投稿日:2025年12月26日

表面研磨機で使う配線保護部材の摩耗が故障を招く背景

はじめに

製造業の現場では高精度な製品づくりのため、さまざまな機械・設備が稼働しています。

その中でも表面研磨機は、金属部品や樹脂製品の表面処理に欠かせません。

しかし、見落としがちなのが「配線保護部材」の摩耗による故障リスクです。

この記事では、表面研磨機における配線保護部材の役割と、摩耗がどのように故障へと繋がるのかを現場目線で深掘りします。

また、摩耗対策や業界の慣習、今後の展望についても触れ、多様な立場の方が実践に活かせる内容を目指します。

表面研磨機における配線保護部材の基礎

配線保護部材とは何か

製造ラインに配線やケーブルはつきものです。

これらの電源線や信号線は、多くが外部からの力や摩擦、油、水、薬品などの影響を受けます。

配線保護部材は、ケーブルキャリア、フレキシブルチューブ、スパイラルチューブ、コンジット(ダクト)、グロメットなど多岐にわたります。

目的は、外部からの損傷リスクを減らし、配線を長持ちさせることです。

表面研磨機での実際の使われ方

表面研磨機では、モーター、センサー、アクチュエーターなど多くの電機部品が内部外部に設置されています。

これらをつなぐケーブル類は稼働中も機械の動きに合わせて移動・揺動・曲げストレスを受けることがあり、特に可動部では配線保護部材が重要となります。

さらに、研磨時に発生する微細な研削粉やクーラントなど、一般的な環境より攻撃性の高い雰囲気であることが多いです。

こうした特殊な現場環境が、配線やその保護材の劣化を早める要因となっています。

摩耗による故障背景と現場でよくある事例

摩耗がもたらす故障のメカニズム

配線保護部材の多くは樹脂やプラスチックで作られています。

樹脂は軽量でフレキシブルというメリットがある一方、機械的な摩擦や薬品・油による化学的な劣化には弱点があります。

例えば、表面研磨機の可動部に使われるケーブルキャリアは、稼働のたびに伸び縮みの繰り返し、さらに上下左右の摩擦を受けます。

この持続的な摩擦によって、キャリアの一部が割れたり、削れたりします。

また、ちりや研削粉が内部に侵入するとキャリア内面にも傷がつき、これが原因で内部のケーブル被覆も徐々に弱くなり、最終的にショートや断線を招きます。

現場で起きている「よくある」トラブル

配線保護部材の摩耗に起因する不具合は、下記のようなものが典型的です。

– 配線保護チューブの割れ目から切粉や油が侵入し、ケーブル短絡や誤動作が発生
– ケーブルキャリアの擦過でケーブル自体が露出し、短絡や火災のリスク
– ダクト端部の摩耗で、鋭利なエッジによりケーブルが擦れて断線
– チューブ類の劣化による発煙や臭いで初めて異常に気付く

特に「何年も無交換で運用していて問題なかった」という現場では、昭和的な「壊れたら直す」主義が根強いため、重大な事故やラインストップを招くまで交換されないケースが散見されます。

磨耗を見逃す根本的な要因

アナログ業界の特徴と落とし穴

製造業、とりわけ長年の習慣が根付いた工場現場では、配線保護部材のような「消耗品」はコスト意識から後回しにされがちです。

生産設備の稼働自体には直接関与しない部位と思われ、交換タイミングや点検の重要性が理解されにくいのです。

現場の担当者やメンテナンス要員も、設備の「止められない」圧力から点検や補修計画をじっくり立てる余裕がありません。

「まだ動いているから」という理由で先延ばしにされ、摩耗に気づいたときにはすでに手遅れになっているパターンが多いのです。

バイヤーとサプライヤー、双方の視点

バイヤーはコスト低減や部品標準化を求めがちですが、配線保護部材を軽視し過ぎると、思わぬダウンタイムや高額な修理費を招きます。

一方、サプライヤー側も「消耗品は定型の安価品でよい」と考えがちですが、実際には現場環境に最適化された材質や構造提案が求められる時代です。

特定の用途において特殊素材(耐油・耐薬品・難燃)や強化構造品を選択することが、全体最適や安全生産の観点で不可欠です。

具体的な摩耗対策と実践的アプローチ

定期点検と状態予測の重要性

表面研磨機の定期保守点検時には、以下のような摩耗チェック項目を取り入れてください。

– ケーブルキャリア内部に異物や傷がないか
– チューブ外周の擦れ・割れ・変色はないか
– 端部や中継点のシーリングがゆるんでいないか
– ケーブルの曲げ部に異常はないか
– 外観だけで判断できない箇所にはサーモグラフィや絶縁測定を活用

また、異音(カラカラ、キシキシ音)、臭い(焦げ臭い等)、粉塵の集まり方など「五感」をフル活用することも現場では重要です。

材質・仕様の最適化

摩耗リスクの高い部位には、一般的な樹脂製品ではなく以下の特長を持つものを推奨します。

– 耐摩耗グレードのポリアミド製キャリアや強化ウレタンチューブ
– 難燃性・耐薬品性のフレキシブルダクト
– シリコンラバー系グロメット(密閉性・耐熱性重視)
– メーカーや専門商社が提案する「現場カスタム品/カスタマイズ組立」

機種やラインごとに摩耗ポイントは異なるので、導入前の現場ヒアリングが重要です。

IoT活用とアナログ現場の融合

近年は、摩耗診断センサーやワイヤレスで劣化度を通知するIoTデバイスも登場しています。

しかし、昭和の設備やアナログな作業者が中心の工場では、完全な取り替えはすぐには困難です。

まずは「痛みやすい箇所」だけでも、現場主導で劣化計測ツールを試験導入したり、スマホやタブレットで画像記録を残すなど、段階的なデジタル融合を進めましょう。

今後の業界動向と展望

設計段階からの摩耗対策

新規設備導入時、「保護部材の寿命」に目を向けた設計・配置・材質選定が今まで以上に重要です。

サプライヤー・エンジニア・現場担当がワンチームとなり、最新のトレンドや製品を取り入れる意識改革が必要となります。

バイヤーとサプライヤーで進める全体最適

バイヤーとしては「業者任せ」「とにかく安く」から脱却し、現場の声をくみ取れる調達が本来求められます。

またサプライヤーには、部材だけ提供するのでなく、摩耗原因分析や運用提案まで含めた新しい価値の提供が期待されます。

デジタル・省力化による進化

横断的な設備管理ソフトや摩耗部位トラッキング、交換履歴の見える化は、今後普及が進むでしょう。

紙台帳だけの時代から、デジタル台帳へと「昭和思考」からの脱却が進むことで、工場全体の安定稼働や安全性向上に直結します。

また、将来的にはAIによる摩耗パターン自動解析や、トラブル発生前の予知保守へと発展していくでしょう。

まとめ

表面研磨機で使う配線保護部材の摩耗は、製造現場に潜む見えにくいリスクです。

配線保護部材の重要性に改めて光を当て、定期点検・材質最適化・現場目線の実践、アナログとデジタルのバランスある融合を進めることが、安定稼働・安全生産へのカギとなります。

バイヤー・現場・サプライヤー、それぞれの立場から全体最適を実現し、昭和的発想から一歩踏み出すことが、これからの製造業の革新を担うのです。

工場長経験を持つ筆者としても、皆さまとともに新たな地平線を切り拓いていければ嬉しく思います。

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