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投稿日:2026年1月31日

日用品の量産コストダウンで材料歩留まりが注目されない理由

はじめに:なぜ「材料歩留まり」は量産コストダウン議論で表に出ないのか

量産品を扱う製造現場において、コストダウンは永遠のテーマです。

人件費削減、工程自動化、サプライヤー交渉など、多くの施策が検討・実施されてきました。

しかし、その議論の中で「材料歩留まり(ぶどまり)」がクローズアップされることは意外にも少ないものです。

なぜ材料歩留まりは、コストダウンの主役になりにくいのでしょうか。

現場経験が長い立場から、実践的な視点で紐解いていきます。

材料歩留まりとは:基本からおさらい

材料歩留まりとは、投入した原材料が最終製品にどれだけ効率よく使われているかを示す指標です。

例えばプラスチック成形なら、金型内に流した樹脂のうち、製品そのものになった分を歩留まりとします。

ランナーやゲートと呼ばれる不要部分が多ければ歩留まりが低下します。

金属加工なら丸材・板材の「切粉」や「端材」が歩留まり低下の原因です。

生地裁断や包装材についても“捨てる部分”は必ず発生します。

材料歩留まり向上=「素材を無駄なく使う」ことなので、単純に考えれば原価低減に直結するはずです。

コストダウン議論で材料歩留まりが後回しになる理由

1. 設計自由度・変更難易度が高い

量産現場では一度決まった図面や工程を大きく変えることは非常にハードルが高いです。

材料歩留まりを大幅に改善するには、製品設計・金型・工具形状・工程設計自体を見直す必要があることもしばしばです。

これらは即効性がなく、多部門調整や投資判断も伴います。

そのため「今すぐできるコストダウン」としては敬遠されがちです。

2. 材料原価の占める割合が低い

日用品や雑貨の量産品では、一般に材料費の構成比が人件費・間接経費・加工費に比してそれほど高くありません。

極端な例ですが、海外生産/自動化の流れで、実は切削ロスや樹脂ランナー以上に「物流・管理コスト」がコスト圧縮のボトルネックになっていることも多いものです。

このため、購買や生産管理の現場でも「歩留まりより安価なサプライヤー探索」「工程集約や自動化」のほうが優先されます。

3. 測定・評価が地味で定着しにくい

材料歩留まりの正確な測定は、現場レベルでは非常に面倒です。

在庫差異やスクラップの回収ミス、ロットごとの検証体制など、運用面での煩雑さが壁になります。

一方、人件費や電気代の削減は即数値化できる上、目に見えてわかりやすいです。

この“地味さ”が理由で、優先度が低くなりがちです。

業界が「昭和」から脱却できない深い理由

業界特有の惰性とサプライチェーン意識の薄さ

日本の製造業界、特に日用品の分野は“昭和型”の業界慣行が色濃く残っています。

工程や部門ごとに「自分の守備範囲」での最適化は進みますが、サプライチェーン全体でムダを削減しようという動きはまだまだ弱いです。

歩留まり改善には設計者・製造部門・原材料調達担当が一体となる必要があります。

でも「担当部門の壁」「手戻り不可の文化」「暗黙の合意による現状維持」といった雰囲気が、横断的な改善活動を難しくしています。

技術的チャレンジより“交渉やリードタイム短縮”に注目が集まる

サプライヤーにコストダウンを要求する際、歩留まり改善よりカンタンに依頼できるのが「価格値下げ」「発注ロットの大口化」「納期短縮」などの表層的な条件です。

実際、調達現場では「競争入札」や「他社比較」で手っ取り早い成果を出しやすいからです。

結果として 本質的な技術革新(歩留まり向上)より、表面的な数字合わせや過剰な安売り競争が横行しているのです。

現場目線での歩留まり改善アプローチ

サプライヤーとの共創:図面改善から手をつける

日用品の量産コストダウンでは、まず設計段階で「材料取り代」「端材部分」を徹底的に最小化できないかを顧客・サプライヤーと協議することが重要です。

例えば、「金型のバネ位置やゲート設計を微調整し、ランナー長を短縮」「板取りの最適化で端材を他製品に活用」など、設計者と現場担当の知恵が合わされば、少額でも大きな累積効果が得られるケースは多数あります。

工程改善:現場内のムダ発見を推進

現場でのムダ削減活動(いわゆるKAIZEN)は、歩留まり向上にも直結します。

特にプレスや射出成形では、「交換できる芯・ピンの長寿命化」「材料ロスの分析」「標準作業の定着」など、小さな積み上げがボディブローのように効いてきます。

定期的に材料使用量・ロス量の実績把握を行い、社内で「材料一単位あたりの総コスト」を可視化する工夫が求められます。

材料ベンダーとの共同開発による革新

最近では材料メーカーと自社間で「仕様材料の標準化」「新素材導入」「ユーザー目線での規格見直し」などのコラボレーションが進みつつあります。

業界の“暗黙の基準”に縛られすぎず、新しい切り口で材料ロスを減らせないかサプライチェーン全体で議論することも、コスト構造を変革するカギになるでしょう。

バイヤー・調達担当が知っておくべき歩留まりの真実

「極端なコストダウン交渉」は歩留まり悪化を招くリスクも

安易な単価引き下げ要求や、不適切なロット縮小は、サプライヤー側での生産効率や材料歩留まりの悪化を引き起こす原因となります。

結果的に品質トラブルや納期遅延のリスクが上昇する場合もあるので、目先の購買コストばかりに目を奪われてはいけません。

購買担当者こそ、材料歩留まりという“現場の指標”を理解し、サプライヤーとWin-Winの関係を築くことが持続的なコストダウンにつながります。

「横展開」より「現場起点の改善」がカギ

本社主導の“横展開”施策も重要ですが、最終的には各現場に根差した改善活動が歩留まりを大きく左右します。

定期的な現場訪問やヒアリングを行い、現業担当者の意見を直接くみ取る文化作りが大切です。

将来の「量産コストダウン」戦略に向けて

これからの製造現場を考える際、単なる材料費削減だけでなく
「製品ライフサイクル全体」や「アフターマーケット」の視点での歩留まり向上もますます重要となります。

またAI・IoTの進展によって、リアルタイムで材料ロスを可視化・分析し、さらなる最適化が図れる時代となってきています。

現場力・技術力に加え、歩留まり=「全体最適」の視点を持つことが、日本の製造業が世界で戦い抜くための新たな地平線になると断言できます。

まとめ:今こそ材料歩留まりを企業価値向上の柱に

材料歩留まりは決して地味な指標ではありません。

サプライチェーン全体で協働し、現場主義の徹底と新しい発想によるコミュニケーションでムダを削り出すことは、持続的なコスト競争力の源泉となります。

令和の時代になっても残る昭和型の“惰性”を打ち破り、材料歩留まり改善を真のコストダウン活動へと昇華させましょう。

バイヤー・サプライヤー・現場すべての立場で、“真の改善”に一歩踏み出すことを、私自身も現場経験者として強くおすすめします。

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