目線の体験談がコンテンツ設計に反映されていないため、リード化してもすぐ失速してしまいます。
4. 現場の営業部門とマーケ部門の“壁”が大きい
マーケ部門はデータをもとに「このリードはホットだ」と判断しても、現場の営業から「本当に案件になるの?」「このタイミングで連絡していいの?」と疑念視されたままリードの受け渡しが形骸化します。
また、営業現場が“足で稼ぐ”旧来型を重視していると「MAやCRMは現場には役立たない」と受け止められ、現場の動きを変えられません。
5. リード“定義”が統一されていない
「リード」とは具体的にどんな状態なのか、「案件」とはどこからどこまでを指すのかといった共通言語がない組織も多いです。
現場では「名刺交換しただけでリードと呼ぶのは違和感がある」「課題感が見えた状態だけをリードと呼びたい」など、定義があやふやなままでは全社横断したリード育成が進みません。
6. MA・CRMの“スコア設計”が属人的
メール開封やWeb閲覧などの行動に点数をつけてリードの育成度を判定する「スコアリング機能」も、製造業では有効なパターンが他業界と大きく違うことが多いです。
例として
・現場エンジニアが上司に勧められて一時的に資料請求→温度は実は低い
・技術仕様書のダウンロードは複数名で行うが、実際の購買担当者は別
など、行動指標だけに頼るとリード育成度の実態を取りこぼしやすいです。
7. 「導入して終わり」の運用体制
MAもCRMも、運用しながら現場で課題を洗い出し、定期的なチューニングが不可欠なツールです。
しかし、導入プロジェクトが区切りとなり「現場がどう使っているか」「どんなデータに基づきリードが案件化しているか」の定期レビューや改善会議が形骸化しやすいです。
結果、リード育成施策が継続的にアップデートされません。
製造業が現場目線で打つべき“5つの実践策”
1. モデルケースとなる「勝ち案件」の逆引き分析
過去に実際受注した案件を3〜5件、営業・技術・購買担当者までヒアリングし「どういう経緯や情報接点で案件化したか」を一つひとつ逆引きしましょう。
・どんな役職が、どんな時点で、どんな悩みを持っていたか
・当社を選んだ決め手、情報ソースは何か
・案件化までに何回・どんな資料や提案を交わしたか
この“案件逆引きストーリー”をMAやCRMに落とし込むことで、システム登録するリードプロファイルや“育成のシナリオ”がリアルに設計できます。
2. アナログ情報を“資産化する”入力ルール構築
展示会名刺や電話・紹介など、現場に根付いた顧客接点情報を「誰が・何を・いつ・どのように」システム入力するかまで明文化し、日報や朝会など“現場で強く定着させる”仕組みを作りましょう。
たとえば「展示会後3日以内に名刺はCRM登録し、A4シートで要点メモを添付」など現実的な運用ルールと評価指標を導入することが重要です。
これにより、見込み顧客情報の一元管理レベルが格段に上がります。
3. コンテンツは「現場大先輩の知恵」と「購買現場の悩み」に寄せる
例えば「不適合品が納入された場合、購買担当は何に困るか」「この工場ラインに新装置を導入した現場作業者の声」など、汎用的なトレンド記事より“リアルな現場エピソード”を積極的に組み込むと刺さりやすくなります。
信頼を生み、リードとのコミュニケーションが続くコンテンツを増やせば、案件化への道を大幅に近づけられます。
4. マーケと営業の「案件化検証ミーティング」を月次で実施
マーケティング部門から営業部門へリードを渡した後に、毎月必ず振り返り会議を設け「どのリードが案件化したか・できなかったか」「顧客の反応や課題はどう変化したか」をフィードバックしましょう。
これにより、リードの定義やスコアリング項目も“現場の手応え”に即した改善がスムーズに進みます。
5. スコア基準は「現場ストーリー」とセットで見直す
メール開封や資料請求などのデジタル行動も参考にしつつ、「現場ヒアリング」「購買の意向有無」「技術的課題の有無」「上層部との接点」といった、システム外にある“案件化に効くリアルな行動指標”もスコア設計に取り入れましょう。
MA・CRMはあくまで現場の知恵を“効率的に運用・資産化”するツールであり、本当にリードが“熟成するストーリー”を現場と伴走して設計・改善し続けることが成功の鍵です。
まとめ:デジタルも現場力も“地続き”で動かそう
製造業におけるMAとCRM連携の本質は、システムやツールの導入だけでなく、現場に眠る“生きた知見”をどうやってデジタルへ翻訳し、組織としてナレッジに昇華できるかが勝負です。
・「部門の壁」を越え、案件化までのリアルな“成功パターン”を集める
・アナログな情報こそ“資産”として一元化
・コンテンツも“現場目線や購買担当の本音”を徹底する
・月次の振り返りで“育成施策”を継続的に見直す
この“地続きのプロセス改革”こそ、MAとCRM連携を「リードが本当に育つ仕組み」に変える唯一の道です。
製造業が昭和の成功体験から抜け出し、デジタル時代にふさわしい現場主導型のビジネスモデルを築くために、多くの現場スタッフ・管理職の皆さんが現実的な一歩を踏み出すことを願っています。