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投稿日:2026年1月22日

日用品の量産コストダウンで物流コストが見落とされる理由

はじめに:量産コストダウンと物流コストの関係性

製造業において、日用品の量産コストダウンは永遠のテーマです。

原材料費や人件費、設備投資といった直接製造費は、経営層や現場の購買担当者、生産管理担当が最優先で取り組むコストダウンポイントです。

しかし、意外と見落とされがちなコストがあります。

それが「物流コスト」です。

本記事では、なぜ日用品の量産コストダウンで物流コストが見過ごされやすいのか、現場経験から得た知見を交えながら深掘りします。

また、アナログ的な業界慣習や現場の視点、今後の新しい取り組みについても考察し、製造業界の発展・変革に貢献したいと思います。

量産コストダウンの現場で注目されるポイント

コストダウン活動の“王道”領域

量産品のコストダウンプロジェクトが立ち上がると、真っ先に議論になる項目は以下の3つです。

– 原材料・部材コストの削減
– 作業工数(人件費)の削減
– 生産設備の効率化や合理化

日用品だからこそ、需要予測に基づく大量調達が容易で、サプライヤーも長年付き合いのある企業が多い。

調達・購買部門は取引実績を武器に価格交渉を行い、場合によっては複数社から相見積もりを取り入れコスト競争を起こします。

一方、生産現場では、手順見直しや自動化投資による工数削減、ラインレイアウトの刷新などが定番施策。

業界用語で「工場会議」と呼ばれるプロジェクト会議では、これら数値を根拠に企画側と現場側で活発なディスカッションが繰り広げられます。

なぜ物流コストが“脇役”になるのか

このような現場の動きを見ていると、物流コストについては「あとでまとめて確認しよう」「今回の対象外だよね」と議論から外される場面が本当に多いのが実情です。

物流コストは製造現場の管轄ではなく、購買やロジスティクス部門の担当として分業されていることが多いため、コストダウン施策検討の初期フェーズから“脇役”扱いされやすいのです。

また、物流コストは明確に「指標化」しにくいという側面もあります。

製造原価に占める物流費の絶対額は、材料費や人件費に比べると小さく見え、さらに「一律物流費」や「月次平均値」として処理されていることが多いため、詳細分析のきっかけが生まれにくいのです。

物流コストの内訳と盲点

見えにくい「物流の壁」

物流コストは、単純な運賃だけではありません。

典型的な費目を挙げると、

– 輸送費(トラック、鉄道、船舶など)
– 梱包資材費
– 荷役費(積み下ろし、保管、在庫管理)
– 流通加工費(ラベリングやセット作業)
– 倉庫費用(長期保管やデバンニング)

量産体制に切り替える際に、パレット1枚あたりの積載量、現地倉庫の回転率、配送距離・頻度、納品ロットなどが変動します。

しかし、これらの要素がコストダウン検討プロジェクト内で明確に認識され、データとして扱われるケースは決して多くありません。

理由の一つには、現場ですぐに測定・試算できる「原材料コスト」や「人件費」に比べ、物流コストは会社全体で集計されているため、担当レベルでは「自分ごと」になり難いという点があります。

アナログ的業界慣習が生み出す“盲点”

物流に関しては昭和から続く「配送ルートの慣例」や「固定の協力運送会社」、さらには「パレット単位や台車単位での運用」に頼る会社が今なお多いのが現状です。

現場では「いまのやり方が一番安全」「トラブルが嫌だから変えられない」といった心理が根強く、物流コストの見直しが後回しにされがちです。

また、「荷待ち時間」や「帰り便の空車問題」「小口多頻度納品の非効率」といった、現場で日常的に“当たり前”とされている問題は、カイゼン活動の正式議題に上がることなく、暗黙のうちに吸収・放置されてしまいます。

こうしたアナログ業界特有の背景も、物流コストが見えにくくなり、量産コストダウンの議論から外されやすくなる大きな理由です。

物流コストが及ぼす“真のインパクト”

ロットサイズと納品頻度が生み出すコスト増加

量産化が進むと、どうしても「生産バッチの大型化」「一度にまとめて納品」の発想になりがちです。

しかし、これは物流側では“スペース不足”や“過剰在庫リスク”につながります。

たとえば1日200箱生産して週1回まとめて納品する場合、運送便は大型化できますが、顧客(小売店や流通センター)で一時的な荷降ろしスペースや保管スペース確保が必要となり、見えにくい物流コストや作業負担が発生します。

これが、納入先から「納品頻度を増やしてほしい」「一度に入れないと困る」など相反する要望につながり、結局は「物流担当部門に丸投げ」されるケースも珍しくありません。

多品種化・小口配送への対応コスト

消費者ニーズの多様化に伴い、日用品業界でもSKU(品番)は増える一方です。

1トラック満載の単品大量輸送から、小口で多品種を頻繁に移動させる物流へとパラダイムシフトが進んでいます。

この流れに製造現場や購買部門がうまく対応せずに従来型の「ロットメリット」志向のまま量産コストダウンを優先すると、本来は見逃してはならない物流コストの爆発的増加を招くことになります。

バイヤーが物流コストを正しく意識するために

サプライヤー視点で考える物流コストの本質

サプライヤーはしばしば価格競争に追われます。

価格で選ばれるため、つい目先の“材料費圧縮”や“工賃値下げ”だけに目が行きます。

しかし、サプライヤーが生き残るためには、製品価格の枠内だけでなく、総合的な取引コスト=TCO(トータルコストオブオーナーシップ)を意識し、「物流の効率化提案」や「納品形態の最適化」といった付加価値提案を行う必要があります。

一方、バイヤー(調達購買部門)の側も、自社の物流コストの現状を正しく把握し、「サプライヤーが納入ロットや配送形態をどのように管理しているか」を自分ごととして受け止める必要があります。

サプライヤー・バイヤー双方の知恵と協力によって、初めて“真のコストダウン”が実現するのです。

購買・生産・物流の「三位一体」で検討を

量産コストダウンの取り組みを成功させるには、購買部門・生産管理部門・物流部門の早期連携が不可欠です。

物流を“最後の調整役”とせず、最初からプロジェクトメンバーにアサインすることで、「作りやすさ」「運びやすさ」「届けやすさ」のバランスが取れた生産・物流体制を実現できます。

部門横断で「現場の声」を反映した上で、受発注ロットや在庫ポイント、納品スケジュールを設計し直しましょう。

このラテラルシンキング(水平思考)が、今後の製造業競争力を高める最大のポイントになります。

未来志向の物流コスト削減アプローチ

デジタル化と物流コストの見える化

従来の“現場感覚”“経験と勘”だけに頼らず、物流コストも正確にデータドリブンで可視化する時代に突入しています。

– WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)の導入
– モーダルシフト(鉄道や船舶活用)による運賃削減
– 物流可視化ツールでコスト構造を分解
– 伝統的な慣習を見直す形でのカイゼン文化の醸成

これらの取り組みを通じて、業界全体の“物流コスト構造”に一石を投じる必要があります。

持続可能なロジスティクス改革とは

地球環境に優しい「CO2排出量低減」「最適輸送ルートの選定」「共同配送」など、時代の要請にあったロジスティクス改革がこれからますます重要になります。

生産現場で出る段ボールやパレットなど物流資材のリユース、再利用もこれからの常識です。

量産コストダウンと同時に、サプライチェーン全体の効率化と社会的責任を両立させる新しい視点を持つことこそが、これからの日用品メーカー・バイヤーの付加価値となるでしょう。

まとめ:現場目線で物流コストにこだわる理由

日用品の量産コストダウンは、原材料や人件費だけでは成り立ちません。

“物流コストを見逃さない”という現場の感度こそが、真の総合コストダウン・企業競争力向上の鍵となります。

サプライヤーもバイヤーも、経験や慣習に捉われず、現場と一体となって物流コストを「見える化」「議論化」「最適化」する。

これがアナログ業界から一歩抜け出し、時代の変化に強いモノづくり体制を作るために必要なマインドセットです。

今こそ、全社一丸で“物流改革”という新たな地平線を切り開きましょう。

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