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投稿日:2025年12月10日

長距離輸送のコスト上昇が止まらない本当の理由

はじめに――長距離輸送を取り巻く環境変化

昨今、製造業に携わる方やサプライヤー、バイヤーの皆様の間で「長距離輸送コストの上昇」が大きな関心事となっています。

かつては国内外の拠点間も、比較的安定した費用で商品や原材料を動かせていました。

しかし、今やコスト上昇は止まることなく、現場の経営課題になっています。

長距離輸送の現場では何が起きているのか、なぜコストが高止まりするのか。

現場で20年以上向きあってきた視点を交えて、分かりやすく深掘りしていきます。

ドライバー不足と「2024年問題」

何が「2024年問題」か

2024年、働き方改革関連法のトラックドライバーへの適用が始まりました。

時間外労働の上限規制が加わり、長時間の走行が制約されました。

これにより、これまで1人のドライバーがこなしていた長距離輸送も、途中で交代や中継拠点を増やさざるを得なくなっています。

この現実が、コストアップの最も大きな要因です。

担い手不足の深刻化

ドライバーの平均年齢は50歳を超え、若手の新規参入は低調です。

給与や労働環境の課題が山積し、結果的に企業は高い給料を払ってでもドライバー確保に走っています。

つまり、構造的な人手不足が価格に跳ね返る構図です。

物流会社の合従連衡と運賃高騰

かつては小規模運送業者が乱立していた輸送業界も、近年は統合・淘汰が加速。

生き残る大手企業は、自社の利益確保のため適切な運賃引き上げを積極的に実施しています。

これまで以上に、安価な輸送サービスの確保が難しくなっているのです。

燃料費高騰と環境規制のダブルパンチ

ガソリン・軽油価格の乱高下

国際情勢の影響で、ガソリンや軽油などのエネルギー価格が常に高止まりしています。

サプライチェーンはグローバル化が進み、海外依存度も急増。

為替の変動も加わり、燃料費は安定しにくい状況にあります。

CO2削減要求によるコスト圧力

世界的な「脱炭素」潮流を受け、運送業界も低燃費車やEVトラックへの入れ替えが進んでいます。

しかし、これらの車両は初期投資やメンテナンス費用が高額。

運送会社側の負担増は、運賃価格に反映される傾向にあります。

アナログ管理が根強い「昭和型」現場の限界

配送計画や積み込みの属人化

本来であれば、ITシステムによる最適配車、自動積み込みなど効率化は進むはずです。

しかし、依然として「ベテランの勘」に頼る場面が多く、非効率な体制が残っています。

この非効率さが、コスト増加に拍車をかけています。

紙文化・電話連絡が残るサプライチェーン

工場や物流現場では、まだまだFAXや紙の伝票、電話による連絡が主流です。

リアルタイムな状況把握や迅速な計画変更が難しく、機会損失や無駄な待機時間が発生。

これもまた、輸送コストの隠れた「見えないコスト」なのです。

工場自動化と物流のミスマッチ

スマート工場と「待ち時間」の矛盾

工場自動化(FA/IoT)で生産効率が格段に向上する一方、その成果を運ぶ物流との連携が追い付いていません。

「工場は作れど、トラックが来ない」「荷待ちでラインストップ」など、部分最適の歪みが現場を苦しめています。

倉庫不足と変則的な輸送ルートの増加

物流拠点や中継基地が不足し、無駄な遠回りや複雑な配送ルートが常態化。

結果、単純な物流距離以上にコストが乗ってくるケースも珍しくありません。

サプライヤー・バイヤー双方が知るべき「コスト上昇トリガー」

交渉カードとしての情報力が重要に

かつての「値切り交渉」は、物流を知らないまま価格だけを下げさせれば良かった時代でした。

しかし現在は、輸送側にも値上げポイントが明確にあり、一方的な値下げ要求は通じません。

サプライヤー・バイヤー双方が、物流事情を現場レベルで知るほど、WIn-Winの関係が築けるのです。

「荷物を運ぶ」以上の付加価値がコストに乗る

温度管理やリードタイム短縮、多頻度納品など多様化する要求は、新たなシステム投資や人員配置につながります。

単に運ぶだけでない要素(監視体制、IoT管理、オペレーション効率化)まで、コスト項目として考慮しなければなりません。

これからの製造業が取るべき対策とは

物流の「見える化」とKPI管理

先進的な企業は、物流の各プロセスにKPI(重要業績指標)を設定し、システムで見える化を推進しています。

自社の物流費用構造を正確に把握し、社内外と透明な情報交換を行う姿勢が今、求められています。

共同配送やモーダルシフトの活用

コスト削減の有効策に、異業種や複数メーカーで共同配送する動きが広がっています。

また、鉄道や船舶を活用し、長距離部分はトラック以外に頼る「モーダルシフト」を組み合わせることで、効率とコストを両立する取り組みも始まっています。

現場の「泥臭い改善力」こそ武器

どんなに技術が進歩しても、現場で毎日小さな改善を積み上げる力は不変の価値です。

例えば、パレットサイズの統一や積載率向上、荷待ち時間の削減など、地道なカイゼンがコストを左右します。

DXやシステム導入は、その「泥臭い賢さ」とセットで本領を発揮します。

まとめ――「運ぶ」だけでは済まされない時代へ

長距離輸送のコスト上昇の本当の理由は、単なる運賃上昇だけでは語り切れません。

「人」、すなわちドライバー不足や高齢化。

「物」、すなわち燃料費・設備投資。

「仕組み」、すなわちアナログな管理や工程間ギャップ。

これらが複雑に絡み合い、もはや昭和型アプローチでは対応できないレベルに達しています。

今こそ、バイヤーもサプライヤーも「運ぶ現場」に目を向け、真の原因に気付き、共に最適解を模索すべき時です。

あなたの「物流を見る目」が変われば、製造業の未来もきっと変わるはずです。

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