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投稿日:2025年12月30日

短尺品でロールフォーミングを選ぶと失敗しやすい理由

はじめに:ロールフォーミングとは何か?

ロールフォーミングは、金属板を一連のロールの間に連続的に通すことで、目的の断面形状に成形する加工方法です。
自動車部品や建材、家電、物流機器など幅広い分野で活用されており、長尺品を大量に安定生産できる点が強みです。

一方で、短尺品への適用には、思わぬ落とし穴も存在します。
ロールフォーミングに不慣れな設計者やバイヤーが、従来工法からの単純な置き換えを狙うと、コストや品質での「失敗」を招きやすいケースが多々あります。

本記事では、長年の現場経験と業界トレンドを踏まえ、「短尺品でロールフォーミングを選ぶと失敗しやすい理由」を実践的な視点で解説します。
製造業で働く皆様が、より最適な工法選定を進めるための一助となれば幸いです。

ロールフォーミングの原理と特徴

連続成形だから得意な「長尺品」

ロールフォーミングでは、コイル材や板材をロールで少しずつ変形させながら抜け方向へ送ります。
この成形方法の最大の特徴は、
– 長さ方向の制約がほぼなく、10mを超える製品でも一様に加工可能
– 工程を連続化しやすく、量産時の生産スピード効率が高い
– 曲げ精度や形状安定性を繰り返し高く確保しやすい
という点です。

屋根材・間仕切り・レール・パイプ・サッシュなど、溝形鋼やC型鋼といった「長尺連続断面」が業界標準の用途です。

「試作数個」など短尺品では本領を発揮できない理由

ロールフォーミングは「連続大量生産」に最適化された工法です。
数十cm~2m程度の比較的短い製品かつロットが少ない用途では、
– 始まりや終わり部分で形状不良やバリが発生しやすい
– 1本毎への切断や二次加工が増えるほどコスト増
– 専用ロール金型の初期投資がもったいない
– 工場側の段取り替え負荷や歩留まり低下
などのデメリットが強く出てしまいます。

特に「試作」「少量生産」「品種切替が頻繁」の現場では、柔軟なプレス成形や曲げ加工と比較して歩留まりやトータルコストで太刀打ちしにくくなります。
これは昭和以降、国内外問わず変わらない鉄則です。

短尺品へのロールフォーミング適用で陥りやすい失敗

1. コストメリットが期待外れになる

ロールフォーミング用のロール金型は、全周に対して製品断面形状をピッタリ合わせる精密な仕様が求められます。
1セット数百万円~1000万円超のことも少なくなく、短尺・少量製品ではこの初期投資を回収できません。

通常は「月1000本以上」や「年間ウン千m以上が確定」して初めてメリットが出ます。
短尺少量品は、1本あたりの価格が高くなりやすいのです。

2. 端部仕上がりや精度不良のリスク

ロールフォーミングは素材の送り始め・終わりで「端部の歪み」や「形状ムラ」「寸法不良」が起きがちです。
長尺品であれば、端部を端材扱いにして捨てることで品質トラブルを回避できますが、短尺品では「端部が商品そのもの」になり、歩留まり悪化やクレーム増の原因となります。

プレスブレーキや順送金型であれば一発仕上げも可能なところ、ロールフォーミングではどうしてもムダが出やすいのです。

3. 段取と手戻りコストの増加

短尺品・品種多品種となると、ロール交換やライン条件切替が頻発し、段取り作業や調整時間が無視できないコストになります。
歩留まりや稼働率が落ちる現象に悩まされがちです。
また、品質問題のあった場合、再仕込みや工程手戻りコストが相対的に高くなります。

4. 材料ロスが増える

ロールフォーミングは一般的にコイル材料の端材や、始まり・終端の捨て部分が必ず発生します。
数本しか作らない時、材料歩留りが極端に悪くなり、原価を押し上げる要因になります。

なぜ短尺品でロールフォーミングが選ばれてしまうのか?

現場でよくある勘違い、意思決定の背景を解説します。

「ロールフォーミング=何でも量産向き」という錯覚

生産管理や調達担当者の中には、「金型成形=効率的・ラクそう」「自動化ライン=高精度」といった先入観で安易に切替を指示するケースが散見されます。
しかし、工法ごとの向き不向き、本質的な特徴を理解せずに安直に「置き換え」を目指すと、期待したQCD成果が得られないのです。

海外生産の安さだけに引っ張られる

近年、中国や東南アジアにロールフォーミングラインを持つサプライヤーが増加しており、現地人件費の安さから「短納期・小ロット対応」のPRも盛んです。
しかし、実際には初期投資の回収や品質トラブル時のリスク、輸送・コミュニケーションコストなど、目先の安値計算だけではわからない落とし穴が多く存在します。

既存サプライヤーの「何でもできます」営業にも注意

サプライヤー側も業績拡大のため、短尺少量品でも「対応可能」と謳う事例も増えています。
しかし実態は、納期遅れや不良増、見積もり負け…など現場で多くの問題が隠れていることも多いです。
お互いの「知恵」を持ち寄る検討・提案が欠かせません。

工法選定・工場設計における現場プロの視点

「何のためのロールフォーミングか」を明確にする

– 製品形状:長尺専用断面?短尺部材を複数本切り分けるのが主目的か?
– ロット:年間生産本数や生産変動幅はどうか?
– 部材用途:端部品質や精度要求、取り付け方、現場作業性
– 二次加工:穴あけ、切欠き、溶接、塗装などの後工程有無
これらを総合して、”本当にロールフォーミングが最適解か” 他工法と丁寧に比較する姿勢が必須です。

他工法との比較検討は必須

– プレスブレーキ(単発曲げ):少量多品種、短尺品に最適。初期費用も低い。
– 順送プレス:複雑断面形状、一体成形などに有利。量産にも向くが金型費が高くなりやすい。
– レーザー切断+ブレーキ:設計自由度が高く、端部仕上がりも自在。
– 溶接・機械加工:高付加価値品や極小ロット、特殊材料に有効。

それぞれ「どこまで自動化すべきか」「どこで人手を活用するか」のバランスも工場設計では重要です。

サプライヤーへの伝え方・巻き込み方

調達バイヤーの皆さんには、RFI(情報提供依頼)の際、単に「図面通り・この工法で」と決め打ちするのではなく、
– 年間必要本数、納品スケジュール
– 端部品質や二次加工の必要性
– 今後の設計変更・変動リスク
– 期待したいコスト・リードタイム
これらを整理した上で、プロセスをよく知るサプライヤーから工法提案や歩留まりの”知恵”を引き出しましょう。

「バイヤーが考えていること」を事前にサプライヤーと共有しておくことで、よりベストな工法・コストダウン案が見つかることが多いです。

現場目線でのトラブル回避策と、今後の動向

開発・設計段階から工法適正を見極めよう

短尺品をロールフォーミング化する場合、複数本の連続加工・まとめ切断ができないか(端部を端材として捨て実害を最小化)、二次加工・穴開けができる設計か、製品納入時の荷姿・搬送リードタイム含めた工程最適化が肝となります。

デジタル化・標準化の波

昭和の時代からアナログ対応・職人頼みだった工程も、近年は3D CADによる同時検討やDX(デジタルトランスフォーメーション)、自動段取変え・スマート化の取り組みが進みつつあります。
短尺多品種対応ラインや「モジュラーロール型」の登場も期待されていますが、現場ではまだまだ試行錯誤が現実です。

バイヤー・調達担当が持つべき「現場感」

調達や企画段階で「欲しいモノ」「理想論」だけではなく、実際の加工現場の目線で
– このロット数ならどの工法が最もQCDに優れるか?
– 端部や特殊工程でリスクが増えないか?
– サプライヤーが本当に対応できる”腹落ち”を促せているか?
現場と率直に向き合う姿勢が、製造業の競争力強化につながります。

まとめ:短尺品へのロールフォーミング適用、その本当の適正を問う

短尺品をロールフォーミングで生産することには、いくつもの落とし穴が潜んでいます。
コスト効率・品質安定・段取り柔軟性、どれをとっても安易に長尺品と同じ考えで適用しては失敗しやすいのが現実です。
工法選定では、設計・現場・バイヤー・サプライヤーが率直に情報交換を重ね、本当に最適な生産方法を選ぶことが不可欠です。

これからの製造業・調達購買業務では、業界常識や旧来の「どんぶり勘定」から抜け出し、現場データ・最新技術・現実解を組み合わせた新しい地平を自ら切り拓くマインドが求められています。

ロールフォーミングの本質を正しく理解し、用途と規模に合わせた判断ができるプロ集団として、さらなるものづくり力の向上を目指しましょう。

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