投稿日:2025年12月12日

品質保証が現場に常駐した方がトラブルが減る理由

はじめに:なぜ今「品質保証の現場常駐」が求められているのか

製造業の現場では、不良品の発生や顧客クレーム、納期遅延といったトラブルがつきものです。

昭和から平成、さらには令和へと時代が進むなかで、工場の自動化やデジタル化は進展しているはずなのに、依然としてアナログな雰囲気や属人的な業務が強く残っています。

その一因として「品質保証部門が現場から離れた存在」という業界構造が挙げられます。

本記事では、大手製造業で現場管理職と品質保証部門双方の目線を経験した立場から、「品質保証が現場に常駐した方がトラブルが減る理由」と、その実践的な意義について深掘りします。

バイヤーを目指す方やサプライヤーの皆さんも、きっとヒントが見つかるはずです。

現場と品質保証の”距離”が生み出すさまざまな問題

よくある現場と品質保証の分断

多くの日本企業では、品質保証部門は「工場敷地内にいても別棟」「オフィスワーカー扱い」「現場との接触は不良品や問題が発生してから」といった状況が珍しくありません。

これにより、次のような弊害が発生します。

– 現場の工程改善や作業の実態を把握しきれない
– 細かな兆候(ヒヤリ・ハット)を見逃しやすい
– 品質トラブルの初動が遅れる/対策が後手になる
– 「品質保証はお客様の盾」として現場と対立構造になりやすい

こうした分断は、特に高精度、高信頼性を求められるBtoB製造業、サプライヤー現場に根強く残ります。

昭和流マネジメントの功罪

「この道30年、現場のことは俺に任せろ」といった昭和世代の現場リーダーは、職人力や属人的勘で品質を維持してきました。

一方で、体系的なデータ収集や可視化は苦手で、「なぜ同じミスが再発するのか」への根本的な対応が先送りになりがちです。

現場と品質保証の距離がある限り、問題が表面化しづらく、トラブルの早期発見・早期改善が難しくなります。

品質保証が現場常駐することで得られる4つのメリット

1. 目で見て、手で触れて分かる「現場感覚」

現場に常駐することで、品質保証担当は5感で製造過程を把握できます。

製造ラインの「違和感」や「微妙な変化」は、書面の報告や数値データだけでなく、実際に現場に入ることで初めて気付ける場合が多いです。

例:普段は聞かない機械の異音、いつもより重そうにしている作業員、不自然に溜まる半端材など

こうした観察が、トラブル予防の大きな手掛かりとなります。

2. 作業者とのコミュニケーション頻度が上がる

品質保証担当が定期的に現場へ行き、気軽に話しかけられる存在になれば、作業者から「最近こんな現象がありました」「設備が少しおかしいかもしれない」といった”生きた情報”が集まります。

現場のベテランも、顔の見える付き合いであれば「変なプライド」や壁を取り払い、率直に相談できるようになります。

これにより、潜在的な不具合や改善点の発掘→迅速な対策が可能となります。

3. 異常の初期段階で発見・対応できる

多くの重大クレームや品質事故は、ちょっとしたミスや見過ごされた異常から大きくなっていきます。

現場で品質保証担当が「これはおかしい」と迅速に気付き、現物を確認し、即座に現場責任者とディスカッションできれば、重大な品質トラブルへの発展を予防できます。

特に、工程監査・パトロール時に「なぜ」「どうして」といった根本原因をヒアリングする姿勢が重要です。

4. 見える化・標準化の推進役になれる

現場常駐の品質保証担当は、作業標準や帳票の形骸化に気付きやすくなります。

実際の作業とマニュアルの乖離を肌で感じられるため、「この工程は手順が守られていない」「現実と違う規定がある」といったことをリアルタイムで抽出できます。

デジタル化・自動化が進む今こそ、現場感覚に裏打ちされた標準化・見える化が、効率的でトラブルの少ない現場づくりに直結します。

現場常駐で発展するシナジー:バイヤー・サプライヤーのwin-winにも直結

取引先への信頼性強化の源泉

大手メーカーをはじめ、多くのバイヤーがサプライヤーに求めているのは「安定した品質と納期」です。

現場に常駐し、緻密な品質保証体制を日常的に構築しているサプライヤーは、こうした信頼を獲得しやすくなります。

「不具合が起きても迅速に是正」「再発防止の仕組みが現場レベルで機能している」と評価されれば、取引拡大や優先的な選定にもつながります。

バイヤー目線の「現場力」アップへの期待

近年はESG投資やSDGsの観点もあり、バイヤー側はサプライヤー現場の実態をより注視しています。

品質保証担当の現場常駐は―

– トレーサビリティ体制の確立
– 労働安全・環境コンプライアンスの徹底
– 未然防止型の品質管理

―といった点でバイヤーの要望に直結しています。

調達担当としては、表面上の帳票ではなく、実態に即した現場改善や生産性向上の動きを重視しており、これは現場密着でしか見えてきません。

現場常駐を継続するために必要な条件・具体策

1. 組織的な後押し/仕組みづくり

”個人の頑張り”に依存しがちな日本企業ですが、品質保証担当が現場に「居てもおかしなことではない」という空気・制度設計が不可欠です。

– 定期的な現場パトロールの社内ルール化
– 現場要員との定例ミーティング設定
– 現場常駐のローテーション制導入

こうした仕組みの整備が必須です。

2. 品質保証担当に必要なスキルとは

現場常駐に求められるのは「データ・理論だけ」の知識ではありません。

– 作業者と円滑にコミュニケーションする傾聴力・共感力
– 現場で一緒に汗をかくフットワークの軽さ
– ”なぜ”を突き詰める問題解決志向

このようなスキルセットが、現場に根付く品質文化のキープレイヤーとなります。

3. デジタルとアナログの良い融合を

ペーパーレス化やIoTが進み、帳票の自動集約やデータ解析ツールも普及してきました。

しかし、どれだけデジタル化を推進しても「現場で起きている現象の本質」は、人間の観察やダイレクトなやり取りでしか見えてきません。

– デジタルで拾えない微細な違和感は、人間の目と耳が必要
– データだけでなく現場現物”三現主義”を原則とする

このバランス感覚が、アナログ業界における品質保証の進化につながります。

現場常駐が製造業をサステナブルにする

品質保証担当が現場に常駐することは、一時的なトラブルの火消しだけでなく

– 安心・安全な職場環境の構築
– 働き甲斐のある現場づくり
– 不良品・ロス削減によるコスト競争力強化
– クレームや納期遅延の未然防止、顧客満足度向上
– サプライヤーとしてバイヤーからの信頼向上・安定受注

こうした「ものづくり企業の長期的な発展」に直結します。

特に現場目線を踏まえた品質保証体制は、AIやロボットでは代替できない日本製造業の強みです。

まとめ:現場常駐の一歩が、品質文化のダイナミックな進化につながる

昭和的な「現場は現場、品質保証は後追い」といった分断を越え、手触り感のある品質マネジメントを実現するには、まず”現場への常駐”というアクションが欠かせません。

現場を知り、現物を見て、作業者と話し、データと感覚を融合する―これがトラブル予防の一丁目一番地となります。

この記事をきっかけに、製造業に携わる皆様が「品質保証の現場常駐」という視点を現場改善の第一歩として取り入れ、より強いものづくり企業を目指していただければ幸いです。

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